2023年03月08日 20:51 弁護士ドットコム
「日野町事件」をめぐり、裁判のやり直しを認めた大阪高裁決定を不服として、大阪高検が最高裁に特別抗告したことについて、日弁連再審法改正実現本部本部長代行の鴨志田祐美弁護士は3月8日、「検察には自浄作用がない」などと批判。再審手続きに関する法規定の必要性を訴えた。
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日野町事件は1984年に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件。無期懲役が確定し服役中に病死した阪原弘さんの遺族が裁判のやり直しを求めている(死後再審)。
現在の第二次再審請求では、2018年に大津地裁で再審開始決定が出たものの、検察側が不服申し立て(即時抗告)。5年弱たった今年2月27日に大阪高裁も再審を認める決定を出したが、またしても検察側が不服を申し立てた。
この点について鴨志田弁護士は、「再審開始決定が間違っていると思うなら、再審公判で堂々と有罪の主張をすればいい」と指摘する。
鴨志田弁護士が担当している大崎事件では、再審を認める決定が計3回出ているが、いずれも検察側の抗告により、認められない結果となった(うち1回は最高裁が破棄自判)。無罪を訴えている原口アヤ子さんは95歳と高齢だ。
再審可否の判断が目前に迫った袴田巌さん(86)についても、仮に東京高裁が3月13日に再審を認めたとしても、検察側が最高裁に特別抗告し、さらに長引く可能性がある。静岡地裁が再審開始決定を出したのは2014年のことだ。
「不服申立てによる歳月の経過が本人や家族に与える影響について、検察がまったく考えていないのではないかということに強い憤りを覚える」(鴨志田弁護士)
再審手続きは刑事訴訟法で規定されているが、わずか19条しかなく、裁判所の裁量が証拠開示などを左右する「再審格差」などの問題も指摘されている。
日弁連は法改正によって、(1)再審開始決定が出た際の検察官による不服申立ての禁止、(2)証拠開示制度の整備ーーなどが必要と訴えている。