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【漫画】暗い日常を変えてくれた美少女、キスのあとなぜ消えた? 衝撃のSFバトル漫画が心を揺さぶり続ける

2023年03月08日 08:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『ドクドクドク』(辛い日々を怪物にぶっ壊してもらう話)より

 人生はいつどうなるかわからない。真っ暗だった人生に不意に光が差すこともあれば、その光が理不尽に奪われることもあるーー昨年12月に「月刊!スピリッツ」(小学館)でスタートした新連載『ドクドクドク』(原作:渡辺瑛心/作画:津上昌也)は、第一話目からそんなアップダウンを凝縮した衝撃的な展開で、漫画ファンの心を掴んでいる。1月31日には「辛い日々を怪物にぶっ壊してもらう話」としてTwitter上にアップされ、多くの読者を震えさせた。


(参考:漫画『ドクドクドク』を読む


 アルバイトで母子家庭の家計を支えながら、冴えない日々を送る高校生の不和ナジム。夢も希望もない学生生活だったが、久しぶりに登校してきたミステリアスな少女・月野と惹かれ合い、日々は一変する。そんななか、月野はナジムの前から姿を消して……。


 淡い恋愛の機微が描かれたかと思いきや、グロテスクなSFバトルアクションに展開する『ドクドクドク』。続きが気になりすぎる本作について、作画を担当し、記念すべき初連載となった津上昌也さん(@Makaje_Gt)に話を聞いた。(望月悠木)


■アシスタント探しが難航


――本作が初連載とのことですが、連載が決定した時の心境を教えてください。


津上:とりあえずめちゃくちゃ嬉しかったです。しかも自分のやりたいジャンルだったということもあってすごく喜んだ気がします。


――1人でストーリーと作画をやる場合と、作画のみを担当する場合では、どのような違いがありますか?


津上:渡辺(瑛心/原作者)からは文章の原作が脚本で送られてくるのですが、演出などはほぼ僕が担っています。漫画に仕上げる作業自体は1人で作る時と感覚的に大きな違いは感じていません。ただ、担当編集者さんと渡辺がしっかり練ったストーリーを渡してくれるので、自分でストーリーも制作する場合よりはとても安心感があります。また、「1人だったら思いつかないだろうな」と感じる展開も多く、新しい発見があり、なにより漫画にしていて楽しいです。


――初連載にあたって、苦労した点はありますか?


津上:やはりアシスタントさんを探すのはめちゃくちゃ大変でした。募集しても全く応募が来ず、最後は自分から声をかけました。幸いなことに快く引き受けてくれたアシスタントさんが2人も見つかり、「もう神か!」と思いました(笑)。


――SNSで漫画を発表するクリエイターは増えているように思いますが、アシスタントさんはなかなか見つからないものなのですね。


津上:ただ、連載が始まってからはアシスタント応募がたまに来るようになり、現在は4人ほどのアシスタントさんに助けてもらっています。初連載で右も左も分からず、アシスタントさんへの源泉徴収など税金に関する知識が全くなかったために苦労しました。なので、税務署に足を運んで話を聞いたりなど、その辺りがとても大変でした(笑)。「義務教育で教えておいてほしいな」と思ったほどです。


――1月31日に『ドクドクドク』の第1話をツイートしていました。漫画雑誌に連載した作品のツイートということもあり、反響は大きかったのでは?


津上:本当は「単行本を発売するタイミングで投稿しよう」と思っていたのですが、今は雑誌がそこまで読まれない時代と聞きました。ですので、2話目が掲載されている「月刊!スピリッツ」2023年3月号の発売日(2023年1月27日)に近いタイミングで1話目をSNSに上げました。深夜3時くらいに投稿したのですが、寝て起きたらすごい反響があってびっくりしました。フォロワーさんもすごく増えていた気がします。


■「痛そう」な作品に


――次に『ドクドクドク』について聞かせてください。まず、月野はインパクトのあるキャラクターでした。


津上:月野はミステリアスな感じを目指しました。また、マスクを外すと美人に見えるように意識して、唇の下にほくろを足したりしました。


――とにかく背景がしっかり描かれていました。


津上:『ドクドクドク』を立ち上げた担当さんから、「ダークなお話だから画面を黒くしてほしい」と言われたので、「もう隅々まで書いてやろう!」と画面を黒くする意識で作っています。ただ、今後は白い病院のような空間でストーリーが展開されることが多く、最近は画面を黒くできずに困っています(笑)。


――化け物である「エキドナ」がとても気持ち悪く描かれていました。エキドナの作り上げる際、モデルや参考資料などはありましたか?


津上:モデルなどは特にありません。個人的にグロいゲームをよくプレイするので、そこら辺から自然と影響を受けている気がします。あとは担当編集さんから「怖くて痛そうに描いてほしい」と言われたのでそこは意識しました。最近、友達に「津上くんの描く敵は『The Last of Us』に出てきそう」と言われ、「そういえばラスアス大好きだったな~」と思い出しました。


――不和ナジムは離れた腕を自由自在に操って戦います。あまり見たことがない斬新なバトルシーンでした。


津上:「痛そう」を重視しています。「痛みにもがきながらも戦う主人公をどう描けるか?」という意識は常に持っています。バトルシーンでは、映画ですと『レヴェナント』、漫画ですと『ゴールデンカムイ』など戦っている登場キャラクターが痛そうな作品を参考にしてます。


――最後に『ドクドクドク』をどのような作品にしていきたいですか?


津上:主人公の不和が、今後いろいろなやばそうなヤツとドンドン戦っていきます。どんな感じで戦っていくのか、果たして報われるのか、青春は取り戻せるのかなど期待していただければと思います! 老若男女とは言いませんが、沢山の人に読んでもらえる作品にしたいです!


(望月悠木)