これは取材冒頭に池田代表が口にした言葉であり、TGM Grand Prixが誕生した最大の理由でもある。
TGM Grand Prixは、さまざまなレースプロジェクトに携わってきたセルブスジャパンを運営母体としている。同社は長年、車両メンテナンスやエンジニアリングサポートという点から国内トップフォーミュラにも関わってきたが、そんなセルブスジャパンの社長を務める池田代表が「スーパーフォーミュラで結果を出したい」という使命をかたちにするべく、自らの手で設立したのがTGM Grand Prixというチームとなる。
また、「スーパーフォーミュラで結果を出したい」と、同じ使命を抱いたドライバーとの出会いも、TGM Grand Prix設立を加速させることとなった。そのうちのひとりがトルコ出身のジェム・ブリュックバシェだ。3月3日に起用が明らかにされたふたりのドライバーのうち、ブリュックバシェは日本でのレース経験はなく、2022年はF1直下のFIA F2に参戦していた。
ただ、ブリュックバシェは2022年シーズン中盤にFIA F2を離れることとなった。逆境のなか、ブリュックバシェの父は、今後の息子のキャリアについて周囲に相談。そのうち、元ダラーラ社のスタッフだった知人から、日本のスーパーフォーミュラに参戦を計画しているチームがあると紹介されたことが、ブリュックバシェとTGM Grand Prixが出会うきっかけとなったという。
両者の出会いは急だったものの、12月7~8日に鈴鹿で開催された合同テスト/ルーキーテストにブリュックバシェとともに参加することが叶った。ただ、まだチーム名すら決まっていなかったため“TEAM TBD”としての参加となったが、これがTGM Grand Prixの始まりの第一歩となる。ブリュックバシェにとっては初のスーパーフォーミュラ、初の鈴鹿サーキットということもあり、心配もあったと明かす池田代表だが、テスト結果には驚かされたという。
「それはジェムも望んでいる部分でもあります。ジェムはeスポーツの世界では他を圧倒する結果を残していますが、そのポテンシャルを実車の世界でいかに実証できるか。我々とともに経験を積んで、本当に素晴らしいドライバーになってくれたら、それもレーシングチームとして多大なやりがいを感じるところだと思います。我々のトップフォーミュラでの経験をもとに、どこまでジェムを引き上げることができるか。それもTGM Grand Prixとしてのチャレンジのひとつです」
若いルーキードライバーをチャンピオンにまで引き上げることもチャレンジのひとつではあるが、これがすべてではない。冒頭に池田代表が口にした言葉にあるように、TGM Grand Prixは「勝つことこそが我々の使命」であり「勝つことが存在意義」としている。この新チームが自らの存在意義を証明するべく、起用したのがスーパーフォーミュラでの優勝、ポールポジション、そして複数回の表彰台を経験している大湯都史樹だ。