人手不足が慢性化している介護業界で、休みが取れなかった経験談が複数寄せられている。少ない人数でまわしていくということなのかもしれないが、現場で働く従業員はそうした経営者の元で疲弊しているようだ。(文:林加奈)
有給休暇は「自由に取れるはず」と訊ねたら……
50代女性(石川県/年収300万円)は、介護事業最大手の会社のデイサービスで働いていたとき、有給休暇について管理している支店の職員に「自由に取れるはずだが」と訊ねたところ、
「『有給休暇はインフルエンザに罹った時など、どうしても就業できないときに取得するもので、基本は自由にはならない』と、大真面目に言われた」
と驚きのエピソードを明かす。当然ながら、有給休暇は体調を崩したとき限定で使うものではない。自由に休暇が取れないのだから離職が進むのも無理はない。
ポリープが見つかり再検査が必要になっても「仕事が先」
別の50代女性(滋賀県/年収350万円)は、新しく立ち上げる訪問介護の仕事を始めないかと誘われ転職した。その時は「経営者がブラックな人間だとも疑わなかった」と振り返る。
「管理者からときどき、経営者の愚痴を聞きましたが、そこまでとは気づかず、管理者は1年で退職。その後、経営者が従業員に直接連絡してくるようになりました」
退職した管理者は経営者の素顔を知っていたのだろうか。経営者はその後、従業員の年1回の健康診断に対し口を出してきたという。
「『なぜその日にした?仕事が先、仕事中に検診になぜ行くのか?あなたの住所からだと遠い病院にしたのか?休みの日に検診に行くのがうちの会社では決まっている』と言いたい放題」
よほど人手が足りないのか、従業員が仕事を休むのを相当嫌がる様子がうかがえる。「予約した同僚に確認したら、経営者から病院の指定があったからとのこと。仕事も調整して検診に行きました」と従業員は皆、経営者の言いなりになるしか無かったようだ。
女性にポリープが発見され、再検査が必要になったときも
「『仕事が先、病院に検査行っていつ仕事するのか?』と、予約しても3回ゴリ押しの仕事を入れてきて行かさないようにされ、キャンセルばかりしました。話せば山ほどのパワハラでした」
とブラックぶりを綴っている。
人手が足りないからといって従業員の健康を蔑ろにすることはあってはならない。休みが取れず離職が進み、さらに人手不足になるという悪循環に陥らないようにするなど、経営者の手腕が求められるのではないだろうか。
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