文化庁から令和4年度芸術選奨の受賞者が発表され、メディア芸術部門の文部科学大臣賞を新海誠、文部科学大臣新人賞を野田サトルが受賞した。
【大きな画像をもっと見る】毎年度、芸術の各分野において優れた業績を挙げた人、または新生面を開いた人に授与される芸術選奨。演劇、映画、音楽、舞踊、文学、美術、放送、大衆芸能、芸術振興、評論等、メディア芸術の11部門が設けられ、受賞者には賞状や賞金が贈られる。新海は映画「すずめの戸締まり」、野田は「ゴールデンカムイ」の成果により受賞。授賞式は3月9日に東京都内のホテルで行われる。
■ 新海誠への贈賞理由
「すずめの戸締まり」は、公開されるや否や大ヒットを記録し、正に国民的映画として広く人々の支持を得た。東日本大震災を扱ったこの作品は、「君の名は。」「天気の子」に続き、新海誠氏の災害を扱った3部作とも呼ばれ、そのスケールの大きさとダイナミックな物語展開により我々を圧倒する。宮崎、愛媛、神戸、東京、そして東北へと続くロードムービーは、日本の地方の美しさと過ぎ去った時代への慈しみにあふれており、大切な人を取り戻そうとする一人の女子高生の抵抗が、より大自然の大きさと無情さを感じさせる。日本の神話や伝承に基づく世界観を持ち、アニメーションによって「壮大な叙事詩」を描く氏のスタイルは唯一無二のものである。
■ 野田サトルへの贈賞理由
野田サトル氏の「ゴールデンカムイ」は令和4年大好評の末8年に及ぶ連載を完結した。この作品は明治末期の北海道と樺太を舞台に、国・民族・個人・様々なレイヤーが複雑に重なる、スケールとスピードを兼ね備えた稀(け)有な作品であった。特に敵味方が入り乱れる多彩なキャラクターと物語の要所に散りばめられる異文化の描写は多くの読者を魅了した。今後とも様々な歴史からの新たな物語の生成を期待して文部科学大臣新人賞としたい。