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【漫画】不審なほど親切な隣人、いったいなぜ? SNS漫画『お節介なお隣さんのお話です。』が考えさせられる

2023年03月01日 07:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『お節介なお隣さんのお話です。』より

 「遠くの親戚より近くの他人」という言葉があるが、本当に困ったときに手を差し伸べてくれる、信頼に足る隣人がいたらどれだけ救われるだろうか。Twitterで公開された創作漫画『お節介なお隣さんのお話です。』は、ご近所付き合いが希薄なっているご時世、そんなことを考えさせてくれる、シビアながら心温まる作品だ。


(参考:漫画『お節介なお隣さんのお話です。』を読む


 6人目の子どもを妊娠中の女性の家に、最近隣に引っ越してきた高齢の男性・宮田が訪ねてくる。「隣のよしみ」と、子ども服をプレゼントしてくれたり、子どもたちを預かってくれたりと、不審に思えるほど親切だ。警戒しながらも好意に甘える女性も、少しずつ変化していく。宮田さんはなぜ、彼女をそこまでサポートしてくれるのか……。


 2歳になる娘さんの育児に追われながらも、毎月15日と月末に1本ずつ短編漫画を描いている、作者の柏木大樹さん(@kasiwagidaiki)。本作を描いたきっかけなど、話を聞いた。(望月悠木)


■着想のきっかけは『赤毛のアン』のエピソード


――『お節介なお隣さんのお話です。』制作の経緯を教えてください。


柏木:赤毛のアンという小説のシリーズで『アンの夢の家』という作品があり、それに出てくるミス・コーネリアというキャラクターの行動がこのお話を作るキッカケです。ミス・コーネリアは近所の家で誰にも望まれずに産まれてくる8人目の赤ちゃんのためにせっせと服をこしらえる人で、「そういうの素敵だな」と思って描き始めました。


――宮田さん(お隣さん)は途中まで不気味な存在でしたが、中盤からその意図がわかってほっこりしました。宮田さんという存在にギャップを出すために意識したことは?


柏木:宮田さんの性別で少し悩みました。「最初は警戒感を抱きやすい相手のほうが、本当に善意でやっているのがわかった時により好感を持ってもらえるかも」という打算もあって男性にしました。


――子どもを産み育てることの親が持つ不安感、最近は希薄化したお隣同士のふれあいの尊さなど、考えさせられました。


柏木:正直私が本作に込めたメッセージは特にないんです。どの作品にも自分のメッセージは込めていません。強いて言うなら「楽しく読んでね」くらいです。そこは読者が抱いた気持ちに委ねています。


――今後の目標など教えてください。


柏木:好きなものを好きなように描く、ということを今後も続けて、可能ならそれで食べ続けていけたら嬉しいですね。現在は商業のほうでもポツポツ声をかけてもらえるようになり、ありがたい限りです。その時できることをこなせていければと思います。今回の漫画を気に入っていただけたなら、FANBOXで過去作を500円で100本くらいまとめて読めるので、よかったらどうぞ。


(望月悠木)