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【2023年F1をゼロから学ぶ】ここだけは押さえておきたい技術レギュレーション変更点&注目ドライバー

2023年02月27日 22:41  AUTOSPORT web

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2023年F1バーレーンテスト1日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル)
 2023年のF1世界選手権は3月3~5日に開催される第1戦バーレーンGPで、全23戦のシーズン開幕を迎える。1.6リッターV6パワーユニット(PU)×グランド・エフェクト・カー時代2年目の開幕を前に、あらためて2022年シーズンからのレギュレーションの変更点、新人を含むドライバーラインアップ、そして開催スケジュールを整理してみよう。

 まずは、技術規則の変更点について。昨2022年は車両規則の大幅変更が行われ、40年ぶりにF1にグラウンドエフェクトカーが登場した。ただそれにより、チームによっては高速走行時にマシンが激しく上下に跳ねる『ポーパシング現象』に悩まされることとなった。



 この『ポーパシング現象』による激しい上下運動がドライバーの健康や安全性の面で問題となり、FIA(国際自動車連盟)は対策として『フロアエッジを15mm高くする』、『ディフューザーのスロートを高くする(各チームのメカニカルコンポーネントのデザインに影響を与えないよう配慮)』、『ディフューザーエッジの剛性引き上げ』、『ポーパシング現象監視用のセンサー追加を義務付け』を2023年のレギュレーション改訂に盛り込んだ。

■参考:フェラーリの2023年車両『SF-23』主要諸元
モデル名SF-23 シャシーカーボンファイバー、ハニカムコポジットキヤボックスフェラーリ製8速縦置き(前進8速+後退1速)ブレーキブレンボ製、油圧制御式セルフベンチレーションカーボンディスク(フロント/リア)フロントサスペンションプッシュロッド式リアサスペンションプルロッド式総重量798kg(水、オイル、搭乗者含む)フロント/リヤホイール18インチパワーユニットー名称066/10構成90度V6/4バルブシングルターボ排気量1600cc最高回転数15000回転過給器シングルターボ最大燃料容量110kgボア80mmストローク53mm最大噴射500barERS(エネルギー回生システム)ーバッテリーリチウムイオン電池(最小重量20kg)バッテリーエネルギー4MJMGU-K最大出力120kWMGU-K最高回転数50,000rpmMGU-H最高回転数125,000rpm

 また、2022年F1第10戦イギリスGPで発生した周冠宇(アルファロメオ)のアクシデントの際に、ロールフープバーがマシンから脱落してしまったことから、ロールフープの形状および強度テストの内容が変更となり、安全面の強化が図られた。

 細かな点では、後方視界を改善するべくミラーのサイズが変更され、幅が150mmから200mmに拡大された。そして搭載燃料の許容温度に関して、2023年より「外気温から10度以上下回ってはいけない/10度以下であってはいけない」という文言へと変更されているとおり、燃料の最低温度が20度から10度へ引き下げられている。

 続いて、競技規則の変更点について。基本的には2023年シーズンも1大会で13セットのタイヤを使用していくが、試験的に2大会でタイヤ供給本数を11セットに減らす試みが実践される。この2大会ではQ1はハード、Q2はミディアム、Q3はソフトと、使用するタイヤコンパウンドが義務付けとなることも大きな特徴だ。

 ピレリから供給されるコンパウンドは5種類から6種類へと増加され、もっとも硬い『C1』と『C2』の間を補うコンパウンドが登場。2022年までの『C1』が『C0』へと改名され、2023年から導入される新たなコンパウンドが『C1』と呼称されることになった。ピレリは新コンパウンドの導入について、「以前のレンジにおけるハード寄りのふたつのコンパウンドの性能差を縮める」必要性があったためだと説明している。

 すでに開幕3大会のイヤセレクションがピレリより発表されており、開幕戦バーレーンGPでは、C2とC3とともに新導入にC1タイヤが登場する。第2戦サウジアラビアGPおよび、第3戦オーストラリアGPの2戦では、ピレリが選択したソフト寄りのC2、C3、C4タイヤがチームに割り当てられる予定だ。

 また、第6戦エミリア・ロマーニャGPからはピレリが開発した新たなウエットタイヤが使用可能となる。そのほかの競技、技術、財務レギュレーションの変更内容はこちらを確認してほしい。

■6チームが新体制に。ルーキーは3名

 4チームがドライバーラインアップを継続する一方、ニック・デ・フリース(アルファタウリ)、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)と3名のルーキーが参戦する。

 なかでもデ・フリースはFIA F2王者、フォーミュラE王者という肩書きに加え、2022年第16戦イタリアGPにアレクサンダー・アルボンの代役としてウイリアムズからF1デビューを果たすと、予選ではQ2進出。さらに、決勝では9位に入り、ファンだけではなく、F1関係者も注目する存在となった。2023年は念願が叶い、角田裕毅のチームメイトとしてアルファタウリのシートを掴んだこともあり、その走りには注目が集まる。

 また、ミック・シューマッハーに代わりハースにはニコ・ヒュルケンベルグが加入。ヒュルケンベルグにとっては2019年以来のレギュラーシート獲得となる。そして、GP2、スーパーフォーミュラと、F1参戦以前からレッドブルとともにキャリアを重ねてきたピエール・ガスリーがアルファタウリからアルピーヌへ移籍。今期の最年長ドライバーとなるフェルナンド・アロンソはアルピーヌからアストンマーティンへ移籍。彼らが新天地でどのような走りを見せてくれるのかも、開幕戦から楽しみにしたいポイントだ。

 そして、やはりF1参戦3年目を迎える角田の走りにも注目だ。デビューイヤーとなった2021年に記録した自己最高位の4位を越える成績を残せるかという点にも注目したい。ホンダ・レーシング(HRC)のサポートのもと、レッドブル・パワートレインズが供給するPUの実力は、2022年にダブルタイトルを手にしたマックス・フェルスタッペンとレッドブル・レーシングが証明している。あとはアルファタウリのシャシー、そして角田がポテンシャルを存分に発揮できるかが鍵となるだろう。

 2023年シーズンのタイトル争いの焦点は、3連覇に挑むフェルスタッペンとレッドブルという高い壁に対し、チーム代表交代と改革を進めるフェラーリ、そしてメルセデスといった有力チームがいかに挑むかとなるだろう。フェルスタッペン&レッドブルの“黄金期”は続くのか。それとも下克上が見られるのか。各マシンのポテンシャルを見極めるためにも、第1戦バーレーンGPではフリー走行1回目から注視しておきたい。

■2023年F1世界選手権 ドライバーラインアップ
No.DriverTeam1マックス・フェルスタッペンオラクル・レッドブル・レーシング11セルジオ・ペレスオラクル・レッドブル・レーシング16シャルル・ルクレールスクーデリア・フェラーリ55カルロス・サインツスクーデリア・フェラーリ63ジョージ・ラッセルメルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム44ルイス・ハミルトンメルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チーム31エステバン・オコンBWTアルピーヌF1チーム10ピエール・ガスリーBWTアルピーヌF1チーム4ランド・ノリスマクラーレンF1チーム81オスカー・ピアストリマクラーレンF1チーム77バルテリ・ボッタスアルファロメオF1チーム・ステーク24周冠宇アルファロメオF1チーム・ステーク18ランス・ストロールアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラワン・チーム14フェルナンド・アロンソアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラワン・チーム20ケビン・マグヌッセンマネーグラム・ハースF1チーム27ニコ・ヒュルケンベルグマネーグラム・ハースF1チーム22角田裕毅スクーデリア・アルファタウリ21ニック・デ・フリーススクーデリア・アルファタウリ23アレクサンダー・アルボンウイリアムズ・レーシング2ローガン・サージェントウイリアムズ・レーシング

■初開催ラスベガスGPは土曜決勝のナイトレースに

 2023年シーズンは、3月3~5日に開催されるバーレーンGPから全23戦が開催される。うちF1スプリントはアゼルバイジャンGP、オーストリアGP、ベルギーGP、カタールGP、アメリカGP(オースティン)、サンパウロGPで実施されることとなり、2022年は3大会から倍増。その分F1をじっくりと楽しむことができるだろう。

 初開催となるのは2023年11月に予定されているラスベガスGP。常設サーキットとストリートセクションを合わせたラスベガス・ストリート・サーキットが舞台となる。なお、決勝はナイトレースとして土曜に開催されることとなり、そのため、フリープラクティスは木曜、予選は金曜と、通常より1日早いスケジュールで開催されることになる。

 そして、待望の日本GPは9月22日~24日に三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催される。今年はレノボがタイトルスポンサーを務めることとなった。2022年の日本GPは大雨による長時間の赤旗中断を挟むなど、雨に翻弄されたレースとなっただけに、2023年大会はドライコンディションでのレースに期待したいところだ。

Round日程グランプリ(開催地)13月5日バーレーン(サクヒール)23月19日サウジアラビア(ジェッダ)34月2日オーストラリア(メルボルン)44月30日アゼルバイジャン(バクー)55月7日マイアミ(マイアミ)65月21日エミリア・ロマーニャ(イモラ)75月28日モナコ(モナコ)86月4日スペイン(バルセロナ)96月18日カナダ(モントリオール)107月2日オーストリア(シュピールベルク)117月9日イギリス(シルバーストン)127月23日ハンガリー(ブタペスト)137月30日ベルギー(スパ・フランコルシャン)148月27日オランダ(ザントフォールト)159月3日イタリア(モンツァ)169月17日シンガポール(シンガポール)179月24日日本(鈴鹿)1810月8日カタール(ロサイル)1910月22日アメリカ(オースティン)2010月29日メキシコ(メキシコシティ)2111月5日ブラジル(サンパウロ)2211月18日ラスベガス(ラスベガス)2311月26日アブダビ(ヤス・マリーナ)