isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2023年上半期の占いも公開しているので、ぜひ併せてチェックしてくださいね♡
今週の星座占いを全文読みたい方はこちらをタップ 今週のおひつじ座の運勢illustration by ニシイズミユカ
自然をまねる
今週のおひつじ座は、「消費」や「経済合理性」の“外”へと横っ跳びをかましていくような星回り。
『焼売が真横にすべる春の山』(宮本佳世乃)という句のごとし。
人の手に支配され、どこまでも経済合理性がついて回る領域では、どこまでも消費され、欲望される対象としての“肉のかたまり”に過ぎなかった「焼売」さえも、春の野山では生命を得ていきいきとするだけでなく、脱兎のごとく動き出す。いわんや人間をや、というのが掲句のオチなのだとも言えます。
あなたもまた、なんのためでもない、気の向くまま、体の向かうままに動いていく時間や選択肢を、ここらでグッと増やしてみるといいでしょう。
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春と茶番とわたし
今週のおうし座は、人間のいかんともしがたい狭量さを克服すべく、改めて異種とズブズブの関係になっていこうとするような星回り。
奈良県宇陀市の里山で自給自足の生活を送っている東千茅は、人間による異種との共生への取り組みを「堆肥化」と呼んでいますが、その言葉や計画に触発されるかたちで小説家の吉村萬壱が書きあげた『堆肥男』という、徹底的に無為な生活を送る中年男性をめぐる短編があります。
「物語の終盤、春日武雄は部屋の扉を開けるようになる。つまり、春日は堆肥男と接触することで感染し、堆肥化への第一歩を踏み出した。堆肥男は、ただ開け放った部屋で怠惰に寝転び、異種たちと戯れつづけることによって、周りの者を惹きつけ、感化してしまったのである。」
あなたもまた、そんな生前堆肥化の道を半歩でも歩まれてはいかがでしょうか。
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それらもう無効
今週のふたご座は、さわやかな“更新の夢”の中に思いきり浸かっていくような星回り。
『それらもう無効浄水場の春』(佐藤智子)という句のごとし。過去に囚われたまま、どこかで凍結していた時間が、ふたたび流れ始めていく時の、解禁の悦びのようなものが込められているのでしょう。
いったんどこかへ流れ出し、循環のなかを渦巻くようになった水は、凝り固まった記憶と共に硬直し、耄碌(もうろく)してゆくたましいを目覚めさせ、若々しさを取り戻してくれるもの。
あなたもまた、そうして目を覚ました額の下で、新しい眼が活気づいていくはず。
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水を汲む
今週のかに座は、下からの声を拾い上げるべく、ますます底を薄くしていこうとするような星回り。
宗教学者の中沢新一と俳人の小澤實による、対談集『俳句の海に潜る』。
その中で、俳句という言語芸術を前衛的試みから伝統芸術の一角へと昇華させた江戸時代の松尾芭蕉の方法論を、単に方法論的な分析にとどまるのでなく、彼らが根差していた世界観から捉え直しています。
あなたもまた、近代的な世界観を乗り越えるためにも、こうした「漂泊しながら根を下ろす」やり方を自身の生活に少しでも取り入れてみるといいかも知れません。
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社会実験する自由
今週のしし座は、誰かとつながったり足を運んだりという活動に、特別な新鮮さを取り戻していくような星回り。
『曖昧に踊り始める梅見かな』(野口る理)という句のごとし。桜のように、道ばたのちょっとした空き地にシートを敷いて花見をしているような人たちもいないので、そうした身体的なぎこちなさは社会的な文脈によっても強化されてしまう。
「だがしかし」である。そうであるからこそ、「見る阿呆」でいるくらいなら、「踊る阿呆」の側に立ってやろうではないか、と。そんな奮起する者の昂ぶる心理が掲句の背後にはあるのではないでしょうか。
あなたもまた、できるだけ「踊る阿呆」の側にみずからを立たせていくべし。
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芯を通す
今週のおとめ座は、真の意味で知的であろうと努めていこうとするような星回り。
精神医学者の中井久夫の膨大な仕事の一つに「私に影響を与えた人たちのことなど」というエッセイがありますが、その中に、直接名指しするのを避けるような仕方で言及されている人物がひとり出てくるのです。
すべてを語り尽くし、世間にこれを見ろと訴求して消費を促すのではなく、本当に大切なものはあえてぼかし、内に秘めることで引き継いでいく。そこには金銭的還元だけが「推し」への敬意の表し方ではないのだという、メッセージも込められているように思います。
あなたもまた、「日本は有名な人っていうのはたいしたことはない。無名な人が偉いので、こういう人が国を支えているのだろう」という中井の言葉を折りにふれて、口に出してみるといいでしょう。
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物語の改まり
今週のてんびん座は、自分という存在を夢見ている誰かどこかに思い至っていこうとするような星回り。
『ぬるたまを吹きひとゆれの猫ばしら』(九堂夜想)という句のごとし。かつてその中で眠っていたことのある猫のことを、キャットタワーはよく覚えていて、そうして時どき記憶の端くれをポッと吐き出していくものなのかも知れない。
だとすると、今こうして文章を書いてる私だって、それを読んでるあなただって、どこかの家や土地が吐き出した夢であるという可能性だってまったくゼロではないだろう。
あなたもまた、おのずとそうした夢の起源へと遡っていくことになるはず。
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終わらせ方を思い出す
今週のさそり座は、気が付いたら始めてしまっていたり、その上に乗ってしまったものやことを、キャンセルしていこうとするような星回り。
哲学者・中島隆博は『全体主義の克服』で、東洋的な発想について「『穴』や『窓』や『器』といった外に開かれたものが出てくる底がある。つまり、物の背景自体は物ではない。このことに気付くと、物と思われるものも物ではない、つまり『無』であることがわかる。」と述べています。
ここで言う「無」とは、物以前に働くもの。中島はそれを「一種の取り消された働き」とか「何らかの操作の取り消し」と呼んでいますが、それこそまさに今の日本政府や政治家に必要な発想でしょう。つまり、無の中にきちんと根を下ろしていないから、物事の終わらせ方が感覚的に分からなくなってしまったのではないか、と。
あなたもまた、どうしたら近代合理主義やそれを基礎づけているものの見方を超えた発想を取り入れられるかが、ひとつの鍵になってくるはず。
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気づいたらやってた
今週のいて座は、考える間もなく誰か何かと自分を重ねてしまうような星回り。
『春寒の無礼を別の人が詫びる』(中山奈々)という句のごとし。
可能か不可能か、そもそもなぜ自分が謝らねばならないのか、といった逡巡(しゅんじゅん)や迷いはここにはありませんし、何なら春という季節と自分との境い目もなくなってほとんど重なってしまっています。だとすると、やはり掲句は朝まだ寝ぼけたままの子供による、不意のつぶやきのようなものなのかも知れません。
あなたもまた、いつもなら距離をあけて構えがちな相手にも、むしろ一足飛びで向かっていくような勢いが出てきやすいでしょう。
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異なる道の開拓
今週のやぎ座は、生を「死」という形できちんと完成させるべく、生きて生きて生き抜いてやろうとするような星回り。
漫画家の山岸涼子の『朱雀門』は、中学生の女の子である千夏と、その叔母の春秋子(すずこ)さんという2人を軸に展開されるお話。春秋子さんが千夏の部屋で彼女がたまたま読んでいた芥川龍之介の『六の宮の姫君』を見つけるところで、グッと核心に入ります。
『六の宮の姫君』では、ある平安時代の姫君が、親に死なれ頼れる人もおらず途方に暮れている。結局、姫君は屋敷も失い、成仏することなく息を引き取る。千夏は「これじゃあんまり姫君がかわいそうじゃない?」とこの結末に疑問を持ちますが、叔母はむしろそこが芥川の凄いところなのだと告げ、「『生』を生きない者は、『死』をも死ねない…と彼は言いたいのよ」と返すのです。
あなたもまた、どうしたらみずからの「生」を生きて生き抜くことができるのか、考え動いていきたいところです。
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ひとつの人生、ひとつの文化
今週のみずがめ座は、みずからの日常に命の呼吸を息づかせていこうとするような星回り。
『雛飾りつつふと命惜しきかな』(星野立子)という句のごとし。
これはただ不吉な前兆を詠んで自己成就してみせた奇異なエピソードというより、心をこめて扱っていた人形を通して「ふと」いのちに触れる感覚が引き起こされたというごく自然な連続性がその根底にあって、だからこそ作者の「命が惜しい」という感情もまた読者によく伝ってくるのだと思います。
あなたもまた、花びらがごく自然に展開されていくような、無理のない、それでいてこの宇宙と調和した暮らしぶりということを改めて意識していきたいところです。
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連綿としたつながりの中で
今週のうお座は、愛に依って結ばれた交互媒介事態としての“(生の実感の)復活”に浸っていこうとするような星回り。
田辺元は、最晩年にあたる1950年代に最後の力をふりしぼってエッセイ『メメント・モリ』を発表。田辺は死者との「実存協同」ということを説いていますが、これは禅籍の『碧巌録』に出る師弟の話に基づいています。
田辺の場合は妻をうしない、死んだ妻が自分のうちに生きていると実感したことが大きかったようですが、それだけでなく、当時ビキニ環礁でのアメリカの核実験によって第五福竜丸が被爆し、核の脅威による死という事態に人類が直面したことを受けてもいたのでしょう。
あなたもまた、みずからがどんな「実存協同」の鎖のなかにいるのかという視点から、改めてそのまなざしを開いていきたいところです。
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