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【F1テスト新車情報:ハース】VF-23もサイドポンツーンに大きな変化。複数のルーバーで冷却性能をカバー

2023年02月25日 16:20  AUTOSPORT web

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VF-23はバスタブ型。上面のルーバーだけでなく、エンジンカウル両脇にも縦にスリットが入っている
 2月23日、バーレーン・インターナショナル・サーキットでF1の2023年シーズンのプレシーズンテストが始まった。2月上旬から行われた新車発表では、いくつかのチームがカラーリングを発表するのみにとどまっていたが、このテストでようやく全チームの実車が出揃った。今回はハースの新車『VF-23』を特集する。

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 フェラーリ製のパワーユニットとトランスミッションを使用し、フェラーリと技術提携も行っているハース。しかし、2023年のマシン、VF-23にはハースの独自路線がしっかりと刻まれている。

 ノーズは昨年型を踏襲し、先端が下段2段目のフラップまで伸びたショートノーズ・タイプ。ただし、昨年のVF-22に比べて、メインフラップの中央部分の湾曲が大きくなっている。

 VF-22と最も大きな違いはサイドポンツーンの入口。昨年までは入口の上端と下端が同じ位置にあったが、このVF-23では上端が後方へ下がっている。またインダクションポッドの両脇のホーンウイングは昨年と同じだが、今年はヘイローの付け根に小さなフィンが追加されている。

 サイドポンツーン入口の上端が後退しているのがわかる。後方へ向かう風の量が減り、ピークダウンフォースは減るが、フロントタイヤからの乱流の影響は小さくなるので、ダウンフォースを安定して出せるというメリットがあると考えられる。これはレッドブルやアストンマーティンも採用している処理だ。

 サイドポンツーンの中央部が沈み込んだ、いわゆるバスタブ型であることがわかる。ただし、サイドポンツーンの入口の上端を下げたことでクーリング性能が落ちた分、バスタブ上面のルーバーだけでなく、エンジンカウル両脇にも縦にスリットが入っている。またエンジンカウルのエッジ部分にも小さなルーバーが確認できる。これは同じフェラーリPUを搭載しているアルファロメオも行っている。もしかすると、センターラジエターを搭載しているかもしれない。

 ディフューザーとビームウイングの間にセパレーターがあるのも、ハースの特徴だ。

 ビームウイング自体の配置も独特だ。通常は2枚を並べて1枚の大きなウイングのように使用することが多いが、ハースは前後に配置し、下段はディフューザー効果を高めることを目的として使用し、上段は独立したウイングとして使用しているようだ。

 細部を見れば見るほど、オリジナリティが感じられるハースのVF-23。接戦が予想される中団争いで間違いなく台風の目となりそうだ。