「配属ガチャ」という言葉は、配属先に不安を感じる新入社員の心情を表している。確かに当たりハズレで人生が大きく変わってきそうだが……。東京都に住む50代前半の男性(ITエンジニア、システム開発・SE・インフラ/年収1600万円)は、
「最初の配属で、全く希望しないレガシー技術の開発の部署に入れられました」
と自身の新人の頃から今日までを振り返った。
「自分が作ったわけでもないシステムのバグでわけもわからず怒られ続ける毎日」
その開発部署は「当時、社内でも最後の大規模開発と言われていたもので、ちょうど開発したものを導入するタイミングだった」という。そこで男性が担当させられた仕事は「導入後のトラブル対応」だった。当時をこう回想する。
「自分が作ったわけでもないシステムのバグでわけもわからず怒られ続ける毎日で、楽しそうに働く同期を横目にツライ日々を過ごし、配属した人事を恨みました」
それでも辞めずにその部署で働き続けたが、あるときからシステムの維持管理が子会社に移管されることに。男性がいた部署は解体され、「5年目にまったく違う営業系の部署に異動」となった。再び配属ガチャが回されたのだ。
「次の部署では若手社員も多く楽しく仕事をしていましたが、生え抜きではないことや5年の経験不足のせいで、評価はあまり高くなく、出世も少しずつ遅れがちになっていきました」
もう新人ではないため初めての仕事でも即戦力が求められたのだろう。つくづく最初の配属先が悪かったと感じたのではないか。しかしやがて転機が訪れる。
「12年目に前の部署の上司が突然訪ねて来て、新しい開発プロジェクトを起こすことになり、前のシステム開発経験者を集めているとのことで開発系の部署に呼び戻されました」
昇格が遅れていたが、一気に同期を抜き去る
なんと男性は新プロジェクトに経験者として参加することになった。
「この開発は会社の最も重要なシステム開発と位置づけられ、いろいろなところからメンバーが集められましたが、その中で、過去の類似したシステムを知っているということがアドバンテージになり」
「年齢的にも一番技術者として活躍できる年齢だったこともあり、開発のコアメンバとして活躍することができ会社からの評価が大きく変わりました」
かつてうらやんだこともある同期の現在と比較し
「昇格が遅れていたのですが一気に同期を抜き去り、部長になるタイミングでは同期の中で一番早い出世となり今に至っています」
と胸を張る。もちろん、男性が配属先で努力したからこそ新プロジェクトで活躍しできたのだろう。
「今になって考えると初期配属からの5年間がなければ今の自分はなく、当時、あれだけハズレを引いたと思っていた配属ガチャですが、長い目でみたら実はアタリだったということが分かりました」
結果的には「配属ガチャ」を肯定的にとらえ、自身のキャリアに満足している様子だ。
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