2月19日、スーパーGT GT300クラスに参戦するmuta Racing INGINGは、2023年の参戦体制を発表した。このなかで1997年から長年トップドライバーのひとりとして戦い、通算7勝、12回のポールポジションを誇る加藤寛規が、muta Racing INGINGの監督兼Cドライバーというポジションになった。加藤にこの監督就任について聞いた。
高橋がGT300を退いた2020年からはチーム全体の方針も任される立場にもなったが、2021年からはmuta Racing INGINGのドライバーとして2号車を引き続きドライブ。2021年は阪口良平とともに1勝、GR86にスイッチし、堤優威と組んだ2022年も1勝を飾るなど、大ベテランながら衰えぬスピードをみせていた。
そんな加藤がドライブしていたmuta Racing INGINGだが、2023年に向けて、堤がAドライバー、新加入となった平良響がBドライバーとなり、加藤はチームの監督、そしてCドライバーに就くことになった。ただレギュラードライバーとしての参戦は2023年は見られない。Cドライバーとして登録はするが、実際のところはチーム強化がメインとなりそうだ。
ただ、もちろん加藤の豊富な経験と開発能力、後進を育てる力はどんなチームも欲しいところだった。「(レギュラーを)下りていいですか?」と加藤が聞くと、muta Racing INGINGからは卜部治久オーナーをはじめ、「シーズン終わりまで考えて欲しい」と引き留めがあったという。その後、第6戦SUGOが行われ、天候を読み加藤は堤とともに優勝を飾った。「気が変わった?」とチームからも聞かれたというが、加藤の意志は変わらずだった。
長年のスーパーGTファンとしては少々寂しいところではあるが、“完全な引退”ではない。監督として後進の指導など、muta Racing INGINGでまだまだ加藤が担う役割は大きく、加藤自身も今シーズンを楽しみにしているよう。ただ一方で2024年、『もう一度乗りたくなった』という声が聞こえる可能性も期待したい。