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処理施設の火災原因になることも - 日本たばこ協会が加熱式たばこ機器の回収・リサイクルに取り組む理由

2023年02月17日 10:02  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
近年、従来の紙巻たばこにかわって、加熱式たばこの市場が急拡大した。煙が出ないこと、服や髪ににおいがつきにくいことなどから人気の高い加熱式たばこだが、使用済み機器の捨て方を誤るとごみ処理施設などの火災原因になってしまうこともあるという。



加熱式たばこ市場の拡大を背景に、日本たばこ協会は2020年2月に加熱式たばこ機器などの回収・リサイクル活動を始めた。取り組みの背景や、加熱式たばこ機器の意外な危険性について、一般社団法人 日本たばこ協会の担当者に聞いた。


○■全国約1,200店で加熱式たばこ機器を回収



――まずは、日本たばこ協会の概要をお聞かせください。



「日本たばこ協会」は、1987年に設立された業界団体です。乳幼児の誤飲防止やたばこ火災の注意喚起など、たばこに対する諸課題に対して、業界で力を合わせて対処すべく活動しています。



JT社、フィリップ モリス ジャパン社、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン社の3社が正会員で、たばこの輸入代理店も多数加入しています。



――日本たばこ協会が取り組んでいる、加熱式たばこ機器などの回収・リサイクル活動について、概要を教えてください。



全国約1,200軒のたばこ販売店をはじめとする回収店舗にて、使用済みの「glo」「Ploom」の本体および一部消耗品の回収を行っています。ただし、「iQOS」や電子たばこは回収対象外となっています。



加熱式たばこ機器などの回収・リサイクルは、2020年の2月に1都3県でスタートし、2021年4月には対象エリアを全国に拡大しました。回収店舗に持ち込まれた使用済み機器は、再資源化(一部熱エネルギーに変換するサーマルリサイクル)を行い資源循環に貢献しています。


○■捨て方を誤ると火災の原因になることも



――なぜ、加熱式たばこ機器などの回収・リサイクル活動を始めることになったのでしょうか?

使用済みの加熱式たばこ機器については、販売元各社が「自治体のルールにのっとってご自身で廃棄をお願いします」とユーザーに呼びかけてきました。



ところが、加熱式たばこ市場の急成長に伴って、使用済み機器の廃棄にまつわる事故も増えていました。加熱式たばこ機器には、モバイルバッテリーや携帯扇風機などと同様に、リチウムイオン電池が使われているため、使用済み機器を一般ごみとして捨ててしまうと、ごみ収集車やごみ処理施設で火事が起きることがあります。



火災事故を防ぐためにも、使用済みの加熱式たばこ機器は適切に廃棄することが大切ですが、「自治体ごとにごみ出しのルールが異なるため、どのように捨てればいいのかがわかりにくい」という課題がありました。



社会全体で環境意識が高まっていることもあり、日本たばこ協会、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン、JTが自主的な回収・リサイクル活動を始めることになりました。



――悪気なく捨てた加熱式たばこ機器が、火災につながってしまうことがあるんですね。



リチウムイオン電池は破損・変形により発熱・発火する危険性があるため、分別されずに捨てられてしまうとごみ収集車やごみ処理施設で押し潰されたときに火災の原因になってしまうことがあります。



環境省が発表しているデータでは、ごみ処理施設の火災の原因になっている製品の1位がモバイルバッテリー、2位が加熱式たばこ機器、3位がコードレス掃除機となっています。リチウムイオン電池を使用している製品は適切に廃棄することが大切です。



使わなくなった「glo」と「Ploom」のデバイスがあるけど、どのように捨てればいいかわからないという方は、お住まいの自治体での廃棄方法を調べていただくか、私たちの回収店舗に使用済み機器を持ってきていただければと思います。回収店舗は日本たばこ協会のホームページでご確認いただけます。

○■環境負荷軽減と火災事故防止に向けて



――今後、加熱式たばこ機器の回収・リサイクル活動を通じて、実現したいこと・目指していることをお聞かせください。



私たちが加熱式たばこ機器回収・リサイクル活動に取り組んでいる目的は、大きく分けて2つあります。



ひとつは、ただ捨てるよりも環境に負荷をかけない形で処理することにより、業界として適切な資源循環を推進することです。そしてもうひとつが、火災事故の原因となるような不適切な廃棄をなくすことです。



そのためには、私たちが行っている加熱式たばこ機器の回収・リサイクル活動について知ってもらい、もっとたくさんの人にこの活動を役立ててもらう必要があると思っています。



まだまだこの活動が広く知られているとは言えない状況なので、適切な廃棄を促す情報発信や、私たちの活動を認知してもらうための取り組みを広げていきたいと考えています。



そして、事故防止はもちろん、環境負荷軽減のためにも、お住まいの自治体での廃棄方法を調べていただくか、私たちの回収店舗に使用済み機器を持ち込んでいただければと思います。ご自宅のすぐ近くに回収店舗があるとは限りませんが、外出のついでに立ち寄ってもらうなど、活用していただけると嬉しいですね。



春奈 はるな 和歌山出身、上智大学外国語学部英語学科卒。信念は「人生は自分でつくれる」。2度の会社員経験を経て、現在はフリーランスのライター・広報として活動中。旅行やECをはじめとした幅広いジャンルの記事を執筆している。旅をこよなく愛し、アジア・ヨーロッパを中心に渡航歴は約60ヵ国。特に「旧市街」や「歴史地区」とよばれる古い街並みに目がない。ブログ「トラベルホリック~旅と仕事と人生と~(https://harubobo.com/)」も運営中。 この著者の記事一覧はこちら(春奈)