Text by CINRA編集部
浦沢直樹の漫画『PLUTO』がNetflixでアニメーションシリーズ化し、今年配信されることが発表された。
漫画『PLUTO』は、手塚治虫の漫画『鉄腕アトム』の一篇「地上最大のロボット」を長崎尚志のプロデュースのもとでリメイクした作品。人間と高性能ロボットが完全に共生する近未来で起こるサスペンスドラマを描いた。
アニメ版の制作プロデュースはジェンコ、アニメーション制作はスタジオM2が担当。エグゼクティブプロデューサーを真木太郎、丸山正雄が務める。
今回の発表とあわせて公開されたPVには、物語の主人公であるユーロポールのロボット捜査官・ゲジヒトと、彼が追う事件に関わるアトムとウランという2人のロボットが登場。ゲジヒト役を藤真秀、アトム役を日笠陽子、ウラン役を鈴木みのりが演じることも発表された。
3月25日に東京ビッグサイトで開催される『AnimeJapan 2023』の「ネトフリアニメ スペシャルステージ」には浦沢直樹、手塚眞、日笠陽子、鈴木みのりが登壇予定。
【浦沢直樹のコメント】
60年前の発表以来、その言いようのない切なさに私の心が揺さぶられたように、多くの人の「心の漫画」となった「鉄腕アトム」の挿話「地上最大のロボット」。
この作品のリメイクがいかに難事業かを身をもって知る私は、今回のアニメ化に挑むスタッフの皆さんの勇気に心から拍手を送るとともに、新たな「心の作品」の誕生に心躍っています。
今こそ手塚治虫さんのメッセージが世界中に届きますように。
【長崎尚志のコメント】
60年前、『PLUTO』の原作『地上最大のロボット』が誕生した。
最強の戦闘能力を持つロボット達が競う物語だったが、これまでのアトムにはこの手の対戦形式の作品はなく、当時の少年達は熱狂した。アトムファンというより『地上最大のロボット』ファンの誕生だ。その渦中にいた私は、この作品が単に誰が強いかを描いた作品ではなく、もっと深い何かを伝えたいのではないか、と感じていた。そして『PLUTO』に挑んだ時、答えが出た。手塚治虫は預言者だったのだ。現代、我々が直面している戦争とは、東西の文化や考え方の違いを理解し、尊重しなかった結果である。『PLUTO』はその手塚哲学を受け継ぎ、ただ反戦を訴えるのではなく、そこには痛みがともなうこと……それでも平和しかないということを世に問いたい作品なのだ。
【手塚眞のコメント】
ついに、やっと、『PLUTO』がアニメになる。いつかこれは映像にされるべきだと思っていた。
何度も企画が立ち上がりまた消えていったのは、その内容の難易度の故だ。確かにハードルが高い。
しかしだからこそ挑戦のしがいがある本物中の「本物」だ。
そしてこれは新しい浦沢アニメであると同時に、新しい手塚アニメでもある。
アニメの進化形をどのように見せてくれるか、とても楽しみだ。