Text by CINRA編集部
稲垣吾郎主演の舞台『サンソン -ルイ16世の首を刎ねた男-』の再始動が発表された。
2021年4月に初演の幕を開けるも、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、数公演で東京公演の中断、大阪公演の中止を余儀なくされた同作は、18世紀のフランス・パリを舞台に、ロベスピエール、マリー・アントワネット、ルイ16世らの首を刎ねた死刑執行人シャルル=アンリ・サンソンの数奇な運命を描いた物語。
稲垣吾郎がシャルル=アンリ・サンソン役を演じるほか、新キャストとしてサンソンの敬愛の対象でもあるルイ16世役の大鶴佐助、革命期の青年役の崎山つばさ、佐藤寛太(劇団EXILE)、池岡亮介(D-BOYS)が出演。初演メンバーから落合モトキ、清水葉月、ギロチンの発案者で医師のギヨタン役の田山涼成、シャルルの父親とロベスピエール役の榎木孝明が続投する。演出は白井晃、脚本は中島かずき(劇団☆新感線)、音楽は三宅純が担当。
同公演は、4月14日から東京・東京建物 Brillia HALL、5月12日から大阪・オリックス劇場、5月20日から長野・まつもと市民芸術館 主ホールで上演。チケットの一般販売は、東京公演が3月26日10:00、大阪・長野公演が4月9日10:00から開始予定。
【稲垣吾郎のコメント】
『サンソン』再始動の話を聞いたときは素直に嬉しく思いました。白井さん、中島さん、三宅さんという素晴らしいクリエイターの方たち、そしてフレッシュなメンバーも加わるキャストの皆さんと、改めてこの作品に向かい合えることに感謝しています。
“死刑執行人”という非情な宿命を背負ったサンソンに再び向き合い、彼のような人物がいたという事実を、舞台を通して皆様に伝え、未来に繋げていければと思っています。
色々なお仕事をさせていただく中で、舞台は自分が自由に羽ばたけるような貴重な場所です。初演時は中止になってしまった公演も多く、ご来場が叶わなかったお客様もいらっしゃると思います。今回は多くのお客様と時間を共有できることを楽しみにしています。
【白井晃のコメント】
2021年4月の突然の中断から2年。再び『サンソン』が動き出す。私は、今回の公演を再演とは捉えていない。あの日の憤りからこの作品はずっと続いている。だから、再演ではなく再始動である。2年間という時間の中で私たちは多くのことを学んだ。不安の蔓延、虚偽と真実の不確かさ、価値の変化。だからこそ、今、フランス革命の中心にいて、時代の波に翻弄されながらも、使命を全うすることで自己の存在を見出そうとした「サンソン」の姿が崇高に思えてくるのだ。
【中島かずき(劇団☆新感線)のコメント】
『サンソン』が再始動する。2021年に唐突に中断され、その公演の大半を中止せざるを得なくなり、それでもなんとか神奈川公演で大千穐楽にだけはたどり着けた。だが、そこにいた誰もが不完全燃焼な思いを胸に「もう一度」と熱く願っていた作品だ。2年の時を経て、新しいメンバーを加えて、ようやく胸の燻りに火をつけることができる。暗く辛い時代の重い使命を抱えた男の物語だが、しかし、その炎があれば、闇の先の光にまでたどりつけると信じている。
【三宅純のコメント】
世襲の『死刑執行人』という宿命、動乱の時代がもたらす過酷な試練、シャルル=アンリ・サンソンをめぐる数奇な史実を知って、僕は震撼した。彼が責務を執行した現場の多くは、パリの住まいから徒歩圏にあり、街が今までとは違って見えてきた。サンソンの生きた時代、カオスとデカダンス、彼の美学とリリシズムを、白井晃さんの音楽構成案に繰り返し登場する「重低音」というキーワードと、どのように交差させるべきか、試行錯誤したのが今回のスコアだ。
この作品の初演はコロナ禍に翻弄され、余儀なく中断されたが、僕にはそれすらも物語の背景にある動乱の時代の事象に見えてきてしまっていた。今回の再演に際しては、中断された悔しさのエネルギーが昇華され、さらに凄みのある舞台になることを期待している。
【大鶴佐助のコメント】
フランスには友人も多く、実際にフランス人を演じたこともあり、縁深いものを感じています。フランス革命という歴史の象徴でもある題材、そして首を切られてしまうルイ16世の心情などまだまだ未知の部分も多く、改めて勉強してお稽古に入りたいと思っています。
【崎山つばさのコメント】
お話をいただいたときは喜び、不安、緊張、楽しみなどが入り混じり、背筋が伸びる思いでした。18世紀という特別な世界観に入り込めることにワクワクしています。多くのことを吸収して1日も早く馴染めるように稽古に励んでいきたいと思っています。
【佐藤寛太(劇団EXILE)のコメント】
『銀河鉄道の夜』でご一緒させていただいた白井さんの演出ということで、演目を聞く前に「やりたいです!」と伝えました。初日から千穐楽に向けて変化することを楽しみながら、たくさん怒られて成長していきたいと思います。
【池岡亮介(D-BOYS)のコメント】
今回のような時代の作品に出演するのは初めてですが、物語の裏側を探ることが好きなので“死刑執行人”という題材に隠されている見えない部分を追求できればと思っています。
役者の心情までしっかり見てくださる白井さんの期待に応えられるよう、嘘のない演技をお見せしたいです。