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「2台体制のチームで走りたかった」テック3に移籍してMotoE世界チャンピオンを狙う大久保光

2023年02月13日 17:40  AUTOSPORT web

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2023年はTech3 E-RacingからMotoEに参戦する大久保光
 MotoEで3年目のシーズンを迎える大久保光。2023年シーズンは、Avant Ajo MotoEからTech3 E-Racingに移籍。目指すのは世界チャンピオンと言い切る。

 開催5年目のMotoEは、それまで“World Cup”として行われてきたが、今年から“World Championship”となる。つまりMotoGP世界選手権シリーズのいちカテゴリーとして扱われることになった。マシンは、エネルジカからドゥカティV21Lとなり、よりコンペティブなシリーズになりそうだ。2月末に渡欧を控えた大久保に話を聞いた。

「ぶっちゃけエネルジカよりドゥカティV21Lは、いいバイクだと思います。アルミフレームですし、リンクサスになっていますし、バッテリーも全て変わって260kgから225kgと35kgも軽量化されています。実際に乗ってみないと分からないですが、エネルジカより性能は確実に上がっているでしょう。なによりかっこいいのがいいですね(笑)」

 タイヤは引き続きミシュランの再生タイヤのワンメイクとなり、決勝周回数も8周と変わらない。5月のフランスラウンドから9月のサンマリノラウンドまで全8戦16レースで争われる。2023年は土曜日に2レース行われるタイムスケジュールとなっている。

「去年は金曜日に予選まで終わらせて、土曜も日曜も夕方まで待ってレースだったので、今年の土曜で終わるスケジュールの方がいいですね。日曜日に早く帰ることができますからね」

 2021年はランキング11位、昨年は表彰台1回を含むランキング6位となった大久保。その経験を生かして、さらに上位を目指したいところだがライバルも強力だ。昨年のチャンピオン、ドミニク・エガーターはスーパーバイク世界選手権(SBK)に集中するためMotoEからは去ったが、上位ランカーは、ほとんど残り、ティト・ラバットやランディ・クルメナッハが新たに参戦してくる。

「2023年は2台体制のチームで走りたいと希望していました。その通りにテック3で走ることができるようになったので、チャンピオンを狙うための一歩が踏み出せたと思います。MotoEは、走行時間が短いので、どうしてもひとりだとセットアップ仕切れない部分もあったので、チームメイトとデータを共有できれば新型マシンもうまく仕上げていけるでしょう」

 チームメイトとなるアレッサンドロ・ザッコーネは、昨年はMoto2を走っていたが、2021年はMotoEに参戦していた。

 昨年、大久保はMotoE以外のレースも数多く参戦。ドイツスーパーバイクでは、ホンダCBR1000RR-Rにピレリ、イタリア選手権SS600ではカワサキZX-6Rにピレリ、全日本ロード第2戦鈴鹿2&4、鈴鹿8耐はカワサキZX-10RRにブリヂストン、MFJ CUP JP250最終戦ではホンダCBR250RRにダンロップとマシン、クラス、タイヤを選ばないフリーランスライダーとして活躍した。

「去年も当初はMotoE以外走る予定はなかったのですが、全部で20レース以上しましたね。ドイツ選手権のときは、レースウイークの火曜日に“今から来られるか?”と連絡があってラウリッジリンクに向かいました。ライダーのマネージメントしているドイツ人と知り合いで、その人が面倒見ていたライダーが怪我をしていたのですが、何とかレースに出ようとしていたけれど、やっぱり無理となったときに、転倒が少なくて、そこそこの速さで走れるライダーということで呼ばれたみたいですね(笑)」

「ラウリッジリンクはスーパースポーツ世界選手権(WSS)で走ったことがありましたが、初めてのCBR1000RR-Rに金曜日に30分走って、いきなり予選でした。決勝は、一ケタでフィニッシュできたので、それなりの結果だったと思います」

 今年もチャンスがあれば、MotoE以外のレースにも出てみたいと語るが、鈴鹿8耐はMotoEとスケジュールがかぶっているため出場することができない。ただ、あくまで主戦場はMotoEとなる。3月から2回行われるオフィシャルテストでドゥカティV21Lをものにして、5月の開幕戦からスタートダッシュをかけたいところだ。