新型ポルシェ・カイエンは2023年春発表。テストは大詰め、これまでに400万km以上を走行

　2023年春のワールドプレミアに向けて、ポルシェによる新型『Cayenne（カイエン）』のテストが大詰めを迎えている。

　ドイツのスポーツカーメーカーは、2017年に現行モデルである3代目『ポルシェ・カイエン』がデビューして以来、パワートレインやシャシー、デザイン、装備、そしてコネクティビティに関し、広範な対策によって人気SUVモデルを強化してきた。

　シリーズマネージャーのミヒャエル・シェッツレによると、この春に世界初公開される予定のニューモデルは、「ポルシェ史上でも最大級の広範な製品アップグレード」であるという。

　ドイツ・ヴァイザッハのポルシェ開発センターで働くエンジニアたちは、カイエンにおける駆動方式の再構築に加え、シャシーシステムにも大幅な見直しを行った。その中ではポルシェ特有のオンロード性能、長距離走行時の快適性、オフロード性能の幅をさらに広げることを目指し、新しいセミアクティブシャシーが採用されている。

　アップグレードは走行性能だけなく、快適性や安全性、コネクティビティ機能の面にも及び、ドライバーと乗員は広範囲にデジタル化された新しいディスプレイと操作コンセプトを利用することが可能に。また、HDマトリックスLEDヘッドライトの革新的な照明技術は、新型カイエンの快適性と安全性の両方を向上させるという。

　こうしたアップグレードの多くは新型カイエンのために新しく開発されたものだ。それらを正しく成立させ、コンポーネントを完璧にチューニングするには、複雑で緻密なテストが必要となる。

「新しいカイエンは、まるでゼロから開発されたかのように、完全で包括的なテストプログラムを受けている」と、テストマネージャーのラルフ・ボッシュは説明した。

　ポルシェにとって、実際にクルマで走って得た情報は、バーチャルシミュレーションの精度が高まった現在でも高い優先度を誇る。“完全車両試験”と呼ばれるテストでは、ユーザーが体験する状況と、それをはるかに超えた状況で、すべてのコンポーネントとシステムが相互作用する際の動作の安定性と機能性が確認される。

　また耐久試験では、ユーザーが実際に体験することはほとんどないような厳しい条件下で、車両のライフサイクルをシミュレート。日常の条件下では、市街地、郊外、高速道路を数カ月にわたって走行し、その走行距離は20万kmをはるかに超える。これらのテストが、ニューモデルの発売準備が完了したか否かを判断する基準となるのだ。

　さらに、新型モデルのプロトタイプは、地球上のさまざまな気候帯で品質と耐久性をテストすることを目的として世界中を旅し、極限状態でのシミュレートを実地で行う。新型カイエンのテストは、アジアをはじめ、アフリカ、ヨーロッパ、北米で実施され合計距離400万kmを上回った。

　カイエンのプロトタイプの組立、およびテストチームを率いるディルク・レルシュは次のように述べている。「スペインでの過酷なオフロードテスト、モロッコの過酷な砂丘、フィンランドのアイスバーンやニュルブルクリンクのノルドシュライフェでのダイナミックな走行など、新しいカイエンに求められるものは、多くのお客様が実践されることとは異なるかもしれません。しかし、ポルシェ車を購入されるお客様には、走行する路面に関係なく、非常に高い負荷に耐えることができたということをお知らせしたいと思います」