トップへ

【詳報】警察への不満アンケート「抗議のコツ」編 警察官の法律知識「不十分」、弁護士の7割が回答

2023年02月08日 20:01  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

弁護士ドットコムは、会員の弁護士に「警察の対応への不満」についてのアンケート(実施期間:2022年12月21日~2023年1月9日)を実施し、105人から回答が寄せられた。結果を4回に分けて詳報する。


【関連記事:「連帯保証人になってくれないか?」 交際2カ月の彼から突然のお願いに困惑】



4回目のテーマは「警察官の法律知識」と「抗議のコツ」について。警察官の法律知識は十分かの問い対して、「十分」「やや十分」と答えた弁護士はわずか6.7%だった。約7割の弁護士が「不十分」「やや不十分」と回答した。



知識が十分ではないから、弁護士と警察官との間では多くのトラブルが起こるのだろう。抗議のコツとしては「警察署長宛に抗議文を出す」というのが多かった。



●瞬発力が求められる現場での抗議

もちろん抗議にも段階があるだろう。まずは現場での対応についてのコメントを紹介する。



「高圧的な抗議はせず、まともな大人の話をする」



「間違っている根拠を述べたうえで、その警察官の名前を確認する」



「被疑者本人から、取り調べの際に担当警察官が机を蹴ったという申し出があり、当該警察官を出すよう求めて直接抗議したところ、担当が交代となったことがあった。電話ではなく直接言った方が効果があるように思う」



「強気に出れば、だいたい向こうが折れる。『弁護士会に苦情出す』と言われても、堂々と名刺を突きつけ『よし、やれよ!』と言えば、結局何もしてこない」



●署長・検事らに内容証明、刑弁委員会に相談

その場で解決しない場合は、書面でのやりとりへ。



「その場でクレームをいれられる案件ならそれで、そうでなければ署長宛にお手紙です。取り調べへの抗議は必ず部署の長までにはあがるはずです」



「担当の管理職に口頭で抗議、改善されない場合は警察署長宛に内容証明郵便を出すと同時に、担当検事にFAXを入れる。この方法で、実際に被疑者及び弁護人に謝罪がなされた例もあった」



「すみやかに抗議文を各所(警察署長、公安本部、検察庁)へ送る」



また、「単位会を通じて抗議する」、「国賠を検討すると伝える」といったコメントも見られた。



「刑弁委員会等を通じて公式に抗議を行う」



「弁護士会として苦情申入れをする可能性がある、など組織的背景を示す」



●弁護人選任届を受理させるコツは?

中には具体的な対応法への言及も。たとえば、弁護人選任届を受理しようとしない場合について次のようなコメントがあった。



「身柄付送致後、勾留請求前のファクシミリ対応の必要性等を説明し粘り強く受理してもらうようにしている」



「コツは返還されることを防ぐこと。弁護人選任届を窓口に置き、証拠の写真を撮ったうえで速やかに警察署から立ち去った。その後、電話で『受領できないなら、郵送で返還してください』と伝えたところ、翌朝、受領できることが確認され、謝罪の電話をもらったことがある」



●警察への同情や理解を示す声も

今回のアンケートは「不満」を聞くものだったので、問題行動が多数寄せられたが、警察に対して同情や理解を示す声も一部あったので、最後にまとめて紹介したい。



「裁判所が警察や検察が何しても言いなりなのが問題の根源。警察官の方が検察官より真面目だし法的知識もあることがほとんど」



「当地は警察官の人手不足が深刻です。夜に接見に行くと人が本当にいません。公務員の労働条件を何とかしない限り警察はよくならないでしょう。何かあったらすぐに警察という風潮もやめたほうが良いと思います」



「警察も人間なので、間違いもあれば、保身のために不祥事を隠蔽することもある。警察と無益に対立することはないが、常に動向を監視して問題があることについてするべき主張は行うべきである」



「警察官の質の確保というのは非常に難しい問題なのだと思う。被害者側からするとDV事件等でかなり対応がよくなっている部分もあるが、全体として、やはり日々の研鑽を怠りなく行ってもらうしかないのであろう」



「どの職業でもそうなのでしょうが、警察官個人の力量による差が激しいと思います。警察は強大な国家権力を担う組織なので、属人的要素を排して、誰でも同じ捜査、対応ができるよう、もっとIT化を含め、マニュアル化が進むと良いと思います」



●関連記事

・【概要】弁護士が見たひどすぎる警察官 LGBT当事者への差別、被疑者をお前呼ばわり【アンケート】



・【詳報1/4】警察への不満アンケート「逮捕」編 弁護士の3分の2が疑問視「安易に逮捕しすぎ」



・【詳報2/4】警察への不満アンケート「取り調べ」編 未だに多い暴言・誘導、弁護士の怒り募る



・【詳報3/4】警察への不満アンケート「留置」編 「暴言は日常茶飯時」「被疑者ノートを読まれた」



・【詳報4/4】警察への不満アンケート「抗議のコツ」編 警察官の法律知識「不十分」、弁護士の7割が回答