ブラック企業にメンタルを破壊された人は、どのくらいいるのだろう。広島県の60代男性は、
「思い出すと2~3日は眠れません、これを書いた後もそうなると思います」
と地獄のようなブラック企業体験を綴った。(文:コティマム)
朝6時から「出社しろ」!残業や通勤手当は一切なし
男性は、他社の方が「もっとひどい」と聞かされ我慢して働き続けていた当時をこう回想した。
「休みは年間通して正月、ゴールデンウィーク、お盆しかない時が多い。(始業時間は9時だが)早い時には朝6時、通常8時に『出社しろ』と言われる。遅い時は朝4時、通常2時まで勤務」
「深夜に無言電話がかかってきて、出ないと翌日『何故早く帰ったのか』と責められます」
本来の就業時間より早く出勤させ、深夜まで続く勤務。にもかかわらず、
「残業、通勤手当は一切なし」
「多い時には週2であった本社会議の交通費も全て自腹でした」
という劣悪な労働環境だった。
「胸ぐらをつかまれて、『辞めろ』と言われました」
そんな中、男性はあるときからパワハラを受け退職に追い込まれることになる。この会社では2つの派閥があり、男性の属する派閥の長が亡くなった。それから、敵対する派閥の長が「“粛正”を始めた」という。男性もそのあおりを受け、パワハラが始まった。
「恫喝や、休憩時間がない。食事中も『早く仕事をしろ』と言う、帰る時も『そこにいる全員に許しを請うて帰れ』や、個室に呼ばれ数人で責められる等、ハラスメントが続き精神状態がおかしくなりました。最後は胸ぐらをつかまれて、『辞めろ』と言われました」
男性は「もう正常な精神状態で仕事ができなくなった」という。仕事内容は「間違えると他人の命に関わる」もので、こうした精神状態では続けられないと感じた男性は退職を決めた。
退職にあたり、これまで取れなかった有給休暇を消化しようとしたところ、またも「取ってはいけない」と阻止されたという。
「退職当日、新人社員が近寄ってきて『今月8時間しか残業が付いていなかった』と相談されましたが、もうどうすることもできませんでした。その子は1時間以上前に来て、『午後11時頃までいるように』と言われていたようです」
新入社員の相談にのることもできず、退職した男性。「現在でも怖くて再就職が出来ません」と明かす。外出する前には腹痛に襲われるようになり、「病院では異常がなく、『心療内科に行って下さい』と言われます」と今も終わらない苦しみを綴った。