2023年02月07日 10:31 弁護士ドットコム
弁護士ドットコムは、会員の弁護士に「警察の対応への不満」についてのアンケート(実施期間:2022年12月21日~2023年1月9日)を実施し、105人から回答が寄せられた。結果を4回に分けて詳報する。
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3回目のテーマは「留置場」。留置場における警察の対応について疑問や不満を抱いたことはあるかとの問いには、50.5%の弁護士が「とてもある」「ややある」と答えた。
2022年12月、愛知県警岡崎署の留置場で死亡した勾留中の男性が、警察官からの暴行を受けていたことが大きな問題になった。留置場では被疑者の人権が侵害される事案が度々起きている。以下、弁護士の体験談を紹介する。
「暴言は日常茶飯事だと思います。被疑者に対する言葉使いがとても汚くて驚きます」
「未決勾留であるにもかかわらず、犯罪者のように扱い、被疑者の名前ではなく、『おい』とか『お前』と呼ぶ」
「高齢で動きが緩慢な被疑者に対して、高圧的な対応を取られるとさすがに弁護人としては黙ってはいられない」
暴言・暴力以上に多かったのが、適切な医療を受けられていないという訴えだ。
「被疑者の体調が悪くてもなかなか病院に連れて行ったり薬を出してくれない」
「被疑者に脳梗塞の症状が出て、面会した家族がそれに気付き、留置係に伝え、弁護人からも病院に連れて行くようお願いしたが、病院に連れて行かなかった。結局、被疑者には半身に軽い麻痺の後遺症が残った」
「病気のときに連れて行く病院が外科で、外科と関係のない病気でもそこに連れて行き、おかしな薬の処方がされる」
弁護士と被疑者のやり取りを警察官が盗み見しているのではないかと疑われる報告もあった。
「何度も接見中覗いてくる警察官がいたため、抗議したら取り囲まれてにらみ合いになった」
「弁護士接見の内容を立ち聞きする、自白調書にサインさせるまで接見させない」
「弁護士宛の宅下げ文を検閲している様子が見られる」
「留置職員が被疑者ノートの中身を見ている」
このほかで多いのは、携帯電話などの取り扱いだ。
「携帯電話の提出でもめることがよくある」
「スマホを無理やり預けさせられる警察署がある」
「携帯電話・所持金などを証拠物件だと言って、被疑者に返還しようとしない」
差し入れについての不満もあった。
「写真は差し入れできるのに、写真をA4の紙に印刷したものは差し入れできないなど、差し入れできない基準が不合理。窓口の人の判断によって異なることもある」
「差し入れできる物の条件が厳しくて不合理」
「差し入れた物品を被疑者に渡さない」
プライバシーの観点からこんな報告もあった。
「当地では夜間、警察署を訪問して接見を申し出ると、『留置人の氏名を教えてください』と言われます。ですが、何らかの困りごとに遭遇した一般市民も訪問する場所であるため、留置人の氏名という重大なプライバシー事項を尋ねないでほしいと、常日頃感じています。とりわけ、被疑者が地元で事件を起こし、地元の警察署で留置されているような場合には、特別に気を遣ってしまいます。弊職は『弁護人である私の氏名をお伝えすれば、私が担当する被疑者の氏名も確認できるはずなので、私の氏名のみをお伝えします』という回答をして対応をしています。いつの日にか、弁護人の氏名を伝え、これを通じて担当被疑者を確認する、というやり取りが確立してほしいなと思っています」
ただし、警察の対応を評価する声もあった。「逮捕編」や「取り調べ編」よりも不満に思う弁護士の割合が少ないように、警察官個人や地域によるバラつきがより大きいのかも知れない。あくまで参考レベルだが地域も付記する。
「特段問題があると感じたことは少なく、むしろ被疑者の体調等に配慮してほしいと伝えたところ、良い対応をしていただいたこともあるので、問題があるとまで感じてはいない。遅くまでの接見などもでき、警察署留置場の方が、拘置所よりも良いと感じる部分もある」(京都)
「当県に限っては、留置係は被疑者にかなり気をつかっている部類なのではないかと思う」(広島)
「総じて、留置管理課の対応はよいと思います。 弁護人である弊職が一生懸命に伝えれば、法令や規則の範囲内のことを、最大限の努力で対応してくれる印象です。 なお、伝える際には、留置管理課の職員さんに接見室内に入ってもらって、被疑者さんの目の前で、被疑者さんの要望(通院したい、薬が欲しいという要望が多い)を伝えるようにしています」(大阪)
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