感染症の拡大から、世界各地への渡航が難しくなったここ数年。ようやく規制が緩和され始め、海外旅行のムードが高まってきました。
よし、そろそろ海外に行けそうだ!そう思いながら飛行機のチケットを調べると、以前よりもグッと料金が高くなっていて「もう少し待とうかな…」と弱気になっている、isutaエディターのmanamiです。
近々行きたいなと思っている国の1つが、ヨーロッパのオーストリア。芸術の街といわれるウィーンには二度訪れたことがあり、久しぶりに足を運びたいと思っている場所でもあります。
そんなウィーンに飢えている私の元へ、ある吉報が。ウィーンで活躍した画家、エゴン・シーレの展覧会が上野の東京都美術館で開催されるというのです…!
今回内覧会のお誘いを受け、彼の作品を堪能してきました。
ウィーンに行きたい…けどまずはエゴン・シーレ展へ絵画が好きな方にはお馴染みのエゴン・シーレですが、「あまり聞いたことのない名前…」という印象の人もいると思うので、軽くご紹介を。ウィーンを代表する画家といえば、グスタフ・クリムトは有名ですよね。
ざっくりいうと、今回フィーチャーされているエゴン・シーレは、クリムトの後輩にあたります(ざっくりすぎて怒られそう)。
16歳のときには学年最年少の特別扱いでウィーンの美術学校へ入学するという天才っぷりで、その実力はクリムトのお墨付き。
「僕には才能がありますか?」とシーレが尋ねると、クリムトは「才能がある?それどころかありすぎる」と答えたんだとか。
そんな実力派のシーレの作品は、華やかで黄金のイメージが強いクリムトのテイストとはかなり異なります。
ディープでダークな作品が多く描かれていますが、人間味のある彼の絵の数々に、きっと引き込まれてしまうはず。
ちなみに上の写真は、内覧会へ行く前にいただいたウィーンのスイーツ。カフェ文化が栄えているウィーンのお菓子は、どれも絶品…甘いスイーツで満足して、本来の目的を見失いそうになりました。
危ない危ない、ウィーンの街へ思いを馳せつつ、東京都美術館へ向かいます。
30年ぶりにエゴン・シーレの作品が多数来日今回の展覧会では、30年ぶりにエゴン・シーレの作品50点が集結。
彼の作品を多くコレクションしているウィーンのレオポルド美術館の所蔵作品を中心に、油彩画やドローイングなどが展示されています。
一度レオポルド美術館にも行ったことがあるのですが、「あれ、こんな作品あったっけ?」と改めて気づくものも多く、現地をすでに訪れた人でも楽しめそう。
展示方法やキュレーションの仕方も異なるため、新鮮な気持ちで鑑賞することができました。
ここまで散々“天才”と紹介してきたシーレですが、28歳でその生涯を終えています。しかも夫婦そろってスペイン風邪に感染し、妊娠中の妻が先に他界、その3日後に彼も亡くなりました。
若いときから人間の内面や性を描き続け、逮捕されて作品を燃やされたこともあったシーレ。本展はそんな彼の激動の人生を、数々の作品を通して辿っていく内容となっています。
展示されているのは、シーレの作品のみではありません。先ほど触れたクリムトやコロマン・モーザー、オスカー・ココシュカなど、同じ時代を生きた画家たちの作品も来日。
1つひとつ作品をじっくり観て、音声ガイドも聞いて…と回っていくと、かなりのボリュームでした。ほかの画家の人生も詳しく解説されており、その時代の芸術にさらなる興味が湧いてきます。
エゴン・シーレ展の中身をちょっとだけご紹介あまりネタバレするのももったいないので、展示の一部だけチラ見せ。
こちらは建築家 ヨーゼフ・マリア・オルブリヒによる「第2回ウィーン分離派展」ポスター。この建物は現在もウィーンに残っており、印象的な黄金色をした月桂樹のドームは、通称“金のキャベツ”として知られていますよ。
クリムトといえば金色の作品の印象が強かったのですが、こんな素敵な絵画も残していたんですね。これはシェーンブルン庭園を描いたもの。
水面に映る緑が美しく、観ているうちにどんどん惹き込まれてしまいそうです。
本展のポスターにも採用されている、「ほおずきの実のある自画像」。こちらを見ている目は挑発しているのか、それとも何かに怯えているのか…。
顔には青や赤などの色も用いられ、独特な雰囲気を醸し出しています。この作品だけでも、じっと観ていられそう。
ちょっとディープな世界にハマっちゃうかも独特のタッチで、人間の深い部分や生死について描き続けたエゴン・シーレ。彼の作品を観れば、きっと魅了されるはずですよ。
今は東京都美術館ミュージアムショップで関連グッズも販売されているようなので、ぜひそちらもチェックしてみて。
ますます、早くウィーンに行きたくなっちゃった。
レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才 会場:東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36) 会期:1月26日(木)~ 4月9日(日) 休館日:月曜日 開館時間:9:30~17:30、金曜日は20:00まで(入室は閉室の30分前まで) 観覧料:一般2200円、大学生・専門学校生1300円、平日限定ペア割3600円 公式サイト:https://www.egonschiele2023.jp/