業務経験者として採用されたにもかかわらず、転職先で「未経験者のふりをしてほしい」と言われたという珍しいエピソードが寄せられた。
30代女性(福島県/年収300万円)は、結婚を機に田舎に引っ越し、地元のホテルで働き始めた。結婚前にも同じ業界で働いたことがあり、面接と履歴書でも「経験を活かしたい」とアピールしていたという。ところが……。(文:林加奈)
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「経験者か問われても誤魔化すように」と支配人
女性は入社した日に、支配人からこんなことを告げられた。
「『未経験者のふりをしてほしい』『経験者か問われても誤魔化すように』という衝撃的なものでした」
理由は、働き始めてすぐにわかったという。「どうやら原因はお局様の存在で。自分の意見が通らなければ不機嫌になり、自分より格下と判断した人にはとにかく攻撃的」というやっかいな存在だった。
「40代半ばで独身の方でしたが化粧気がなかったので、“ある意味若く見える”外見でしたが『私30歳に見られるから』と自称し20代の長期滞在男性客に手紙を渡してニヤニヤしている時もありました」
女性は「漫画やドラマにいそうな、まさに絵に描いたような典型的なお局様で『本当に存在するんだ……』と思わずにはいられませんでした」と当時の衝撃を振り返る。
「できることを『できないふり』をするのは大変苦痛」
そのホテルでは、客よりもその女性従業員が最優先されていたようだ。
「支配人も含め、とにかく全従業員がお局様の機嫌を損ねないように気を遣っているような環境でした」
「ちょっとしたミスをすれば2週間はネチネチと嫌味を聞かされますが、お局様のミスは全員が全力で秘密裏に『なかったこと』にするため、お局様の『自分は完璧で正しい』という思い込みを助長していました」
女性は未経験者のふりをするように指示した支配人について「お局様より若くて業界経験が長かった私を守ろうとしたのかもしれません」と推測しているが、「いや、黙認すんなよ。未経験のふり?入社する前に言えよ!辞退したわ!」と憤りも綴っている。
やがて、随所でその女性従業員よりスマートな対応が取れた女性は、やはり彼女に目をつけられてしまう。「未経験者のくせに知った気になっちゃって!」と嫌味を言われたこともあった。入社してから1年、「結局バカバカしくなり退職しました」と明かす女性。
「何度か転職を繰り返し『天職だ』と思えた業界なので我慢していましたが、わかることやできることを『できないふり』をするのは大変苦痛でしたし、何よりも支配人が私を『できない人』と評価してきました。在籍していた期間、何も得たものはないです」
経験を無かったことにされる上に、妙な嘘を強要される職場で働き続けることは難しい。今では同業他社に転職し、「1年足らずで役職をいただきました」と正当な評価と信頼を得ていることを報告した。最後に当時を振り返り、
「『よくわからないんですけど、こうしたらいいのかと思います。あっわかんないのに生意気でした申し訳ありません』とか言ってた期間が本当に無駄だったと思います」
と虚しさを綴っていた。