2023年01月31日 10:21 弁護士ドットコム
廃棄になった寿司のネタを金を払わずに食べてしまったーー。ある回転寿司チェーン店のアルバイトをしているという人から、このような相談が弁護士ドットコムに寄せられた。
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相談者によると、過去に、廃棄予定の寿司のネタを食べたことがある同僚がほかにもいるという。廃棄品とはいえ、コッソリ食べてしまった場合は「犯罪」にあたるのだろうか。杉山和也弁護士に聞いた。
杉山弁護士は「売れ残った廃棄品だったとしても、飲食店の所有物であり、アルバイト従業員のものではありません」と説明する。
「アルバイト従業員は、一般的に、商品を無断で外へ持ち出すことが許されていませんので、飲食店が商品を支配していると考えられます。このような支配状態を占有と言い、飲食店が占有権を有していることになります。
したがって、店内の商品は、所有権・占有権ともに飲食店が有していることになり、完成した料理はもちろん、廃棄品であっても、これを無断で食べることは、刑事事件では窃盗罪に該当することになりますし、民事事件では損害賠償の対象となります。また、雇用契約上は、懲戒解雇の問題も生じます」
仮に、廃棄品がゴミ箱へ捨てられ、ポリ袋に集められて、屋外のゴミ収集所へ出されてしまった場合は「飲食店の支配を離れて本当の『ゴミ』になっているため、別途の検討が必要」だという。しかし、杉山弁護士は「飲食店は、雇用契約において、アルバイト従業員が廃棄品を食べることを認めていないことが多い」としたうえで、次のように分析する。
「アルバイト従業員が、いったん、商品を廃棄したかたちをとって、後に屋外で拾うようなケースについては、同様に損害賠償義務が発生する可能性が高いと考えられます」
【取材協力弁護士】
杉山 和也(すぎやま・かずや)弁護士
労働事件を中心に、中小企業の法務、相続、離婚に注力。特に、解雇・パワハラ・セクハラ問題について取扱多数。「オーダーメイドの法律事務所」として、一人ひとりの依頼者に寄り添いながら、ぴったりの解決方法を提案することをモットーとしている。
事務所名:弁護士法人鳳和虎ノ門法律事務所
事務所URL:http://www.houwatoranomon.com/