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バナナ滑り台から子どもが落下、経験者が危険性指摘 自治体も対象年齢の周知に苦慮

2023年01月29日 09:31  弁護士ドットコム

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スライダーが3つに分かれたバナナ型滑り台から子どもが転落・落下する事態が起きている。分岐でバランスを崩すことが原因とみられ、たびたび動画がネットを騒がせている。今月にも幼児が頭から落ちる動画がツイッターで拡散され、再び話題となった。


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約3年前に盛岡市で4歳の娘がこの滑り台から転落したという医師の鈴木徹郎さんによると、当時メーカーなどに問い合わせたところ「全国に236台あるが、対象年齢は6歳から。けがはあっても6歳未満の子で、重篤な事態は発生していない」との回答だったという。



鈴木さんは危険性を広く知らせる必要があると感じ、ホームページで発信している。設置する複数の自治体を取材すると、対象年齢があっても厳密に遊具の利用を制限するのは難しく、対応に苦慮する現状がわかってきた。







●分岐でひっかかり転落「頸髄損傷にでもなったら…」

鈴木さんは当時をこう振り返る。



「滑り台が6歳以上対象とは知らず、気づいたら娘が上っていました。下で受け止めようと待ち構えていましたが、分岐で引っかかり転落。なんとかとっさに足首をつかめたので軽傷で済みました。頸髄損傷にでもなったら…と肝を冷やしました」





対象年齢を示すシールは破れていて目立たず、頭から落下する危険があるにもかかわらず、対策が不十分だと感じたという。鈴木さんはメーカーの設計や安全部門の担当者と協議を重ねたが、「業界団体の日本公園施設業協会(JPFA)が自主的に規定する安全基準を満たしており、改善の必要はない」との見解だったという。その後、市議などに掛け合った結果、盛岡市では撤去された。



この滑り台では、他にも滑り終わりのところに手すりがないため、子どもが地面に転がってしまう動画もネット上には上がっている。投稿した鷲見月下さんは「当時、娘は5歳で顔に擦り傷を負った程度でしたが、他の親子とも『怖いですね』と話しました。特に小さい子は足をそろえて滑るのが難しかったり、行き先を迷ったりして危ない」と振り返る。





●落下が発生した横浜市緑区では2022年末に撤去

横浜市緑区では落下する事態を少なくとも2件把握し、危険との声も寄せられたため、撤去を決定。2022年末に撤去し、2023年1月に別のものに取り替えた。市の担当者によると、2018年に落下する事象が発生。聞き取り調査やメーカーとも話し合った上で、滑り方を示す看板を設置した。



「しかし、再び『子どもが顔から落ちた』など、危険だというご意見が寄せられました。正直、6歳未満の子を公園から排除するのは難しいですし、判断に至りました」



このほか、宮崎県高千穂町では事故自体は起きていないものの、表示不足だとの判断で現在は一時使用禁止としている。「リコールなどの予定もないようなので、独自で看板などを立てる予定です。未然防止のため、対象年齢の周知と見守り監督を呼びかけます」(担当者)





●国「指針はあくまで技術的な基準。撤去は自治体の判断」

国土交通省によると、全治30日以上の重傷事故があった場合は、設置管理者の自治体に報告するよう依頼しているが、ここ1年はないという。危険性があると判断した場合は、同種の遊具がある自治体に情報提供する。



遊具に関する国の基準としては、国交省が2014年に出した「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」がある。これに従って作られたのが前記の自主基準だ。あくまで技術的に適合しているかどうかを示すもので、「危険性をどう捉え、撤去するかどうかは設置管理者(自治体)の判断になる」(国交省)という。





各自治体に取材すると、担当者が悩みながら、それぞれ独自の対策を取っていることがわかる。2022年に設置したばかりの滋賀県守山市は、園内を6歳以上と6歳未満をエリア分けした上で、付き添いをお願いする張り紙もしている。また、栃木県小山市では「足をそろえて行き先を決めてから滑る」よう呼びかける写真付きの掲示を2ヵ所に設置しているという。



遊具メーカーは弁護士ドットコムニュースの取材に対し、以下のように回答した。



ーー全国に設置されているのは何ヵ所ですか?
設置数は公表しておりません。



ーー同様の事故の届け出、けがの報告はありますか?
はい、報告は受けております。件数の回答は差し控えさせていただきます。



ーー盛岡市と横浜市で撤去に至っていることについてのご見解
各自治体のご判断で撤去されておりますので、当社の見解回答は差し控えさせていただきます。 当社としては安全に使っていただくため、遊具の対象年齢についての注意喚起と安全対策として下記対応を実施しております。 ①対象年齢を明記した注意喚起のサインを設置しており、さらに効果的な注意サイン制作とその設置を進めております。 ②バナナスライダーの新規設置の際には安全対策としてセーフティマットを付属しています(2020年から)。すでに設置済みの箇所については、セーフティマットを敷く改修を提案しております。



(2023年1月30日午後5時40分、メーカーの回答を追記しました)





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