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マンガ誌編集長が選ぶ、2022年のイチオシ作品 Vol.1 ラブコメ、部活、吸血鬼…28人の編集者がバラエティ豊富な作品をピック!

2023年01月28日 15:09  コミックナタリー

コミックナタリー

「マンガ誌編集長が選ぶ、2022年のイチオシ作品」ヘッダー
「マンガを生み出す現場の人間が、一番面白いマンガを知っている」というコンセプトのもと、各マンガ誌編集長ら総勢103人にイチオシマンガを紹介してもらうこの企画。2022年1月1日から12月31日までに発売・発表されたマンガ作品を対象に、1作品をコメントとともに選んでもらった。第1回では28作品をご紹介。マンガのプロたちが選ぶ珠玉の作品をとくとご覧あれ。なおこの企画は1月28日から31日までの4日間にわたって、全4回でお届け。掲載順は各マンガ誌代表者名の五十音順となっている。

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■ 相田聡一(りぼん編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「初×婚」黒崎みのり
相田氏コメント:世界一の結婚を目指し、マッチングシステムで選ばれたペア2人が寮で同居する学園が舞台…これだけで、ワクワクが止まらない魅力的な設定なのに、毎話、学園内で行われるミッションイベントがアイデアの宝庫。毎号読者を飽きさせない圧倒的な満足感が! そして単なる特殊設定漫画にとどまらないのが主人公カップルの初と紺の存在! 物語を絵空事にしない二人のピュアさがこの作品を王道の少女漫画として疑いないものに。最近の展開ではライバルカップルにもスポットが当たり、それもまたキュンキュンの宝庫。漫画に求める全ての要素が揃っています!

■ 赤坂泰基(WebComicアパンダ編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「放課後ひみつクラブ」福島鉄平
赤坂氏コメント:お嬢様風の美少女が学校の秘密を探る課外活動「放課後ひみつクラブ」でボケ倒す本作。素っ頓狂な二人の掛け合いと徐々に紐解かれる謎多き世界観は、さながら和製「ファイアーボール」。あれも和製でした。キラキラした画面の中に詰め込まれた、声に出したい日本語は、読めばあなたもSNSでつぶやきたくなることでしょう。2022年に連載がスタートしているとはいえ、1巻の発売日が2023年1月な作品を「2022年のベストマンガ」としてしまっていいのかわかりませんが、でも面白い「マンガ・ミッケ」してしまったので仕方ないですね。

■ 秋本武英(月刊コロコロコミック編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「ブラックチャンネル」きさいちさとし
秋本氏コメント:もしも悪魔がYouTuberだったらどんな動画をつくるのでしょうか?
人間の欲望を刺激し、あらゆるものの裏側を暴く悪魔のブラックが主人公の本作。動画クリエイターに憧れる普通の小学生さとしとブラックがタッグを組み、ゲーム動画、ドッキリ動画、オカルト動画など様々な動画作りに挑戦する短編はとても楽しそう! さらに二人が、バトルやSFの世界に飛び込む大長編シリーズも、大迫力画力で読み応え充分!!

■ 秋本武英(週刊コロコロコミック編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「ぷにるはかわいいスライム」まえだくん
秋本氏コメント:Webサイト「週刊コロコロコミック」にて連載中!! 次にくるマンガ大賞2022Web部門にて4位を受賞の大注目作! もしもモノに命が宿ったら…、そんな夢のような願いを叶えたのがこの作品の主人公・コタロー。幼いころに作ったスライムに命が宿り、ヒロイン・ぷにるが誕生! かわいいモノが大好きなコタローに「かわいい」と言ってもらうため、ぷにるはさまざまな姿に大変身します。主人公・コタローとスライム・ぷにる、そして個性豊かな登場人物たちによってくり広げられるコロコロコミック史上初の日常ドタバタ、ラブコメディです!!

■ 浅川哲(電撃マオウ編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「終末ツーリング」さいとー栄
浅川氏コメント:2人の少女が誰もいない朽ち果てた終末世界をバイクで巡る異色のツーリングコミックです。世界はなぜ滅んだのか、なぜ2人だけが無事なのか、その謎はちょっと置いておいて、箱根や横浜、海ほたるにいろは坂など、おなじみのツーリングの名所がすっかり廃墟になった世界をトコトコ駆け回る終末旅を楽しんでいただければ。のんびり進むバイク旅に、電動仕様に改造されたヤマハのセロー225が最高にハマっているので、バイク乗りの方もゼヒご一読を。

■ あざらし(月刊コミックジーン編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「みなと商事コインランドリー」缶爪さわ、椿ゆず
あざらし氏コメント:エアコンの設備もない古びたコインランドリーを祖父から継ぎ営んでいた湊晃が、突然現れたイケメン男子高校生の香月慎太郎から猛アタックを受け…!? という夢あふれるゆるキュンBL(ボーイズライフ)。ドラマ化も大成功し80万部を突破しました!
ジーン&ジーンピクシブレーベルでは、男子たちのときめく関係性を追求した「ゆるキュンBL」というジャンルを作りました。2023年2月にアニメ映画化が決定した「佐々木と宮野」をはじめ「君には届かない。」と大ヒット作が続いています。今年度も注目間違いなし! ご期待ください。

■ 有上希実(月刊コミックガーデンデスク)の2022年イチオシマンガ
□ 「骨ドラゴンのマナ娘」雪白いち
有上氏コメント:多くのファンタジー漫画を送り出してきた、マッグガーデンイチオシのファンタジー漫画です。主人公は老ドラゴン・ネムに拾われた幼い少女・イブ。彼女はネムの家訓に従い、種族を越えた様々な出会いを通し成長していきます。見所はなんといってもイブが可愛いところ! くしゃみで魔法を暴発させたり、緊迫した状況でもお腹が鳴ったり、意外と野性味が溢れてたり…コミカルさに癒されながらも、イブの思いやりに溢れる様子に、親心が芽生えること間違いなし! 現在3巻まで刊行中ですので、今からでもご一緒にイブの笑顔を見守りましょう!

■ 猪飼幹太(COMICリュウ編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「推しが武道館いってくれたら死ぬ」平尾アウリ
猪飼氏コメント:アニメ化に続いてドラマ化。【推し】という言葉を世の中に広めた元祖ともいうべき作品です。キュートなアイドルたちの漫画であり、応援するファンたちを描いたコメディ漫画としての印象も強いと思いますが…。【漫画作品】としての完成度の高さにもぜひご注目ください。繊細な作画表現と考え抜かれた構成演出によって…【誰かを推す】という行為の本質に平尾アウリさんは限りなく肉薄しています。物凄い漫画だと思います! 2023年…物語は佳境を迎えようとしています…。一瞬たりとも見逃さずに注目していただけたら嬉しいです!

■ 石井麗(マトグロッソ編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「プリンタニア・ニッポン」迷子
石井氏コメント:いつかどこかの未来で、生体プリンターから出力されたす新種生物「プリンタニア・ニッポン」と暮らすショートコミック連作で、もちもちしたプリンタニアのかわいさに惹かれて入ったら、ガチガチのSF的世界観の深み(沼)にはまって抜け出せない…!というような読者からの反響を多くいただいています。
2019年からマトグロッソで連載スタートした本作は、2022年12月に3巻が発売になったばかりで、2023年2月から新章がスタート、と今から読みはじめるにも最適です!
著者の迷子さんが絶妙なバランスで生み出す、ゆるいキャラクターとハードな世界観のマリアージュをどうぞお楽しみください。

■ 石川美紀(ウィングス編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「星のとりで~箱館新戦記~」碧也ぴんく
石川氏コメント:教科書で学ぶような歴史上の人物にすぎなかったものが、生身の血肉を持った人物、なんなら近しい隣人のような気持ちになるのは、歴史ものを読む醍醐味だけれど、この作品では、最後まで明治新政府に刃向かった気概のある男たちが、いつしか自分の中に生きづいていくを感じられる。誰もが知っている新選組・土方歳三の五稜郭での最後の日々を、周囲の人物、そしてこの最終巻では本人自身の視点から描き出す。膨大な資料に裏付けされた確かな時代考証と、群像劇としての面白さ。救いのあるラストだと思うので、悲劇と思わずぜひご一読を。

■ 石純一郎(ヤングガンガン編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「地獄に堕ちてよ、お兄ちゃん」ねじがなめた
石氏コメント:主人公は両親の再婚によって義理の妹と一緒に暮らすことになった大学生。夢のような状況と思わせぶりな義妹の態度に衝動的な行動を取ってしまう主人公だったが、その様子を本人に見られて元カノと性行為に及ぶよう脅される…という、嗜虐嗜好のみならず被虐嗜好もザワザワとうずく一作です。義妹から課されるハードな要求は勿論、そんな状況を知らずに主人公に愛情を捧げる元カノの甲斐甲斐しさもたまりません!!
2巻が3月に発売予定と追いつきやすい作品ですので、ぜひ今ご一読くださいませ。

■ 石田貴信(スピリッツ編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「結婚するって、本当ですか」若木民喜
石田氏コメント:結婚って、一体なんだろう? 人と人が一緒にいるって、どういうことなんだろう──
おひとりさま生活を愛する二人の「結婚するふり…」から始まる本作は、
ライトなラブコメのふり……をして、なかなかに骨太な問いを投げかけていると思います。
人付き合いが苦手な趣味人の二人が、偽装結婚という名の共同作業を経て恋に墜ち、ついには本当の結婚という冒険に乗り出す。
「神のみぞ知るセカイ」若木民喜氏の初の青年漫画は、人間らしく愛嬌あるキャラクターたちがいきいきと躍動する意欲作です。
2022年より好評配信中のドラマとあわせて、是非!

■ 井手優美(マンガPark編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「春の嵐とモンスター」ミユキ蜜蜂
井手氏コメント:前作「なまいきざかり。」が完結して、その最終回の興奮冷めやらぬうちに始まった新連載。もうこれ以上かっこいい男子を描かれることなんてある?という想いは素晴らしい形で裏切られました。今回のヒーロー・栢くんも最高です。とんでもなく突拍子ないとビビり散らした一瞬後には、崩れ落ちてしまうほどに可愛い。あらゆる意味で最高にずるいモンスター義弟の爆誕です。1巻発売後即品薄重版連発!!という話も納得。見かけたら即ゲットをお勧めします!

■ 岩切健太(花ゆめAi編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「まほうのおうち」高尾滋
岩切氏コメント:埼玉県の郊外、自然に囲まれた一軒家に暮らす編集者の碧唯とドールハウス作家の弧帆は20代のメンズカップル。釣りをしたり梅酒を楽しんだり、季節と共に過ごすのんびり田舎暮らしで密やかに愛をはぐくむ二人の間には、他の誰にも言えない秘密があって…。
高尾滋先生が描く初めてのBL作品は、穏やかなあたたかさと可愛らしい不思議に彩られた心癒される世界。二人の暮らしを邪魔したくない、でもそっと覗き込みたい、そんな素敵な時間が流れています。物語はまだ始まったばかり。仲良しの碧唯と弧帆を一緒に見守りましょう♪

■ 梅澤丈文(ヤングチャンピオン編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「もしも徳川家康が総理大臣になったら-絶東のアルゴナウタイ-」藤村緋二、眞邊明人
梅澤氏コメント:日本は東洋の古き国家でありながら、西洋の新しき国家構造を選択した。
どちらが善というものではないが、精神的物理的に、矛盾や軋轢がどうしても生じる。
本作は最先端のAIによって、復活した徳川家康たちが日本を救っていくという政治劇である。
官房長官には、新たな時代との架け橋になった坂本龍馬もいる。
「最先端AI」による「英雄内閣」達が現代の日本で鮮烈に躍動する。
そして作中の国民たちはどう変わっていくのかを是非見てほしい。
この物語は、英雄達を通じて、日本人が持つ、強くたくましい心、
新旧の矛盾と軋轢を跳ねのける「温故知新」のハートを刺激するものである。

■ 榎谷純一(月刊コミックバンチ編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「ディノサン」木下いたる、藤原慎一(監修)
榎谷氏コメント:恐竜を飼育する漫画「ディノサン」がイチオシです。仕事がら家に漫画を持って帰って読むことが多いのですが、ふだんあまり漫画を読まない小学生の息子から「次の巻が早く読みたい」と言われた唯一の作品。監修がしっかりしていて恐竜の知識が自然と身に付くのもいいですね。自分の話で恐縮ですが「動物のお医者さん」を親から借りて読んではまり、「獣医さんになりたい」と息巻いてたなと懐かしく思い出しました。親子で安心して楽しめるという点で最もオススメしたい「恐竜漫画」です。

■ 遠藤雅己(COMIC Hu編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「ヘルドッグス 地獄の犬たち」イイヅカケイタ、深町秋生
遠藤氏コメント:ヤクザ組織に潜入した警察官を描く、深町秋生さんの同名小説のコミカライズ。とにかく登場人物の「表情」がすばらしい! 怒り、悲しみ、狡猾さ、絶望など、あらゆる悪人たち(ヤクザも警察も悪人だらけ)が見せるさまざまな表情に引き込まれます。特に主人公・兼高の上官・阿内。どう見ても「嫌みなデブハゲ中年おっさん」なのに、読み進めるほどかっこよく見えてくるところに、漫画の表現力の凄みを感じます。昨年公開された岡田准一さん主演の実写映画とは要所要所の展開が異なるので、映画を観た人にこそぜひ読んでほしい漫画です。

■ 大嶋一範(少年サンデー編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「ラストカルテー法獣医学者 当麻健匠の記憶ー」浅山わかび
大嶋氏コメント:2022年にサンデーで連載を開始した本作は「法獣医学」という聞き慣れない学問を切り口に北海道の高校~大学で、動物たちの「命の重さ」に触れていく学生達を描いた意欲作です。
何よりも動物、風景、学生の表情を描く画力の高さ。
そして、厳しくも温かい作者の視点を感じさせるエピソードの積み重ねが凄い作品で、その「本物感」にサンデー読者も素早く反応。
重要話数が公開される度に、人気アンケートがグイグイ上がっていく注目作品となっています。
簡単にいうと、「熱く泣けます」! ぜひ多くの皆さんに手にとって欲しいです。

■ 岡村邦寛(ツイ4編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「球詠」マウンテンプクイチ
岡村氏コメント:僕は本当に面白いマンガの最新巻を読み終えると、1巻から既刊を全て読み直してしまうのですが、最近のそれが「球詠」です。女子の野球マンガです。「SLAM DANK」と「咲-Saki-」というどちらも超人気バスケマンガと麻雀マンガがありますが、どちらかが好きな人はたぶん「球詠」にハマります。どちらも好きならハマり確定です。スポーツものの王道ストーリー、熱い試合展開、リアルな野球描写と化物じみた能力描写の併存、応援したくなるキャラクター同士の関係性など全部盛りです。川口姉妹推しです。二人とも優秀で良い子すぎる。

■ 小澤健志(ドラゴンエイジ編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「四姉妹は夜をおまちかね」Bcoca、保住圭
小澤氏コメント:こういうのがいいんだ!と思わず言っちゃう、ちょっとHなラブコメです。どの娘がいい? どの娘もいい。四姉妹それぞれが可愛くて魅力があり…選べない。これこそ、ラブコメの醍醐味じゃないでしょうか。この作品はそんなオイシイとこが山盛りになっております。攻めている漫画が多いドラゴンエイジの作品の中で、その中でさらに攻めていてやりすぎなシーンも多い本作(汗)。これを薦めて大丈夫か? なんかどっかから怒られないかと不安がよぎりますが、推したい気持ちが勝りまして、「月刊ドラゴンエイジ」イチオシとさせて頂きます!

■ 小澤健志(ヤングドラゴンエイジ編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「ハズレ赤魔道士は賢者タイムに無双する」あおやぎ孝夫、ほーち
小澤氏コメント:可愛い女の子達に囲まれてダンジョン攻略! 男の夢を体現したファンタジー漫画の形がここにあります! 主人公がとにかく優しくてイイ奴なのもイイところ。優しい主人公なんて沢山いるじゃないか、そう思うかもしれません。でも、イイ奴なのって良いですよね! さらに背中を任せられる、お互いの強さを信頼できる関係。そういうの、最高だと思います。この漫画の主人公・レオンの実直さと誠実さは、読者を惚れさせる力を持っています。少年心にストレートに突き刺さるカッコいい魔法にカッコいい技も盛り沢山。オススメです!

■ 乙黒和彦(別冊少年マガジン編集チーフ)の2022年イチオシマンガ
□ 「柊さんちの吸血事情」吉河美希
乙黒氏コメント:2022年TVアニメ化した「カッコウの許嫁」の吉河美希先生の最新ラブコメです! 実は読み切り版は週刊少年マガジンにて掲載されて大反響を得た作品で、連載化が多くの読者の方から望まれていた作品でした。今作は吸血一家とのエサとしての同居生活、しかも美人三姉妹との……! 全ラブコメファンがきっと推しになれる一風変わった魅力あふれるファンタジー作品となっております。特に吸血シーンは先生ならではの描写の光るどこかエロティックな新しい表現となっています。1巻は即大重版で、まだ2巻が発売されたばかりなので、必読です!

■ 笠井俊純(BE LOVE編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「ハッピー!ハッピー♪ 特別編:グッドボーイ」波間信子
笠井氏コメント:子供の頃、なす術もなく愛犬を亡くしたことがあって、その本当に何もできなかった無力感が今でもふとした瞬間に襲ってくることがあり、あのときの記憶はけっこう奥深いところで“後悔”として残っているんだなと感じてきたが、「ハッピー!」の波間信子さんが描いてくれた読み切り「グッドボーイ」のおかげで少し変わった。“ゴールデン”とはいえない、くすんだ麦色の毛並みをもったゴールデン・レトリバーの愛犬「麦」との別れを迎えた夫婦は「幸せです」と言う。「麦が金色に輝く彼方で幸せだけになっているから」。そっか「幸せだけ」か。静かだけど、ものすごい強さと輝きを持った一編でした。

■ 葛西歩(サイコミ編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「Forward!―フォワード!―世界一のサッカー選手に憑依されたので、とりあえずサッカーやってみる。」吉田雄太
葛西氏コメント:世界一のサッカー選手が、日本の男子高校生に憑依して無双する! それだけでも見どころ十分な本作ですが、主人公の「心」という一人の少年の物語として作りこまれています。自分のやりたいことは? 誰もが抱える悩みに、憑依したサッカー選手「ブッキ」と共に向き合って成長していく姿は共感必至。圧倒的な作画力によるサッカー描写と、随所に挟まれるキャラのコミカルなやりとりも必見。忘れていた熱さを取り戻せる、少年サッカー漫画です。

■ 桂田剛司(月刊ヤングマガジン編集チーフ)の2022年イチオシマンガ
□ 「解雇された暗黒兵士(30代)のスローなセカンドライフ」るれくちぇ、岡沢六十四
桂田氏コメント:齢32。長年企業に貢献してきた人が、突然クビに! 現実ではなく魔王軍のお話なのですが、企業人にとっては生々しすぎる。現実だと再就職先も見つからずどうしようとなりそうですが、そこは異世界もの。魔王軍では無能扱いされた主人公が、とんでもない冒険スキルの持ち主だったのです。逆転人生も、美女に迫られるのも憧れるのですが、社会経験者は主人公の地に足ついた感じにめっちゃ共感しちゃうんです。主人公の共感度は「異世界漫画」の中ではトップじゃないでしょうか。2023年1月からTVアニメの放送も始まるので注目です。

■ 加藤浩嗣(少年エース/ヤングエース編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「光が死んだ夏」モクモクれん
加藤氏コメント:ずっと一緒に育った親友が、別の“何か”にすり替わってしまっていたら──。美しき田舎の村で繰り広げられる、人智を超えた存在と事象に翻弄される高校生たちを丁寧に描写した本作は、SNSを中心に話題となり「このマンガがすごい!2023」(宝島社)にてオトコ編第1位を獲得しました。日本の原風景ともいえる田舎の村で起こる恐怖、外見は親友と同じ“何か”に抱く抗えぬ思い…読むと巨大な感情の渦に飲まれるような感覚に陥ってしまいます! この衝撃を是非皆さんにも味わってほしいです!

■ 門脇拓史(まんがタイムきららキャラットデスク)の2022年イチオシマンガ
□ 「またぞろ。」幌田
門脇氏コメント:引きこもり・病弱・自由奔放。理由は異なるがいずれも留年した3人の高校一年生(2回目)と、マイペースな留年予備軍の高校一年生(1回目)が送る人間へたくそ青春コメディ。
「正しく」なかったのかもしれないし、これからも「間違って」しまうのかもしれない。
だけど、そんな自分だって許してあげて、認めてあげよう。読んだ後にはそう思えるような作品です。
皆さんももっと肩肘を張らず、へたくそに生きてみませんか?

■ 金井暁(月刊アフタヌーン編集長)の2022年イチオシマンガ
□ 「カオスゲーム」山嵜大輝
金井氏コメント:ぶっちぎりで今年イチ面白いです「カオスゲーム」、山嵜大輝さんの初連載作! 主人公・鈴木蘭が激突した理不尽の元凶が諍い溢れてそうな神様って、とんでもなくどうかしてる。とてつもなく面白いマンガがアフタヌーンから次々と繰り出されていて、わたしゃ編集長冥利につきます。