左から愛美、上坂すみれ。 TVアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」のメディアミックス発表会が、1月20日に東京・秋葉原ラジオ会館で行われブルー役の愛美、JUN INAGAWA、亀井博司プロデューサーが登壇した。
【大きな画像をもっと見る】 JUN INAGAWAが原案を務めるオリジナルアニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」は、謎の組織「SSC」によってオタク文化が排除された日本の秋葉原を舞台に、オタク文化をこよなく愛する若き革命者“オタクヒーロー”と彼を慕う3人の魔法少女を描いた物語。2011年の日本を舞台に、自由の旗のもとに集ったオタクたちが「好きなものを好きなだけ好きといえる世界」を取り戻すための戦いに挑む。4月にMBS・TBS・BS-TBSの“アニメイズム枠”で放送開始される。
まずは「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」について、JUN INAGAWAが説明をする。「でも最近って、好きなものをただ『好き』と言いにくい世の中じゃないですか。他人に自分の幸せを委ねるようになって、本当に自分が何をしたいのか、何が幸せなのか考える時間が少なくなってると思う。でも『俺はこれが好きだ!』って言える世の中がいいなと思って」と語り、同作に込めたメッセージを説明する。また「マジデス」で描かれる“オタクヒーロー”は自身を投影したキャラだと明かし、「高校生のときから描いていたキャラ。熱血で好きなものを貫こうっていう自分です。当時は声を張って言えなかったから」と続けた。
亀井プロデューサーは、「最初にJUNくんの絵を見たのはインスタグラム。こんなアーティストがいるんだと思って興味を持っていたら、仙川で『魔法少女OMUSUBI NIGHT』っていうイベントをやると知って参加したんです。どんなイベントか分からないけど、会いたいなと思って(笑)」と、JUN INAGAWAとの出会いを振り返る。するとJUN INAGAWAは「実家がおむすび屋をやってて。おむすびを食べながら音楽も聞けるっていう身内のイベントだったんですけど、1人知らない人が来て(笑)」と回想する。その後、2019年に東京・DIESEL ART GALLERYで行われたJUN INAGAWAの個展で「マジデス」の原型になる作品を見た亀井プロデューサーが、具体的に映像化の企画として膨らませていったという。
関西弁の魔法少女・ブルー役を演じる愛美が、1話を観た感想を語る。ブルーは一見クールに見えるが頭の中は性的なことでいっぱいで、出会い系サイトを常用しているという個性的なキャラクターだが、「ブルーちゃんが思ったより面白かったです(笑)。映ったときのインパクトがすごくて」と満足気だ。また兵庫出身の愛美は「意外と関西弁のイントネーションのチェックが厳しかった」と、同じく関西出身の亀井プロデューサーからアフレコ時のディレクションが多かったと吐露。それを聞いた亀井プロデューサーは「東京に長くいると細かいイントネーションを忘れていくんですよね。愛美さんも客観的に聞いたらわかると思う(笑)」と言い訳をしながらも、「こだわりの関西弁なので楽しんでいただけたら」と語った。
さらに愛美から、1話の収録中にセリフの修正が入ったという裏話が出ると、JUN INAGAWAは「勢いで書いたヤバいセリフがそのまま残ってて……」と苦笑い。しかしそんな自由な現場を楽しんでいる様子で、「改めてみんなで作った作品って感じがします。僕はただアイデアを出してるだけで、あとはみんなの好きが詰まった作品。『マジデス』は楽しく笑いが絶えない現場で、その楽しさが作品から伝わったらうれしいです」と述べた。
そしてイベントでは新規カットを使用したTVアニメのイントロダクションムービーの解禁と、「マジデス」のアプリゲーム化も発表に。ゲーム「マジデス壊」のオリジナルヒロインであるピース役の上坂すみれがサプライズゲストとして会場に登場した。上坂はゲームについて「ゲーム専用の設定があって、アニメとはちょっと違う世界観です。ただアニメとも連動しているのでそこも注目です」と説明。さらに上坂がゲームの主題歌を担当することが伝えられると、「『マジデス』って革命を起こすみたいなテーマがあるので、そのイメージを踏襲しつつ、好きなものを守っていこうというような歌詞になっています。私、革命ソング歌いがち声優なので(笑)」と楽曲について語った。
またイベントではさまざまなオタクが登場する作品にちなみ、自分が今好きなものについて話す場面も。現代アートが好きだという亀井プロデューサーは「年間300展示ぐらいは観に行ってます」と語り会場をざわつかせる。一方、好きなものがたくさんあるという上坂は「オタクって頂点の人しかオタクを名乗っちゃいけないみたいな雰囲気があるじゃないですか。でも私は常ににわかでいたい。にわかが一番楽しいし、にわかは『マジデス』の世界では摘発されないのでは?」と述べると、JUN INAGAWAに「予備軍なので摘発されます」と一刀両断される。
愛美は「最近、占いができるようになって。しかも私の占いめっちゃ当たるらしいんですよ。いろんな声優さんを見てるんですけど、当たったとか言われた通りのご縁があったとか……」とコメント。上坂から「えー占ってほしい、初診料いくらですか?」と問われると、「引退したら占いで食べていこうと思うから、それまではタダです(笑)」と自信ありげに述べ、笑いを誘った。そんな登壇者たちのトークをMCの鷲崎健が「みんな違ってみんなオタク」とまとめると、JUN INAGAWAが「それいいですね、(アニメの)キャッチフレーズにしますか」と乗っかる場面もあった。
最後の挨拶で、亀井プロデューサーは「ギャグありシリアスありの、てんこ盛りの作品。スタッフ一同の好きという熱い熱量を込めて制作しています。放送まであと少しですが、よりよい面白いものを届けられたらとがんばっています」とアピール。そしてJUN INAGAWAが「とにかく楽しみにしておいてください、それしかないです」と力強く語り、和気あいあいとした雰囲気のまま発表会は幕を閉じた。
■ アニメ「魔法少女マジカルデストロイヤーズ」
2023年4月よりMBS、TBS、BS-TBS「アニメイズム枠」にて放送開始
□ スタッフ
原作:MAD ミルクポット markets
原案:JUN INAGAWA
監督:博史池畠
副監督:川瀬まさお
脚本・シリーズ構成:谷村大四郎
アニメーション制作:バイブリーアニメーションスタジオ
□ キャスト
オタクヒーロー:古川慎
アナーキー:ファイルーズあい
ブルー:愛美
ピンク:黒沢ともよ