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B'z稲葉浩志さん松本孝弘さんへの追っかけ、つきまとい 犯罪が成立する可能性も

2023年01月26日 18:51  弁護士ドットコム

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B'zが1月23日、オフィシャルウェブサイトで「いつも応援してくださる皆様へ ~大切なお願い~」と題したお知らせを発表。一部のファンによる追っかけ行為やメンバーの自宅と考える場所への押しかけ行為について、注意喚起をおこなった。


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具体的には、以下の5つの行為について止めるよう呼びかけている。



・新幹線や飛行機等で、メンバーやサポートメンバーが利用することを予想し、駅や駅構内、空港、空港ロビーや保安検査場付近、搭乗ゲートに溜まる、見送る等の待ち受け行為 ・駅構内や保安検査場から搭乗ゲート等、移動する際のつきまとい行為、及び写真・動画撮影 ・メンバーやサポートメンバーと同じ飛行機や新幹線等に搭乗・乗車し、メンバーを覗き込む行為 ・メンバーやサポートメンバーが搭乗する飛行機や新幹線等のチケットを購入し、メンバーが搭乗・乗車するまで搭乗や乗車をしない行為 ・メンバーの自宅と考える場所に押しかけ、インターホンを執拗に鳴らす、待ち伏せや周辺をたむろする等の迷惑行為



所属事務所は「メンバーにも多大な心身的ストレスが掛かり、最悪の場合アーティスト活動を制限することに繋がりかねません」と訴えているが、こうした行為は犯罪にならないのだろうか。小沢一仁弁護士に聞いた。



●刑事上、民事上の責任を問われうる

今回の迷惑行為がどこでおこなわれたものかは分かりませんが、都道府県により迷惑防止条例の内容が異なるので、いずれも東京都内で行われた行為であることを前提として解説したいと思います。



まず、公共交通機関を利用するものについては、「恋愛感情その他の好意の感情」「妬み、恨みその他の悪意の感情」という主観的要件の有無、具体的行為態様や反復性によって結論は変わり得ますが、ストーカー規制法(2条1項1号、3条、18条。1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)や東京都迷惑防止条例(5条の2第1項1号、8条2項2号。1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)に違反する可能性がありますし、軽犯罪法(1条28号。拘留又は科料)に違反する可能性もあります。



また、これらの行為が交通機関の業務に支障を及ぼす場合、交通機関に対する業務妨害罪(刑法234条。3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が成立する可能性があります。



自宅やその近辺に関するものについては、目的や態様によっては、上記のうち交通機関に対する業務妨害罪以外の犯罪が成立する可能性があると思います。



また、自宅のインターフォンを鳴らすなどの行為は、それが自宅敷地内で行われた場合については、住居侵入罪(刑法130条。3年以下の懲役又は10万円以下の罰金)が成立する可能性があると思います。



以上は刑事上のものですが、当然、これらの行為は民事上の不法行為にも当たりうるものです。刑事責任と民事責任は重複しうるものなので、どちらの責任も負う可能性もあります。特に不法行為によって現にアーティストとしての活動が阻害されたような場合、かなり高額の賠償責任を負う可能性もあります。



以上のとおり、今回公表された行為は、刑事上、民事上の責任を問われうるものであり、仮に責任が認められた場合、おそらくは思っているよりもはるかに大きな損失を行為者は被ることになると思います。



私情を挟みますが、私自身、小学生のころにB'zを知ってから、かれこれ約30年間B'zファンを続けています。長年ファンクラブにも加入しています。過去にはいわゆるオフ会などにも参加し、ファン同士の交流もしてきました。B'zのファンは、節度を守り、礼儀のある人たちばかりだと思っていました。



ですので、公式サイトから今回のような注意喚起がされたことは大変残念に思います。



B'zのお二人に精神的苦痛を与え、自身は法的責任を追及され、一般のファンにも嫌な思いをさせることは、誰の得にもならないと思います。ただちにこのような行為は止めて欲しいと思います。




【取材協力弁護士】
小沢 一仁(おざわ・かずひと)弁護士
2009年弁護士登録。2014年まで、主に倒産処理、企業法務、民事介入暴力を扱う法律事務所で研鑽を積む。現インテグラル法律事務所シニアパートナー。上記分野の他、労働、インターネット、男女問題等、多様な業務を扱う。
事務所名:インテグラル法律事務所
事務所URL:https://ozawa-lawyer.jp/