isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2023年上半期の占いも公開しているので、ぜひ併せてチェックしてくださいね♡
今週の星座占いを全文読みたい方はこちらをタップ 今週のおひつじ座の運勢illustration by ニシイズミユカ
変化の過程に坐す
今週のおひつじ座は、自分の意志とは無関係なところで、自分の身にふりかかってくるものをきちんと見定めていくような星回り。
恋愛相談で一番困る相談と言えば、「どうして好きになってしまったんでしょう?」というものでしょう。人を好きになるのは、想定外の状況の最中で何だか判別のつかない感情が、その人を<場>として立ち現れてくるものだから。
これを捉えるには、能動態―受動態ではなく、より自然展開的な中動態と呼ばれる古い用法を頭においておく必要があります。能動態の主語が、動詞によって引き起こされる過程に巻き込まれることなく、その外部で元のままであり続けることと対比してみると、幾らか分かりやすいはず。
あなたもまた、能動態とは違って、それによって変わりたい、影響をこうむりたい、という心理を含んだ動詞に身を任せていくべし。
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生きてるって何だろ?生きてるってなあに?
今週のおうし座は、動物的な嗅覚で人の生き死にを嗅ぎ分けていくような星回り。
『いきいきと死んでゐるなり水中花』(櫂未知子)という句のごとし。この句は、水中花がたとえどんなに美しく見えようとも、しょせん造花に過ぎないことの哀れさを詠ったものです。
近年は映画や漫画、アニメの世界を中心に、ゾンビのような存在が爆増。そうしたゾンビの一番の特徴は、その性質が伝染していく点でしょう。仲の良かった人や、自分自身さえもゾンビになるかもしれないという恐怖は、情報化社会における価値観の異なる「他者」への恐れを反映したものとも言えるように思います。
あなたもまた、掲句の作者や童話の子どものごとく、生きているフリをしているゾンビたちとは一線を画す生命力を取り戻していくべし。
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起きた子を寝かせる
今週のふたご座は、誰も見ていないところでひとり正気に戻っていこうとするような星回り。
「地道に生きる」ことがますますバカにされるような風潮が増している昨今ですが、昔はそうして地道な生き方から外れることを「気がふれる」などと表わしたものでした。
好きなことをして食べていくことが、もてはやされている。それ自体が「蛇化ける」ことに他ならず、社会全体において必ずどこかで「しみじみする」ことが足りないのではないか、という形で帳尻を合わせる必要が出てくるものなのではないでしょうか。
あなたもまた、作家の車谷長吉の「『しみじみした』ところでのみ、人は私(ひそ)かな自信を持って生きることが出来るということだろう」という一文を骨身に沁みて感じていくことができるはずです。
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理性を耕していく
今週のかに座は、狂った社会のなかで健全な理性を取り戻していこうとするような星回り。
『おかしいから笑ふよ風の歩兵たち』(鈴木六林男)という句のごとし。作者は、中国、フィリピンを一兵士として転戦した戦争体験者であり、掲句もまたその際の体験を句にしたものでしょう。
戦場でもおかしいことはあり、ふと笑いを誘われることがある。こうして理性を保ちつつ、日常的になっていきつつある死と向きあわざるを得なくなっていくことこそが戦争の本質であり、それは人間が経験しうるあらゆる体験のうちで、最も残酷なものの一つであると思います。
あなたもまた、みずからの日常を目に見えない戦場と見なし、ふとしたことで笑える有難みを噛みしめていくべし。
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推しを発見した君へ
今週のしし座は、「いかに頑張るか」ではなく「どこへ逃げるか」に方向転換していくような星回り。
中世の河原には多くの人がそこに住み、役者や皮革業、清掃、細工職人、庭づくりなどが暮らし、彼らは「河原者」と呼ばれ、制度のすき間に生きていました。
江戸文化研究者の田中優子によれば、「体と魂の力を抜いて、エロティックなことや、水のことや火のことや、生のことや死のことや、向こう側のことを考える場所が必要となる。河と河原がマザーなら、それは壊してならない『場所』だった。しかしもう、そんな場所は日本のどこにもない。」とのこと。
あなたもまた、そんな失われた逃げ場所を、制度のすき間や過去と現在の差異のなかに改めて見出していくことがテーマとなっていくでしょう。
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苦しむことが楽しくなるまで
今週のおとめ座は、さりげなく流れていた人生のBGMに気が付いていくような星回り。
『いづこまで臼こかし行く枯野かな』(渡辺水巴)という句のごとし。ひとりの男が「臼(うす)」をころがしながら、他にこれというものもない枯野のなかの道を行っているのだという。
作者はふと果てしない単調な行為の繰り返しに、何とも言えないやるせない淋しさを覚えた。それがこの句の生命となって、現実とは異なる読者と共有された心象風景のなかを、どこまでもどこまでも臼をこかし行く。
あなたもまた、みずからの人生の原点にして行き着く果てにある情緒のようなものと、感応していきやすいはず。
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他界にまなざしをひらく
今週のてんびん座は、あの世の呼吸と背中合わせになっていくような星回り。
亡くなった先祖や守護霊のことを、日本語ではよく「草葉の陰から見守っている」などと表現しますが、たとえば、柳田國男の『先祖の話』によれば、そうした日本特有の「あの世」観には4つの特徴があるのだそうです。
もし他界にひらくまなざしがあるとすれば、それはこの世を見ている(ただし別角度から)ということ。だとするなら、私たち生者のまなざしの中に死者のまなざしが重なる瞬間というのは、そう珍しいことではなく、日常的に起きていることになります。
あなたもまた、そんな風に死者の存在や彼らなりのまなざしに改めて触れていくことが、テーマとなっていきそうです。
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忘れたり、許したり
今週のさそり座は、一緒に道を歩くだけがパートナーシップではないのだと知っていくような星回り。
『別離の顔冬の落暉に向き背く』(西東三鬼)という句のごとし。夕日から背けた方の顔には、流した涙以上の真実が込められていたはず。
別離とは、そこで顔を背けてきた真実を「捨ててきた」のでは決してない。ただ「忘れてきた」のであり、忘れることもまた愛することだという気がするのである。
あなたもまた、忘れるという仕方で大事にしていくこともあるのだと、改めて思い直していくべし。
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退屈な調子はもういい
今週のいて座は、今という時代だからこそ、そこに乗せていくことのできる感受性の“ありよう”を模索していこうとするような星回り。
1960年代から70年代初頭にかけて行われた全共闘運動について、哲学者の山折哲雄は、演説調の言葉がすべて五五調にのせられて発音されていたことから、「五七調とか七五調とかいうリズムを破壊するための運動だったのかもしれない。『歌の精神史』)」と書いています。
一方で、山折は1987年に俵万智の『サラダ記念日』が異例の大ヒットを記録したのは、「灰色の五五調の退屈さ」に飽き飽きしていたところに「われわれの意識下に眠らされていた五七調というリズムをあらためて気づかせ」「和歌の伝統的な生命リズムがそれを触媒にして快く刺激された」からではないかとも述べています。
あなたもまた、現に飽き飽きしている流行シーンとは対極のところに、改めて様式美を見出していくべし。
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私の肉体は一つの聖堂である
今週のやぎ座は、復活の途上にある我を感じていくような星回り。
『耐へてゐる冬日を浴びて生きてゐて』(矢口晃)という句のごとし。
どことなく、人生とは「後ずさりしながら進んでいく」ものなのだというコリングウッドの言葉を思い出させる句だが、この場合、未来を背にしてじりじり進むという意味だけでなく、どこまでも追いすがってくる過去をなんとか蹴り離しながら、という意味合いも強く背負っているように感じさせるはず。
あなたもまた、過去を蹴り離すだけの強さしぶとさを発揮していくべし。
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忘却から醒める
今週のみずがめ座は、思いがけない事態において不安が触発されていくような星回り。
鎌倉時代に書かれた『方丈記』には、飢饉や天災、疫病に苦しみ喘ぐ人びとの様子が克明に描かれていましたが、1945年3月の東京大空襲のただなかにあった作家・堀田善衛は、そんな記述の中に自身の戦中体験を再発見していったのでした。
「断裂、亀裂、裂け目そのもの、裂け目それ自体、地震のくだりの言葉を使うなら、『土裂けて』の、その裂け目自体の上に、というか、裂け目のなかに、というか、とにかくそれ自体のところに在らせしめられたものの思いが、すなわち『浮雲の思ひ』なのであった。新都、すなわち新たなる日本についてのイメージ、あるいはその期待に具体性を付与できる人ならば、決して『浮雲の思ひ』などをなす筈はないのだ。」(『方丈記私記』)
あなたもまた、断絶のなかでみずから「浮雲」となっていくような思いを体感していくことになるかも知れません。
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ダウナーでいこう
今週のうお座は、一歩進んで二歩下がっていこうとするような星回り。
『跳びあがることなくスケート終へてお茶』(野口る理)という句のごとし。苦しい練習や、ケガや失敗などの高いリスクをとって華麗な技を決め、きらびやかな脚光を浴びることをよしとする人生もあれば、何ごともなく平面を滑りおりては、平和にお茶をすすり、茶飲み話に花を咲かせる人生もある。
そうした穏やかなしあわせを味わうことで、ついつい「ドラマチックでなければ人生じゃない」とばかりに快楽志向に歪んだ脳みそを解毒していけるのも、俳句や占いに共通した効用なのかも知れません。
あなたもまた、ベタな王道を追いがちな人生に遊びを持たせるべく、自身の日常をネタ化してみるといいでしょう。
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