2023年01月21日 09:11 弁護士ドットコム
書店で立ち読みをしたことは誰でもあると思います。しかし、店頭に並んだ本や雑誌は商品です。では、どの程度の「立ち読み」が許容範囲なのでしょうか。
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弁護士ドットコムには「本屋で立ち読みしていたら注意されていたんですが、これって犯罪なんですか」「2時間くらい立ち読みしてもいいのでしょうか」と、立ち読みに関する相談が寄せられていました。
ネットでは、店頭で書籍や雑誌を読破してしまう「立ち読みのプロ」の存在に戸惑う声もありました。
こうした書店での立ち読み行為が営業妨害や不退去罪などの罪に問われる可能性はあるのでしょうか? 認められる範囲はどの程度、どのような条件なのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。
立ち読みは、本が買われないわけですから、店側に損害を与えるかもしれませんし、そもそも本が傷むおそれもあります。もし、長時間(たとえば2時間)も立ち読みしていたら、他のお客様の邪魔にもなるでしょう。
しかし他方で、ある程度中身を読んでみないと購入するか決めかねるという必要性もあります。そこで、あらためて「立ち読み」の法律上の問題点を整理したいと思います。
まず、立ち読みそのものは違法ではありません。立ち読みしつつ写真撮影したとしても窃盗罪には該当しませんし、著作権法違反にもなりません。
しかし、以下に述べるような行為に及んだ場合には、刑法上の犯罪に該当し得ます。
・「立ち読み禁止」との張り紙等がある店舗に立ち読み目的で入店した場合:建造物侵入罪(刑法130条)・店舗において、偽計や威力を用いて営業を妨害した場合:業務妨害罪(刑法233条、234条)・店側から退店を要求されたにもかかわらず、それに従わなかった場合:不退去罪(刑法130条)・本に付いているカバーや立ち読み防止テープを破ったり、剥がしたりした場合:器物損壊罪(刑法261条)
電子書籍も普及していますが、やはり紙の本が好みである方はまだまだ多くいらっしゃると思います。多様性の時代であり、何をもって「常識」というかはわからないところもありますが、「立ち読み」も節度を持った常識的な限度で行うことをお勧めします。
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所
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