海外で暮らしていると、日本人が知らない、日本の「すごい」ところに気づいたりします。たとえば、公共交通機関の時間厳守。筆者の住んでいるニュージーランドでは、バスがなかなか時間通りに来ません。特に困るのが「出発時間より前にさっさと行っちゃった」というケース。日本だと「時間より早く出てしまう」のは、ニュースになるレベルの不祥事なのですが、ニュージーランドでは結構普通にあります……。本数の少ないバスを逃して、どれだけ悔しい思いをしました。
そんなわけで、今回は日本人の「時間通り」感覚ってすごいんじゃね、というお話をしたいと思います。(文:はっしー)
イギリスの鉄道も、3分の1が遅延
冒頭のエピソードだけだと、ニュージーランドのバスがダメダメなだけという可能性もあります。
しかし、たとえばイギリスの鉄道もかなりルーズ。2022年の統計では、ダイヤから一分以上遅れてしまった列車が全体の3分の1に達したそうです。
日本だと、1分遅れたら「電車が遅れ、ご迷惑をおかけしました」などと謝罪のアナウンスが入りますし、5分も遅れたら「遅延証明書」が発行されるほどです。
ネット回線の工事業者がヤバかった
ニュージーランドでは、業者が約束した時間に来ないのも当たり前。仕事の待ち合わせの時間だって、思いっきりすっぽかされることがあります。
私の友人は、自宅のインターネット回線工事を申し込んだとき、業者に「平日の昼間にしか工事ができない」と言われ、わざわざ半休を取って自宅待機していました。
ところが、約束の時間になっても業者がやってきません。5分ほど過ぎたところで電話があり「もうすぐ着きます!」と言われたものの、10分たっても20分たってもやってこない。
結局、業者は一時間も遅れてきた上に、「工具を間違えたから今日は工事できない。また明日来ます」と言って帰っていったそうです。せっかく仕事を休んで待ってたのに、いったい何をしにきたの!? という感じですよね。
たまたまダメすぎる業者にあたったのでしょ?と思われるかもしれませんが、いろんな人から似たような話を聞くので、このレベルのいい加減さはよくあることのようです。よくみんな平気で生活できているな≠ニ思います。もはや諦めているのでしょうか。
そんな彼らが、キッチリ守る「時間」とは?
ところが、そんな彼らでも、一つかなり正確に守る時間があります。
それは、「終わりの時間」です。
たとえば、お店の閉店時間。夜8時閉店と書いてあったらそれは絶対。基本的に1分たりとも長居できません。ちょっとした買い物をするため閉店30分前の雑貨店に入ったら、店員から露骨に嫌な顔をされたり、入店を断られることだってあります。
会議も予定の時間がきたらピタッと終わったりします。どれだけ議題が盛り上がっていても、延長されることはまずありません。
日本なら「まだお客さんがいるし、少しくらい残業するか」「せっかくだから、きりのいいところまで会議をするか」と考えるほうが一般的ではないでしょうか。守るべき時間の考え方が、海外と日本では異なるのかもしれません。
日本人が海外で働いたらヒーロー間違いなし!
さて、ニュージーランドで生活していると、朝は遅刻せず時間通りにやってきて、予定通りにお客さんのところに行って、頼まれたものは締切までに提出する。日本の人たちが当たり前に身につけているこの感覚が、とても貴重なものに思えてきます。
実際、日本的な時間感覚で動いている人が職場にいたら「かなり頼られる、ヒーロー的な存在になれるだろうな」と感じます。
ちなみに30歳以下なら、「ワーキングホリデー」を使って1年間、いろんな国で働くことに挑戦できます。日本だと当たり前扱いされる「時間厳守の精神」でも、海外だと意外と大きな武器になるかもしれないですよ。