牛乳配達の仕事をしたことがあるという20代男性(兵庫県)から、過酷なブラック企業経験談が寄せられた。(文:林加奈)
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「牛乳配達でこの本数設定は異常だ」
男性はとある企業で乳製品の配達業務を始めた。給与体系は次のようなものだった。
「試用期間中の給料は20万2000円で変動なし。試用期間を過ぎて会社の保証を外される。20万2000円の他に配達本数のノルマを超えた分が1本につき30円として歩合で加算され、逆にノルマ本数を下回ると1本につき30円、給料から毎月引かれました」
基本の給料から売れなかった分だけ差し引かれるという給与体系はブラック企業そのものだ。ノルマの本数は月々7200本。「牛乳配達でこの本数設定は異常だ」と、男性は常々感じていたという。確かに、いまどき配達の牛乳だけ注文する客はそれほどいないだろう。男性は実態をこう明かした。
「配達をしながら新規でお客さんをつくるために、飛び込み営業をやっても100軒まわって契約してくれる人は1割もいませんでした。そもそも配達先都合で契約の解約や本数の減少なのに、それを会社は配達員に押し付けています」
「社用車の修理は半額社員負担…搾取されたお金を返してほしい」
会社の滅茶苦茶なブラックぶりはこれだけではない。
「それに加えて通勤時の通勤費は支給なし。配達業務中のガソリン代は走行距離で換算して給料日に入れられるのですが、月末が給料日だったため、給油金額と入金額が合わないことが毎月でした」
「さらに社用車の故障や修理費用は会社が全額持ってくれず、半分は社員が負担するというものでした。会社所有の社用車なのに本当に納得できませんでしたね」
確かに、会社の車の修理費をなぜ従業員が一部でも負担しなければならないのか、納得がいかないのも当然だ。男性は勤務中に事故に遭い、会社から20万円近くを請求されたのを機に退職を決意。我慢の限界に達したようだ。
現在すでに退職しているが、「かなわぬ願いですが、数年務めて会社に搾取されたお金を返してほしいです」とも綴っていた。