2023年01月08日 09:51 弁護士ドットコム
トイレットペーパーが、どんどん長くなっている。ドラッグストアに行くと「1.5倍長持ち」「2倍」「3.2倍巻」「超ロング4ロール分」などあらゆる長さの商品が並んでいるのだ。
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一体、何倍巻きまで販売されているのだろうか。ネットで調べてみると、2021年に販売開始された「超ロング 6倍巻き MAX」という商品があるのを見つけた。創業67年の家庭紙メーカー・丸富製紙(静岡県富士市)が販売しているものだ。2ロールで一般的なトイレットペーパー1パック(12ロール)分に相当するという。
芯を捨てる面倒からも解放されるこの商品。同社マーケティング部によると、利用者からは「交換頻度が減った」「ストック場所が少なくて済む」「取り替える回数が少なくてストレスフリー」といった声が寄せられているという。
メリットがあるのは利用者だけではない。通常のものと比べて「一度の輸送で約2.5倍の長さを積載することが可能」となり、輸送効率もあげている。双方がウィンウィンというわけだ。
今後、さらに長さが伸びていくのかを尋ねたところ、「開発段階のお話ですのでコメントは差し控えさせていただきます」との回答だった。
トレンドとなっている長尺トイレットペーパーだが、一部では、特許をめぐる紛争もおきている。
日本製紙グループの日本製紙クレシアは9月6日、3倍巻きのトイレットペーパーの特許権を侵害されたとして、大王製紙に対し、製造と販売の差し止めや3300万円の損害賠償などを求める訴えを東京地方裁判所に起こした。
日本製紙が販売差し止めを求めているのは、大王製紙が2022年春頃から販売した「イーナトイレットティシュー3.2倍巻き」などの製品だ。
「日本製紙クレシアは他社に先駆けて、3倍程度のロール長さをもつトイレットロール製品を開発し、これを3倍巻きとして販売してきた」「大王製紙の製品は原告の3倍巻きが市場において成功を収めたことから、これを模倣して発売されたもの」と主張。風合いや使用感を向上しながら、1ロールを長くする技術などの特許を侵害されたとしている。
大王製紙は9月26日、HPで見解を発表。「当社は、商品の開発・製造・販売にあたり、常に他社の知的財産権を侵害しないよう留意の上ビジネスを行っており、本件においても侵害の理由はない」などとし、棄却を求めている。
トイレットペーパーの交換をめぐって、家庭内で揉めたことのある人も多いだろう。企業の開発合戦により、「名もなき家事」の負担も少しずつ減っていくのかもしれない。