作画に欠かせない“アナログな相棒”画材について、その魅力をマンガ家自らに語ってもらう本コラム。第4回に登場したのは2021年にドラマ化も果たした「婚姻届に判を捺しただけですが」などで知られる有生青春。原稿からカラーイラストまですべてをアナログ画材で描くという有生に、“相棒”を使う理由から“相棒”がいたからこそ描けた1ページ、アナログ作画ならではの魅力について、アンケートを通じて回答してもらった。
【大きな画像をもっと見る】■ マンガを作るうえで欠かせない“相棒”
タチカワ 丸ペン(T99)
※現在は廃盤。
■ “相棒”を使い続けていた理由
明確な年数はわかりませんが本格的な連載作品(10年ほど前)からは使っていました。
いろんな丸ペンを試した結果、自分好みの繊細で柔らかな線が描けるのでお気に入りでしたが、残念ながら廃盤になってしまいました。
今でも同じような線が描けるよういろいろ工夫していますが当時のような繊細さを出すのは凄く難しいです。
■ “相棒”を使用したお気に入りページ
「婚姻届に判を捺しただけですが」1巻1話19ページ。
髪・目・主線・描き込みすべての線を同じペン先を使って描いてあります。アップの細かい描き込みから主線まで線の細さを調節しつつキレイな線が描けたのでトーンに頼らずとも画面が華やかに仕上がり描いていても楽しかったです。
■ アナログ画材の魅力とは?
「満足感」でしょうか。手は汚れるし手間もかかるし描き直しも容易ではないですが、インクの匂いやペンのガリガリする音や感触が大好きです。
作品を読んでもらう分にはアナログである必要はほとんどないかもしれませんが、描いているという実感はとても大きいです。
■ 有生青春(ユキアオハル)
京都府出身。2007年に電子書籍でデビュー。2018年にはフィール・ヤング(祥伝社)で「婚姻届に判を捺しただけですが」の連載をスタート。2022年11月に完結した。ほか代表作に「小悪魔くんの甘い囁き」など。なお「婚姻届に判を捺しただけですが」の最終巻は1月7日に発売された。