作画に欠かせない“アナログな相棒”画材について、その魅力をマンガ家自らに語ってもらう本コラム。第3回に登場したのはドラマ化も果たした「初めて恋をした日に読む話」や、第25回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門の大賞を受賞した「ゴールデンラズベリー」などで知られる持田あき。原稿はフルデジタルに移行したものの、カラーイラストは完全アナログで描いているという持田に、“相棒”を使う理由から“相棒”がいたからこそ描けた1ページ、アナログ作画ならではの魅力について、アンケートを通じて回答してもらった。
【大きな画像をもっと見る】■ マンガを作るうえで欠かせない“相棒”
ヨーロッパに行くと必ず覗く画材屋さんで買ってきた画材たち
■ “相棒”を使い続けている理由
15年くらい前から海外に行くようになり、日本とはまた違うアートの楽しみ方が素敵だな、と思ってなるべく画材屋さんに入るようにしています。
持ち帰った絵筆やインクは宝物。
「この筆のボサボサ感、逆に好き」とか自分だけのアイテムを手に入れた気分になります。
日本にいても手に入りますが、ドクターマーチンのブラウンはやはり格別。
コクがあり、水で滲ませるとキワに鮮やかなグリーンが入るところが特にお気に入りです。
■ “相棒”を使用したお気に入りページ
ドクターマーチンのカラーインクは塗り込んでも汚い色にならないので、すべての原稿に使用しています。こちらのイラストは髪の毛をしっとり重めの質感にしたかったのでとてもお世話になりました。
■ アナログ画材の魅力とは?
もはやカラーを描くときに、「アナログで描く」ということが相棒です。
大きな紙いっぱいに好きな世界を描き出すぞ、という時が一番至福のときです。
心なしか絵が完成したとき、紙が重くなっている重厚感も好きです。
■ 持田あき(モチダアキ)
鹿児島県出身、7月2日生まれのA型。2000年りぼん秋のびっくり大増刊号(集英社)掲載の「角砂糖恋愛」でデビューを果たす。2016年にCookie(集英社)で連載開始した「初めて恋をした日に読む話」は、2019年に深田恭子、永山絢斗、横浜流星らをメインキャストに迎えドラマ化も果たした。2020年にフィール・ヤング(祥伝社)で連載中の「ゴールデンラズベリー」は第25回文化庁メディア芸術祭のマンガ部門の大賞を受賞。そのほか代表作に「君は坂道の途中で」「おもいで金平糖」など。マンガ家の槙ようこは実の姉。