2022年12月27日 15:21 弁護士ドットコム
不倫騒動の渦中にいる元AKB48の篠田麻里子さん。夫が今月、篠田さんの不倫相手とされる男性を提訴したと報じられました。夫は不倫の証拠集めに、篠田さんのiPadに入っていたLINEのやりとりをチェックしていたとも報道されています。
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配偶者の不貞行為の証拠として、LINEのやりとりは裁判でも使われます。しかし、不倫の証拠集めとして、配偶者に無断でスマホやタブレット端末のLINEをのぞき見る行為に法的問題はないのでしょうか。濵門俊也弁護士に聞きました。
——配偶者のスマホやタブレット端末のLINEを「無断で」見る行為に法的問題はありませんか?
「無断で」とのことなので、ここでは、スマホやタブレットにパスワードがかかり、情報の公開に対して承諾していない場合を前提にお話します。
まず、民事上の責任ですが、プライバシー権侵害の可能性があります。プライバシー権とは、私生活上の情報をみだりに公開されない権利とされ、憲法13条で保障される基本的人権であるとされています。
第三者と不貞行為に及んでいるという事実を公開されることをよしとする人は、なかなかいないと思います。プライバシー権の侵害として、不法行為が成立する場合には、損害賠償を求めることができます。
次に、刑事上の責任ですが、不正アクセス禁止法に違反する可能性があります。
不正アクセス禁止法は「何人も、不正アクセスをしてはならない」(同3条)と規定しています。これに違反した場合、3年以下の懲役または100万円以上の罰金(同11条)に処せられる可能性があります。これは、配偶者を含む家族間でも処罰される可能性があるのです。
このように、民事上は不法行為責任、刑事上も刑罰を受ける可能性があるというリスクについては認識しておいたほうがいいと思います。
——もし、LINEのやりとりを不倫の証拠として使いたい場合は、どのような点に気をつければよいですか?
まず、家事事件を含む民事事件の場合、違法な方法によって取得した資料や情報が、ただちに証拠能力を失うことにはなりません。民事事件においては、裁判官の自由心証主義のもと、原則として、証拠能力が無制限であると考えられているからです。
たまたま閲覧できる状況にあったとか、常に同期し、情報を共有していたなどの事情があれば、プライバシー権侵害や不正アクセス禁止法違反にはなりませんので、何ら問題なく証拠として使用できます。もちろん、証拠として使用することを配偶者が承諾していたり、積極的に開示した場合も同様です。
問題なのは、軽微な違法ではなく、重大な違法がある場合です。具体的には、先ほど述べたプライバシー権侵害や、不正アクセス禁止法違反に該当する場合です。裁判官によっては、違法収集証拠として証拠能力を認めない方もいるかもしれません(ここは解釈が分かれると思います)。
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所
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