2022年12月27日 10:01 弁護士ドットコム
「夫の態度が私や子どもに冷たくなったので、携帯を見てみました」。弁護士ドットコムにこんな相談を寄せた女性。夫の態度を不審に思った妻の予感は、次第に確信に変わっていきます。
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夫の携帯を見てみると、会社の女性と浮気疑惑のあるやりとり、キスマークの絵文字、着信履歴など、頻繁にやりとりしているのを見つけました。トークアプリのアイコン画像も、子どもの写真からゲームの写真に変更していました。
さらに、夫のカバンからは使った形跡のあるED治療薬も出てきました。会社の人たちも、相手の女性のことを「夫の女」と言っていると耳にしたそうです。
大きなショックを受けた相談者。夫と離婚して慰謝料を請求することはできるのでしょうか。河野晃弁護士に聞きました。
なるほど。いわゆる「女の勘」ってやつでしょうか。なんか最近、夫(妻)が怪しい→携帯チェック⇒それっぽいトークアプリのやり取りなどが出てきた、というのは、法律相談でもあるあるの流れです。
さて、今回のご相談者が知りたいのは、(1)トークアプリでの浮気疑惑のあるやり取り、(2)キスマーク絵文字、(3)着信履歴、(4)アイコン画像が子どもから変更されていた、(5)カバンから出てきたED治療薬、(6)周囲の人の噂、これらが不貞の証拠になるのか、ということでしょう。
「証拠になるのか」というご質問に答えるとすれば、「証拠にはなります」という回答になります。ただ、「これだけで裁判に勝てるか」という質問に答えるとすれば、「分かりません」という回答をせざるを得ないというのが、現時点での僕の回答になります。
裁判で勝てる(=夫の不貞が認定される)かどうかを判断するに際しては、それぞれの証拠の中身を吟味する必要があります。「浮気疑惑のあるやり取り」と言われても、どの程度のものか分からない以上、明確な判断を下すのは弁護士でも難しいでしょう。
裁判では、相手は何もしないのではなく、こちらの主張に対して反論してくることが予想されます。その反論と、相手が出してくる証拠によっても結果は左右されます。
今ある情報だけで評価すると
(1)やり取り:内容によっては強い証拠にもなりえる
(2)キスマーク絵文字:絵文字だけでは弱い
(3)着信履歴:仕事の話、と言われると反論が難しい
(4)アイコン画像の変更:単純に浮気との結びつきが強いとはいえない
(5)ED治療薬:そこそこ強いかも。ただ、夫婦の性事情による。妻との性交渉があるのであれば、「その際に使った」と言われると弱くなるかも
(6)周囲の人の噂:噂の情報源の人が証人として裁判に出てくれるかどうか。出てくれなければ証拠としての価値はほぼ無い。証人として出てくれた場合、証人尋問の内容によっては強い証拠になる可能性もある。
このような感じだと思います。少なくとも、上記に書かれている情報のみで「この裁判は勝てますよ」と断定するような弁護士は、疑ってみた方が良いかなと僕は思います。
ただ、疑わしい状況であることは確かですので、こういう段階で弁護士に相談をしてアドバイスをもらうことは有益だと思いますよ。