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ウィシュマさん入管映像は「非常に残酷な内容でした」 国が証拠提出、遺族は耐えられず一部だけ視聴

2022年12月26日 15:41  弁護士ドットコム

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名古屋入管で昨年3月に亡くなったスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんをめぐる国家賠償訴訟で、被告の国側から、生前のウィシュマさんの様子をおさめた監視カメラ映像の295時間分のうち約5時間分が証拠提出されたことがわかった。


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ウィシュマさんの遺族とその代理人が12月26日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見を開いて明らかにした。



約5時間分すべてを確認したという駒井知会弁護士は「言語に絶するような、思い出すと涙がとまらないほど、ほんとうに残酷な内容だった。ウィシュマさんが映像の中で、命乞いをしているような場面もあった」と話した。



●証拠保全されていたビデオ映像が提出された

ウィシュマさんは昨年3月、収容されていた名古屋入管の施設で亡くなった。体調不良を訴えていたが、適切な治療を受けさせてもらえず、亡くなる数日前は歩けないほど衰弱していたとされる。



監視カメラの映像の一部はすでに遺族に開示されていた。



国賠訴訟に先立ち、法務省・出入国在留管理庁の最終報告書にもとづいて、遺族側は証拠の隠蔽や改ざんを防ぐ「証拠保全」を申し立てた。今回、国側から証拠提出されたのは、そのビデオ映像だ。前回の期日で、国側側が年内に提出するとしていた。



●「日本のみなさんにもビデオ映像を見てもらいたい」

駒井弁護士によると、約5時間のビデオ映像(DVD20枚)は12月16日、ファイルに入れられて送られてきたという。ウィシュマさんの妹のワヨミさんとポールニマさんは23日に映像を確認したが、2人ともすべて見ることはできなかった。



その理由について、ワヨミさんは「最初のちょっとしか見れなかった。精神的に耐えられなくて、それ以上見られなかった。非常に残念な動画でした。誰が見ても、姉はすぐに病院に搬送しなければならない状態でした。非常に残酷な内容でした」と述べた。



ビデオ映像には、ウィシュマさんが何度も繰り返して「病院に連れて行ってください」と懇願したり、ジェスチャーで点滴を求めたり、寒さと飢えで苦しんでいるような様子が映っていたという。



遺族側は、ビデオ映像を公開法廷で上映することを望んでいるほか、一般にも公開したい意向を示した。



「日本の国民のみなさんにぜひビデオを見てもらいたいです。入管がわざわざ苦しい状況にさせていることがビデオの内容からわかるからです。入管の闇もわかってもらえるからです」(ワヨミさん)