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NHKラジオ、作家の闘病記を無断で朗読 「著作権者に配慮欠いた」と謝罪

2022年12月26日 13:11  弁護士ドットコム

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NHKのラジオ番組で、作家・山本文緒さんの著作を紹介した際に、著作権者に配慮の欠けるかたちで本文を読み上げたなどとして、NHKは12月26日までに公式サイトなどで謝罪した。


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問題があったのは『高橋源一郎の飛ぶ教室』の11月18日放送回だ。番組内のコーナーで、2021年に亡くなった山本文緒さんの闘病記『無人島のふたりー120日以上生きなくちゃ日記ー』(22年10月刊・新潮社)を紹介した。



その際、〈著作権法で一般的に認められる範囲を超えて本文を読み上げてしまうなど、ご紹介の仕方に不適切な点がありました。放送前の確認が不十分でした〉として、NHKは著者の山本さんらに謝罪した。



ここでは、著作権侵害や著作権法違反とまでは言わず、あくまで〈著作権への配慮に欠けた行為〉と説明している。



山本さんの夫が運営するインスタグラムは12月26日の投稿で、ことの経緯に触れている。



〈正味は10分弱でしょうか、そのコーナーは殆どが本の朗読で、最初から最後の日記まで主要な部分を高橋源一郎氏が読み上げることに終始していました〉として、〈どう考えても評論などにおける引用の範囲を逸脱した著作権侵害です〉などと指摘した。



山本さん側は、著作権侵害ではないかと連絡したが、NHK側の対応をうけるなかで、弁護士を経由したやりとりになったという。



●NHK「すでに配信停止」「反省」「和解成立してる」

NHKは12月26日、弁護士ドットコムニュースの取材に回答した。以下、一問一答。



——公式サイトや番組内でお詫びしたのはいつですか



12月23日(金)に番組HPでお詫び文を掲載したほか、23日の放送の中でも謝罪いたしました。11月18日放送分は既に配信停止しています。



——公式サイトでは「著作権への配慮に欠けた行為」と説明されておりますが、著作権法違反とまでは言えないという認識でしょうか



著作権法で一般的に認められる範囲を超えて本文を読み上げてしまうなど、ご紹介の仕方に不適切な点がありました。作品のご紹介の態様においても、作品の核心とも言える最後の部分まで読み上げてしまったことなどは、著作権のみならず、作品への配慮をも欠いた行為があったと反省しています。



——山本さんのインスタグラムで、本件について説明があります。こちらで書かれている内容に誤りはないでしょうか



著作権者の方にはお詫びをし、和解が成立しています。交渉の詳しい過程についてはお答えを控えさせていただきます。



(NHKの回答を18時00分に追記しました)