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荻野由佳が“NGT暴行事件”の真相を激白「ただただ悔しい」命の危険を感じた誹謗中傷と“これから”

2022年12月24日 16:00  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

元NGT48・荻野由佳(23) 撮影/北村史成

 苦難を乗り越えて、前に進む─。口で言うのは簡単だが、いったいどれほどの人が実際に困難と対峙したとき、前を向いて歩き出せるだろうか。

 荻野由佳(23)は昨年、約6年間にわたって活動してきたアイドルグループ・NGT48を卒業した。さらに今年5月には、所属していたホリプロを円満退所し、新たな門出を迎えている。そんな彼女が歩んできた6年間のアイドル人生は、波乱に満ちたものだった。

当時のAKB48・大島優子に憧れオーディションに

「私がアイドルに興味を抱いたきっかけは、小学生のころに聴いたAKB48のヒット曲『ヘビーローテーション』でした。MVの中でセンターで踊る大島優子さん(34)がとても輝いていて、今でも憧れの存在です」

 当初はAKB48を応援するだけで満足していたが、ダンスを習っていたこともあって、次第に芸能界に興味を抱くように。その後、母のすすめでアイドルグループのオーディションに参加して、幾度となく最終選考で惜敗する経験をするうちに、本気で「アイドルになりたい」という気持ちが芽生えていったという。

「自分が憧れのAKBに入れる自信はありませんでしたが、やっぱり諦めきれず、何度も挑戦しました。そうするうちに『第2回AKB48グループドラフト会議』のドラフト候補生に選ばれ、NGT48から指名をもらえたんです。そのときは『えっ! 新潟!?』と驚きましたが(笑)、AKBとNGTの兼任メンバーだった、大先輩の柏木由紀さん(31)と北原里英さん(31)の背中から“アイドルの姿”を学べたのは貴重な経験でした。今ではNGTに加入できてよかった、と心から思っています」

 NGTの1期生に選ばれ、生まれ育った埼玉県から新潟県に移り住んだ。16歳で親元を離れ、ひとり暮らしをスタートさせた。

「新潟に引っ越してからは、学校とレッスン漬けの日々。雪国での生活は初めてだったので環境の変化に慣れるのは大変でしたが、新潟の方々が温かく迎えてくださいました。地元のお蕎麦屋さんで『NGTの子だよね。応援してるよ』と声をかけてもらえたときは、とてもうれしかったです。

 NGT48がデビューしてからはさらに忙しくなって『握手会をしたい』という小さいころからの夢も叶いました。ライブはもちろん、バラエティー番組の出演や、さまざまなお仕事をさせてもらい『今、私は夢の真ん中にいる』と、やりがいを感じていましたね」

どう振る舞えばいいのか

 彼女がトップアイドルへの階段を駆け上がっていた2018年末、グループを揺るがす事件が起きる。NGT48のメンバーのひとりが、暴行事件の被害者となってしまったのだ。

「私はメンバーのグループLINEで事件について知りました。当初、運営サイドから詳しい説明はなく、数か月たってから話し合いの場が設けられ、事実確認ができたような状況だったんです。でも『話し合いの内容は他言無用』とくぎを刺されていたので、私たちは何も言うことはできない。

 なので当時は“どう振る舞えばいいのかわからなかった”というのが本音です。騒動以降にNGTに加入してくれた子たちには、いろいろな苦労を強いてしまったので、今も申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 混乱が続くなか、彼女たちは口を閉ざす以外に選択肢がなかったという。その結果、世間ではさまざまな臆測が飛び交うように。そして彼女は、事件とは無関係にもかかわらず、多くの人々から疑惑の目を向けられてしまう。

「確かに、NGTに注目が集まっている時期に、自分の不用意な言動がみなさんの臆測をかき立ててしまいました。それについては自分に落ち度があり、反省しています。ただ、私個人の考えで、被害を受けたメンバーに寄り添えなかったのは本当です。騒動を収めるために取り繕う、という選択もできましたが、私はそれを選びませんでした。今でもその気持ちは変わっていません」

 しかし、荻野が選んだのは茨の道だった。事件以降、批判のレベルを超えた誹謗中傷が、矢のように降り注いだという。荻野は「何もできなかった当時を思い返すと、ただただ悔しい」と語る。

デビュー時から続く誹謗中傷の声

「デビューしたころから『ブス』など、容姿を批判する声はありましたが、私はビジュアル以外で勝負しよう、と割り切っていました。でも、SNS上で『死ね』というコメントが日常的に届くようになってからは、すべてが一変。相手の顔がまったく見えない匿名アカウントからの誹謗中傷が来るたびに、命の危険を感じました。

 そうした誹謗中傷は、今も続いています。街中でも、以前は『おぎゆかちゃんだ! 応援してるよ』と言ってくれる方々がいましたが、騒動以降は『げ、おぎゆかじゃん』という声が実際に聞こえるようになって……。

 いろいろなことが一気に起こりすぎて“人生をやめたい”と思ったことも一度や二度ではありません。今でも、身の潔白を証明する難しさと向き合っていますね」

 活動を控えていた時期は憔悴し、食事も喉を通らない日々が続いた。当時を振り返ると、彼女の家族は「今、由佳が生きていて元気に活動しているのは奇跡だ」と話しているという。

私が話すことで救われる人がいれば

 過酷な状況の中でも自分を貫き、グループでの活動を続けた荻野。その原動力はどこにあるのだろうか。

まずひとつは、事件に関与していないという事実です。もちろん、そんな私を信じてくださるファンの方や支えてくれる両親、騒動後も一緒にいてくれる友達の存在も、間違いなく原動力になっています。そして何より、自分が目指す“アイドル”になるために費やした努力や時間に誇りを持っているので、折れずにいられたのかもしれません。

 現在私は、インターネットと適度な距離を取りながら生活しています。でも今は、SNSが身近な時代なので、アイドルだけでなくさまざまな境遇の人がネットとの付き合い方に悩んでいると聞きます。私がお話しすることで“誹謗中傷を受ける側の声”が、ひとりでも多くの人に届くといいな、と思っています」

 そして彼女は“これから”についても笑顔で話してくれた。

「何も考えてないように思われるかもしれませんが、0からスタートする気持ちで、何でも挑戦したいです! 例えば、お洋服をプロデュースしたり、料理が苦手なので、克服していく様子をSNSで発信してみたり(笑)。

 なかでもいちばん真剣に取り組みたいのが、英語の勉強ですね。今、イギリスに留学している兄が『英語を話せるようになってから世界が広がった』といつも話していて、興味が湧きました。将来は、海外のファッション事情についてリポートするような仕事もできればと思います。大変だとは思いますが、英語を習得して視野を広げるのが、今の私の目標になっています」

 23歳の今。過去と向き合い、新たな一歩を踏み出している。

荻野由佳(おぎの・ゆか)1999年生まれ、埼玉県出身。アイドルグループNGT48の元メンバー。「おぎゆか」の愛称で親しまれ、昨年グループを卒業した。現在はフリーで活動中。最新情報は、

公式サイト

やInstagramアカウント(

@ogiyuka_ippaiwarae216

)をチェック。

<取材・文/とみたまゆり>