2022年12月24日 09:41 弁護士ドットコム
不倫にまつわる相談では、相手の「妻とは離婚する」という言葉を信じた人から寄せられるものは珍しくありません。今回、弁護士ドットコムに相談を寄せた人も、その一人でした。
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相談者によれば、相手は「数年前から夫婦関係は破綻している」「離婚するから待って欲しい」と言ったため、その言葉を信じて不倫関係に陥ってしまいました。
30歳になる前から関係は始まり、気がつけば10年が過ぎ、女性はアラフォーに。しかし相手夫婦は離婚していません。一方の相談者は、2度の中絶手術を受け、精神的にも大きなダメージを負っています。
相談者は別れを決意しますが、「女性にとって重要な時期を奪われた」として、不倫相手から慰謝料を取りたいと考えています。相談者の慰謝料請求は認められるのでしょうか。原口未緒弁護士に聞きました。
ーー慰謝料請求はできるのでしょうか?
まずは本当に辛く、苦しく、悔しく、身を切られるような想いで関係を終えられたことを心よりお察し致します。本当に、辛かったですよね、苦しかったと思います。
つぎに弁護士として、慰謝料を取れるのかという質問について、お答えいたします。
結論から申し上げると、残念ながら慰謝料を取ることはできません。その理由は、日本の法制度のもとでは、不倫関係は法的な保護に値しない関係性とされるためです。非常に残念ですよね。
ただ、日本の裁判例での慰謝料相場は、一般の方々が思われる金額よりもかなり低額(数十万円~多くても数百万円)のことも確かです。気持ちが慰謝されたとはとても言い難い金額だとおっしゃる方もいます。
今回の相談者の方にとっても、例えば50万円や200万円の慰謝料をもらったところで、あなたの10年が癒やされるわけではないのではないでしょうか。
ーー相談者に何か助言があればお聞かせください。
ここからは弁護士ではなく、カウンセラーとしてアドバイスします。現在はまだポジティブに捉えるようなアドバイスは受け入れ難いかもしれません。
交際中、あなたは「何かおかしい、変だ」などと彼を疑ったことがあったのではないでしょうか。それでも10年も相手を信じた、もしくは信じようとして関係を続けたのは、あなたの中に「この関係を続けたい」「彼と離れたくない」という理由があったからだったはずです。どうか、そこにフォーカスをしていただきたいと私は思います。
この間、誰かから「早く別れなさい」「不倫なんてやめなさい」と言われたこともきっとありましたよね。それでも、あなたは10年もの間、彼との関係を続けてきた。そのフォーカスした部分に、あなたと彼とだけの大切な思い出、貴重な思いがあったはずです。
結婚や出産には至らなかったのだとしても、他には変え難い、他の人では満たせない想いを、彼や彼との時間の中に見つけていたのではないでしょうか。どうか、その貴重な大切な思い出までも、恨みや憎しみなどで、真っ黒に塗り固めないでいただきたいと思います。
「女性にとって重要な時期を奪われた」とあなたは考えているとのこと。しかし、ご自分が選択して必死に生きた、自分の貴重な人生の時間です。それを自分自身で無駄だと思ったり、憎んでなかったものにしないでください。きっと、それらの経験や体験が、あなたのこれからの人生に生き、必須のものだったのだと気づく時がくるのではないかと思います。お幸せになられることを期待しております。
【取材協力弁護士】
原口 未緒(はらぐち・みお)弁護士
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)
事務所名:弁護士法人 未緒法律事務所
事務所URL:http://mio-law.com