トップへ

【漫画】コールドスリープで100年後に行くはずが……眠れない! SNSで話題のSFギャグ漫画

2022年12月24日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

写真

目が覚めたら100年後の未来だった。「コールドスリープ」はSFで使用される典型的なネタ。名前に「スリープ」が付くからして、前提となるのは眠ることだが、よく考えてほしい。不眠の人が冷凍睡眠に失敗したらどうなるのだろう。


漫画『コールドスリープで未来に行く話』を読む


 そんなまさかを描いたのが、ギャグ漫画『白山と三田さん』の作者としても知られる、くさかべゆうへいさん(@bakasakuiheuyu)が描いた漫画『コールドスリープで未来に行く話』。主人公の眠りを妨害するのは、寒さや焼肉といった雑念の数々だ。SFだけど現実的、それでいてコメディな世界観を8ページに凝縮した本作が生まれた経緯をくさかべさんに聞いた。(小池直也)


――寝るのが当たり前の「コールドスリープ」ネタで、そもそも眠れないという設定が斬新でした。着想はどのように?


くさかべ:もともとは「少年サンデー増刊号」に乗せるための8ページの短い読み切り漫画企画のために描いた作品です。テーマが「100年後」でSFが合いそうなのもあり、自然と「コールドスリープ」が浮かんできました。自分が普段描く作品がギャグ漫画なので、それとギャップが出たらいいなと思ったのもあります。


――空腹を感じたところに焼肉が出てくるのもギャップがあったかなと思います。


くさかべ:寝れない時って関係ないことを考えたり、時間が経つとお腹が空いたりするじゃないですか。そこに周りで何が起きたら困るかなと考えたらみんなで焼肉を囲んでいる絵が浮かんだんですよ。


――ページを切り替えた時に強いカットが出てくるのも印象に残ったのですが、短編を描くに当たり意識したことなどはありますか?


くさかべ:普段の読み切りを描く時は32ページほどなので、キャラクターを掘り下げたりしていきます。でも今回はシンプルに笑いどころを増やして楽しんでもらえればと考えました。奇数ページをめくって、ひとコマ目にインパクトのあるシーンを持ってくる「めくり」は漫画の技法としては基本的なものです。なので基本に忠実に描いた形ですね。


――また「週刊少年サンデー」で現在連載中の『白山と三田さん』と作風が違いますが、これはなぜでしょう。


くさかべ:絵柄を変えたというところが大きいかもしれません。今までの作品より『白山と三田さん』はリアルに描いているので印象は違うはずですね。今はリアル目な絵柄の方が自分に合っているなと感じています。自分が気付いていない適正を見つけるのは難しくて、僕の場合は編集者の方にもらったアドバイスが役立ちましたね。


 「少年サンデー」なら『名探偵コナン』のようなデフォルメされている絵の方が個性的になるかなと僕自身は思っていたんです。でも編集者の方は「リアルな絵の方が合っていると思うよ」と言ってくれたんですよ。


――ギャグマンガを主戦場とされているのはなぜ?


くさかべ:もともとは『NARUTO』が好きで、アクション系のバトル漫画を描いていたんです。でもデビューする前の新人賞であまり注目されなかったので、気分転換に描いたコメディタッチの作品が編集の方の目に留まったんですよ。それをきっかけに「こっちの方がいいのかな?」と方向性を変えたのが最初でした。


――麒麟の川島明さんが『白山と三田さん』の帯に賛辞を贈られていました。芸人の方に注目されているというのはご自身としてはいかがでしょう。


くさかべ:ありがたいですね。「王様のブランチ」などで紹介されるなど、推してくれている方が増えているなと感じます。でもお笑いは最近ちょこちょこ見る程度なんですよ。どこからギャグの要素を摂取しているのか、自分でもよくわかりません(笑)。


――今後の展望についても教えてください。


くさかべ:今は『白山と三田さん』の連載を一生懸命続けるのが目標です。まだ何を自分が描きたいのか考える余裕もないですが、時間があれば他の漫画も描きたいですね。