2022年12月20日 18:11 弁護士ドットコム
日本海側を大雪が襲い、新潟県内の2つの国道で一時、800台以上の車が立ち往生する事態となった。まとまった雪が大量に降ることでタイヤが空転するなどして動けなくなること(スタック)が原因だが、本格的な冬に入ったばかりの12月後半の現在では、まだノーマルタイヤだった車両も含まれている可能性がある。
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島根、広島、鳥取では17~19日に11件の立ち往生が発生。国土交通省中国整備局は、うち9件がノーマルタイヤに起因するものだったと発表し、「積雪・凍結道路ですべり止めの措置をとらない運転は法令違反となります」と緊急警告を出した。
他にも、山間部や過去に立ち往生が発生した道路を管轄する国交省国道事務所や県警は、ツイッターで情報発信するなどして、未然防止に向けて必死の呼びかけを行っている。
雪道はスタッドレスなど滑り止めのあるタイヤで走るのが、道交法に基づいたルール(各県の公安委員会遵守事項)で決まっており、ノーマルタイヤで雪道を走行する行為は、道路交通法71条6号の遵守義務違反にあたる。新潟県の場合は以下のように定められている。
新潟県道路交通法施行細則12条(1)積雪又は凍結のため、すべるおそれのある道路において自動車又は原動機付自転車を運転するときは、次のいずれかに該当するすべり止めの措置を講ずること。イ 前又は後の駆動輪のタイヤに鎖等を取り付けること。この場合において、他の車両をけん引するときは、被けん引車の最後軸輪にも鎖等を取り付けること。ロ 全車輪に、すべり止めの性能を有する雪路用タイヤを取り付けること。
これらのルールに違反した場合は、道路交通法違反として、5000~7000円の反則金を課せられる(違反点数の減点はなし)。実際は、警察も常に取り締まりの検問ができるわけではないため、道路管理者と連携し、自主的な早めタイヤ交換の啓発に努めざるを得ないのが現状だ。
2018年2月に福井や富山で大規模な立ち往生が発生したことを受け、国交省と警察庁はチェーン規制を新設。ただ、大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪時で、勾配の大きい峠部で過去に大規模な立ち往生などが発生した13区間に限られている。