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TK from 凛として時雨、GReeeeN、すとぷり、モーニング娘。’22、BiSH……12月21日リリースの新譜5作をレビュー

2022年12月20日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

TK from 凛として時雨『first death』(期間生産限定盤)

 毎週のリリース作の中から注目作品をレビューしていく連載「本日、フラゲ日!」。今回は12月21日リリースのTK from 凛として時雨『first death』、GReeeeN『ロッキンビーツ』、すとぷり『Here We Go!!』、モーニング娘。’22『Swing Swing Paradise / Happy birthday to Me!』、BiSH『ZUTTO』の5作品をピックアップした。(文:森=森朋之、渡部=渡部あきこ)


(関連:すとぷり、リスナーと共有する濃密な夏の思い出 ベルーナドーム公演へと繋ぐバーチャルライブを観て


■TK from 凛として時雨『first death』


 TVアニメ『チェンソーマン』(テレビ東京系)第8話のEDテーマとして制作された「first death」は、空間を切り裂くようなギター、爆発的なダイナミズムを放ちながら疾走するビート、そしてTK特有の鋭利なファルセットボイスが躍動するメロディとがぶつかり合う超アッパーチューン。『チェンソーマン』の世界観と共鳴しながら、さらなる高みへと達する飛躍力に驚愕させられる。デンジ、姫野先輩、アキの感情が絡み合い、第8話のストーリーとつながりながら、愛と死が交錯する世界へと誘うリリックも秀逸だ。レコーディングにはB’zのライブサポートドラマーとして知られるシェーン・ガラースが参加。マスタリングはボカロPでもあるGigaが手がけ、ロックサウンドの概念を更新するようなサウンドを体現している。(森)


■GReeeeN『ロッキンビーツ』


 「流星のカケラ」(Amazon Originalドラマ 『星から来たあなた』主題歌)、「味方」(映画『ハウ』主題歌)などのシングル曲、TOMORROW X TOGETHERに提供した「Ito」のセルフカバー、代表曲「愛し君へ」の新録バージョンなどを収めたニューアルバム。〈生きる声を出せ〉と鼓舞するロックナンバー「Morning Glory」、“キミ”への感謝を真っ直ぐに綴ったヒップホップチューン「SONG 4 U」、〈武器より花束を〉というメッセージを掲げた「花束」などの新曲からも、変わることのないGReeeeNらしさ、そして、キャリアのなかで蓄えられた奥深い音楽性が感じられる。“変わらないために変わり続ける”というスタンスを貫いているからこそ、彼らの音楽は今もなお幅広いリスナーに響き続けるのだろう。(森)


■すとぷり『Here We Go!!』


 動画配信サイトを中心に活動するエンタメユニット すとぷりが、自身4枚目となるフルアルバムをリリース。前作『Strawberry Prince』から約2年ぶりとなる本作には、NHK『みんなのうた』10~11月放送曲「手をつないで歩こう」や「ヨアケイロ」など配信済みのシングル曲に加え、新レコーディング&新アレンジとなった「青春チョコレート (Christmas Version)」など全23曲を収録。クールなダンスナンバーや等身大のラブソング、コミカルなやり取りをそのまま収録したようなユニット曲までバラエティに富んだラインナップは聴き応え十分。また、神聖かまってちゃん、Chinozo、TeddyLoid、HoneyWorks、和楽器バンドらジャンルレスなクリエイター陣がすとぷりワールドを拡張し、新たな魅力を引き出している。どの楽曲もキャッチーで耳馴染みが良く、幅広い聴き手に届くに違いない。(渡部)


■モーニング娘。’22『Swing Swing Paradise / Happy birthday to Me!』


 モーニング娘。の通算72枚目のシングルは、両A面でのリリース。まず「Swing Swing Paradise」はタイトル通り、スウィングジャズを全面に押し出したナンバー。冒頭のしんみり歌い上げるパートから一転、「Go ahead!」の掛け声のもとリズミカルなホーンシンセが鳴り響き、聴き手を一気にモー娘。的ショータイムへと誘う。また、〈君の幸せを〉〈芯から願ってる〉の歌詞は、先日卒業した加賀楓へのはなむけとも取れ、グループの絆を感じさせる。一方、「Happy birthday to Me!」は変幻自在なリズムと歌謡曲風のメロディが耳に残るキャッチーな1曲。途中に挟まれるラップパートも楽曲に勢いをプラスする。6月に加入した新メンバー・櫻井梨央の初参加作品となっており、〈今度は私の番だ!〉という力強い宣言も相まって“新生 モー娘。”を体現してみせた。(渡部)


■BiSH『ZUTTO』


 2023年に解散することを発表した直後、2022年1月から始まった12カ月連続リリース。その最後を飾る「ZUTTO」(作詞:JxSxK/作曲:松隈ケンタ)は、BiSHが辿ってきた軌跡、未来へのビジョンを反映したロックチューン。特に〈行かなくちゃ/僕は一人じゃない〉というフレーズは、常に“次”に向かって突き進んできた彼女たちの姿勢と直結している。音数を抑えたバンドサウンドによって、6人のボーカルの個性を際立たせるプロダクションも見事。既存のアイドル像を逸脱し続けた結果、メンバー全員がシンガー/表現者としての独自性を獲得したことがはっきりと伝わってくる。カップリングには、いつの間にかすれ違ってしまった“君”への思いを切々と綴った「CALL ME AGAiN」を収録。(森)