カレンダーを見ると「○○の日」と書いてあり、その日が何かの記念日になっていると気が付くことがあります。何かの日だと知るだけで、ちょっと今日が特別に感じて何かしたくなるもの。そんなときは、記念日に関係したマンガを読んでみるのはどうでしょう。本日12月20日は「デパート開業の日」にちなんで、デパートを題材にしたマンガを紹介します。
【大きな画像をもっと見る】文・構成 / コミックナタリー編集部
■ 日高ショーコ「日に流れて橋に行く」(集英社)
□ 今のデパートは昔の呉服店。明治末期、時代に乗り遅れた老舗の再建物語
デパートといえば、ブランドものの洋服から家具まで取り扱い、レストランまで備え、1つの建物になんでも揃っている便利なお店。その前身となったのが、昔から日本に存在した呉服店だ。「日に流れて橋に行く」は、明治末期の押し寄せる西洋化の波に対応できず、時代に取り残されつつある呉服店・三つ星の物語。英国で本場のデパートを学んできた三つ星の三男坊・星乃虎三郎は、留学先で出会ったやり手の男・鷹頭玲司とタッグで落ち目の店を再建しようと奮闘する。入り口で履き物を脱がなければならない土足厳禁のルールを取り払い、カフェを併設しと、伝統に縛られていた昔ながらの呉服店が少しずつ我々のよく知るデパートを形作っていく様子は非常にドラマチック。同作はCookie(集英社)で連載されている。
「日に流れて橋に行く」第1話 - 少年ジャンプ+■ 高野文子「ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事」(マガジンハウス)
□ 最高の構図でにぎやかな店内を駆け巡る、デパートの中の大冒険
ラッキー=ランタンタンは、デパートが大好きなメイドの女の子。ダリヤお嬢様のフリをしてデパートに入ったラッキー嬢ちゃんは、特別待遇を受けて最高の気分だったが、そのことがバレてお屋敷の仕事をクビになってしまう。けれども災い転じて福となす。住んじゃいたいくらい大好きという思いが支配人に通じ、憧れのリッチデパートで働けることに。彼女に与えられた仕事は、表向きは帽子売り場の店員。けれども、その本当の役目は……。軽妙なテンポで進行するストーリーもさることながら、「ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事」の最大の魅力はそのアングル。華やかで、物と人に溢れ、広々としたデパートという空間を最高のカメラワークで描き出している。「ラッキー嬢ちゃん」のフィルターを通して見れば、行き慣れたデパートの店内も違って見えるかも?
「ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事」 - マガジンハウス■ 西村ツチカ「北極百貨店のコンシェルジュさん」(小学館)
□ あらゆる動物が客としてやって来る、そこは少し不思議な百貨店
あらゆる動物が客としてやって来る、少し不思議な百貨店。V・I・A(ベリー・インポータント・アニマル)と呼ばれる絶滅種には失礼がないようにと、新人コンシェルジュの女性・秋乃さんはフロアマネージャーから注意を受けていた。だから彼女は特定の客だけを優遇しているのじゃないかと外商員の男・トキワは疑いの目を向ける。しかし秋乃さんにとって理想の百貨店とは「全てのお客様が笑顔になっていただける」場所。長年連れ添う妻を喜ばせたい金持ちのワライフクロウ、久々に会う父への贈り物を探す女優のウミベミンク、美しい彼女への求婚にひるむ若者のニホンオオカミ……それぞれが抱える事情に秋乃さんが全力で向き合う姿からは、居心地のいい百貨店という場所が、秋乃さんのようなスタッフの献身に支えられていることが感じられる。
「北極百貨店のコンシェルジュさん」(第1話試し読みあり) - ビッグコミックBROS.NET