「あなたが許せない人」をテーマにした投稿募集に、ある女性読者からこんな体験談が寄せられた。
「私は一人っ子ですが、祖母からは女の子ということで虐待され、両親にも同じ理由で自分の意見は言えない冷たい家庭で育ちました」
家庭に恵まれなかったという女性。「なので自分はあたたかい家庭を作ることが、唯一の望みでした」と夢を持って結婚したものの、想定外の境遇に陥った過去を振り返った。(文:okei)
※キャリコネニュースでは「あなたが許せない人」をテーマにアンケートを実施しています。回答はこちらから https://questant.jp/q/5LFO2GXW
子ども2人にマイホーム建設、34才にして意気揚々…のはずだった
女性は岩手県在住で50代後半(教育・保育・公務員・農林水産・その他/年収200万円)。「職場で出会った平凡な男性と仲良くなり、その人の優しい性格ならば良い家庭ができると、信じて結婚を決めました」と当時を語る。
「初めは賃貸でしたが、2人の子どもが授かり上の子が5才になった頃に、夫の夢だった『自分で建てた家』 が欲しいと言い出しました。 あれこれと探した結果、あまり広くはないけれど周りに自然もある土地を見つけて、夫のローンで家を建てることになりました」
ようやく引っ越しも終えた頃。女性は「仕事をいったん辞めて子育てをしよう」と、家事や子どもの相手をする生活に入った。
「34才にして意気揚々と、初めて家庭というものに本気で向き合った頃」
という、すべてが順調に見えた、ある「天気のいい日」の出来事だった。下の子を外に連れ出し、「周りにはまだあまり家もなく、そのうちに町内会の方をさがしてご挨拶しようと思っていました」と、のんびり歩いていたときだった。
「少ししたころ、ふいに甲高い声がしました。『ちょっと!アンタ誰なの?』と言われ振り向くと…、 70才くらいのやせた眉間に思いきりシワを寄せた、きつそうな女性が立っていました。あまりに想定外の言葉に、私のきつかった祖母をダブらせながらなんとか名前を名乗り、失礼がありましたならとお詫びまで言いました」
女性は子どもと歩いていただけだが、きつく声をかけられつい謝ってしまった。ただその人は、離れた場所に住んでいたので、「いろんな人がいるんだな、気をつけたほうがいいかも」くらいに思っていたという。
「毎日呼び鈴を押して話にくる」ように…
「その人はそれからけっこう頻繁に家のそばに来るようになり、『そんなに悪い人じゃなさそう』と気を許して雑談をする仲になりました。その人は近所で『うわさ好き、気難しくて口うるさい』と知ったのは後のことです」
相手はどうやら、近所でも有名な困った人のようだった。その人は、女性が他のご近所と話をしているときには「こちらを横目で見て挨拶に対してうなずくだけ」で去って行った。女性以外の人とは関わろうとしなかったのだ。
「古くからいるお母さんが『距離をおいて気をつけて』とアドバイスしてくれたものの 、私にはまだピンと来ませんでした」
と回想する優しい女性。しかし一年ほど経ったある日、このアドバイスを噛みしめる事態が起きてしまう。女性の隣に家が建ち始め、「他に空き地があるのにウチの真横なんだな」と、違和感を覚えていたところ……。
「家が完成して、挨拶に来たのはなんとあの『距離おいて気をつけて』といわれていた、70代くらいの気難しい女性でした。驚いたものの、悪い関係にはならないようにと気をつけて、毎日呼び鈴を押して話にくるのも困ったと思いつつ、相手になっていました。しかし、家事もできず子どもも泣くようになり…」
なんと驚くことに、真横の土地に新築を建てられてしまうくらい、女性はその人に執着されていたのだ。しかしどんなに仲が良くても、家事や子育てで忙しい日々で毎日呼び出されてはたまらない。そこで女性は、ある決断をする。
「思いきってパートのような社員になり、働くことを伝えて子どもは保育園に入れました。 これで、解決すると思いました」
ところが、ますます深刻な事態になっていくとは、このとき女性はまだ思っていなかった。【後編はこちら 関連記事からも飛べます】