2022年12月17日 08:51 弁護士ドットコム
あちこちで流れるクリスマスソング。街中には輝くイルミネーションや大きなツリー。ロマンチックなクリスマスムードが街を包み込んでいる。
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戸建が立ち並ぶ住宅街では、工夫を凝らした電飾イルミネーションもみられる。「きれいだね」「素敵」と思わず住宅の前に立ち止まる人たちも少なくない。しかし、そんな自宅イルミネーションに不快感を感じ、「光害」と受け取る人もいるようだ。
実際に、自宅イルミネーションをやめるように促す手紙が投函されていたという相談が弁護士ドットコムに寄せられている。手紙には「電気代がもったいない」「このまま続ければ殺す」などと書かれていたという。
そもそも、自宅イルミネーションに対するルールはあるのだろうか。
自宅にイルミネーション装飾をしたいときに参考になるのは、環境省が公表する光害対策ガイドラインだ。公害対策に詳しい山之内桂弁護士は、次のように説明する。
「このガイドラインでは、国際照明委員会(CIE)の基準が参考に示されており、街中の住宅地や商業地での夜間窓面の明るさの許容最大値は、10~25ルクスとされています。ちなみに、20ルクスとは『10m先から人の顔や行動がだいたいわかる明るさ』と言われています。この数値よりも近隣の窓辺が明るくなってしまうような電飾や、フラッシュのように点滅して極端な明暗差を生じる電飾等は避けるべきでしょう。
また、人が寝静まる深夜には、より厳しい基準が設けられています。通常消灯すべき時間帯は、許容最大値が2~5ルクスとされています。これは、暗くなると自動点灯する照明機器が作動点灯する程度の明るさです。
消灯時間について特段の法規制はありませんが、貸金業法施行規則や特定商取引法通達が午後9時以降の営業活動を原則禁止していることからすれば、住宅地では、遅くとも午後9時までには電飾を消灯すべきと思います。
その他、光害防止や星空保護などをうたう地域の条例による規制にも従ってください」
ガイドラインや条例を守っていたとしても、今回の相談者のように、思わぬ苦情を受け取ってしまうこともある。そのような場合、どのように対応すべきなのだろうか。山之内弁護士は、次のようにアドバイスする。
「具体的危害を予告・示唆する内容の手紙を渡して義務なきことを要求することは脅迫罪や強要罪に該当する可能性があります。警察に相談し、被害届を出してください。
脅迫や強要でない単なるご意見の手紙なら、上記のような節度を守っている限り、気にする必要はありません。ただし、嫌がらせが繰り返されたり、次第に悪質になっていったりすることが稀にありますので、念のため、監視カメラの設置などの予防策を検討されるとよいでしょう」
【取材協力弁護士】
山之内 桂(やまのうち・かつら)弁護士
1969年生まれ。宮崎県出身。早稲田大学法学部卒。司法修習50期、JELF(日本環境法律家連盟)正会員。大阪医療問題研究会会員。医療事故情報センター正会員。
事務所名:梅新東法律事務所
事務所URL:https://www.uhl.jp