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紙ドライバーFのへなちょこ試乗日記 第18回 BMWの超豪華EV「i7」に乗った! 車体は長いが駐車に不安なし?

2022年12月15日 11:41  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
BMWの超豪華な電気自動車(EV)「i7」に少しだけ乗ることができた。ヘッドライトはスワロフスキー、後席には大型スクリーン、電子音はハンス・ジマー作曲と見どころ満載のEVだが、こんなに大きな(車体の長い)クルマに乗って、駐車のときに困らないのか? 試してきた。


○意外にもよく曲がる理由は?



BMWのEVで最も高価かつ豪華なクルマがi7だ。動力性能は最高出力544ps、最大トルク745Nmで、静止状態から100km/hまでの加速は4.7秒(欧州仕様車の数値、BMW調べ)。バッテリー容量は105.7kWhで、フル充電の航続距離(WLTCモード)は650kmとなっている。価格は1,670万円からだ。



ボディサイズは全長5,390mm、全幅1,950mm、全高1,545mm。実物を目の前にすると立派というか、とにかく前後に長い。おかげでホイールベースは3,215mmもあるので、後席に乗っても広々としていて気分がいい。後席では電動で展開可能な大型スクリーンで動画を見ることができるので、走るプライベートシアターとして使うなんていうのも乙な話だ。


大きなドアはボタンひとつで開く自動ドアだ。壁やクルマを認識すれば開く途中で止まる機能を備える。乗り込んだらブレーキペダルを踏めば、ドアが勝手に閉まる。これだけで、とてもぜいたくな気分になる。


5mを優に超えるi7だが、取り回しは思ったよりも良好。というのも、後輪が独自に曲がる「AWS」という機能が付いているからだ。駐車場などでゆっくりと動くとき、ハンドルを左に切ると前輪は左を向くが、後輪は少しだけ右を向く。これにより、大きなクルマなのにクルクルと曲がる不思議な感覚を味わえる。


走り出すと、さすがはEVといった感じの加速の良さ。ハンドルが軽いので、大きなクルマなのに俊敏に動かせるような感覚がある。アクセルを踏み込めばものすごい加速力を発揮しそうだったが、東京都内の一般道だったのでやめておいた。広い車内はどう走っても静かなまま。路面の悪い場所もあったが、全くゴトゴトしないスムーズな走りに驚いた。


EVならではの機能である回生ブレーキはどうかというと、強さは「低い」「普通」「強い」「アダプティブ」(状況に応じた自動調整)の4つから選べる。最弱にすると、アクセルから足を離してもほとんど回生ブレーキは働かず、ガソリンエンジン車と同じような挙動になった。シフトを「B」にすれば強い回生ブレーキが使えて、アクセルオフで完全停止まで持っていけるので完全なワンペダル走行が楽しめる。90度に曲がる交差点も、ブレーキペダルを踏まずに余裕でクリアできた。


回生の強さはパドルやレバーやスイッチではなく、センターにあるディスプレイから調整する仕組みになっている。なので、走っている途中に調整するのは難しい。というか、おそらく不可能だと思う。これは不便だと思ったのだが、同乗してくれた説明員によれば、回生ブレーキは好みの強さがわかったら基本的にはいじらないドライバーが多いそうだから、すぐに調整できなくても大した問題ではないのかもしれない。同説明員によると、大概の人は慣れるとアダプティブに入れっぱなしにするそうだ。



EVだからエンジン音はしないのだが、加減速に合わせた電子音を発生させる「BMWアイコニック・サウンド・エレクトリック」という機能が付いている。作曲は映画音楽の巨匠、ハンス・ジマーが担当しているというからスゴい。ちなみに、ハンス・ジマーはドイツ出身だそうだ。肝心の音はというと「グーーン」という感じで、加速する際はしり上がりに音が高くなり、減速時はその逆となる。電子音はOFFにもできるが、スピード感や減速感を体感できるので、あった方が乗っていて楽しいのではないかと思う。


○憂鬱な駐車が感動の体験に?



というわけで、試乗は短時間ながらとても楽しかったのだが、ひとつだけ憂鬱だったのは駐車だ。この日は日本自動車輸入組合(JAIA)という団体のイベントで、輸入車ブランド各社のEVが一堂に会しており、数百万円から1,000万円を超えるクラスのクルマが何台も駐車場にひしめきあっていた。そこへ5m超のボディで入っていって、高級車に挟まれた駐車スペースに長いクルマをお尻からとめるというのは、どう考えても気が滅入る作業だ。



ところが、これは杞憂だった。i7には便利な駐車支援機能が付いているのだ。



i7は、よく使う駐車場や、どうやってクルマを駐車したか(駐車ルート)といったことを覚えておいてくれる。よく使う駐車場に近づくと、センターのディスプレイに「駐車支援、しましょうか?」的な提案が出てくるので、それをタップすれば、クルマは自動で動き出し、記憶した駐車ルートを通り、前に駐車したスペースにばっちり収まってくれる。試乗の日は、おそらくBMWの人か、試乗会を仕切っているプロの人が駐車したルートを記憶させていたのだろう。狭いスペースだったのだが、切り返しなしできっちりと駐車を決めるi7の賢さ、ジェントルマンぶりには感動した。


今回は試すことができなかったが、運転支援で使うカメラは解像度8メガピクセルという性能の高さで、いわゆるACCはきっちりと白線をトレースし、びしっと機能するのでロングドライブも楽々であるとのこと。i7は遠出してみたくなるEVだった。


紙ドライバーF かみどらいばーえふ 生活するには自動車が必須な北陸の某県で生まれ育ちながら、運転免許証の取得後は都会暮らしとなったため、これまでに一度も自家用車を所有したことのないペーパー(紙)ドライバー。すでにマニュアルトランスミッションの操作もおぼつかないが、ひょんなことから自動車業界を取材することとなった。 この著者の記事一覧はこちら(紙ドライバーF)