2022年12月14日 15:21 弁護士ドットコム
日弁連は12月14日、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(救済新法)などの成立を受け、小林元治会長の談話を発表した。「被害救済や防止に向けた姿勢を示すもの」と評価した一方で、規制が限定的で課題が山積しているとした。
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新法などは、今年7月に安倍元首相銃撃事件をきっかけに浮上した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の高額献金問題などを受けて、国会での議論が急ピッチで進み12月10日に成立した。
談話では、課題が残ったのは「マインドコントロールの概念を用いるかどうかの是非や、その状態を誰が認定・評価するかについて議論をする時間がなかった」ためと指摘。3条1号の配慮義務に規定された「自由な意思を抑圧し、適切な判断ができない状況」の具体例については事例の調査・分析を早急に行うことで実務に生かすとした上で、憲法で保障された自己決定権や宗教活動の自由への配慮についての議論も不可欠だとした。
また、2世を中心とした子どもが抱える問題の解決は置き去りだとし、専門家によるカウンセリング、児童虐待や生活困窮、就労など、成人を含めて支援することが重要だと記した。
法案のたたき台となった消費者庁検討会委員でもある芳野直子副会長は会見で「事実を前提として、救済に生かせるかどうかが大事。宿題がたくさんある。日弁連としても、前向きに腹を据えた意見を表明していく」と話した。
9月5日から始まった日弁連の相談ダイヤルは継続的に被害相談が寄せられており、12月13日までで1025件と大台を超えた。新法の施行前後に相談が増える可能性があるため、26日までだった期間を2月28日まで延ばす。
11月には報告が終わった389件について分析結果を公表。次回2次報告は来年3月をめどとしているという。
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