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「教員はお金が欲しくて言っているのではない」給特法の改善を求めて有志が要望書提出

2022年12月12日 18:11  弁護士ドットコム

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2019年12月に成立した、公立学校の教員に適用される「改正給特法」(教職員給与特別措置法)。


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改正法をめぐっては、附帯決議で施行後3年をめどに、教員の勤務実態調査をおこなった上で抜本的な見直しに向けた検討をすると定められており、2023年度中に公表予定の調査結果をもとに議論が始まることになる。



こうした中、有志団体が与野党に「給特法の抜本的改善を求める要望書」を提出。12月12日に院内集会を開いた。



この日午前中に授業を終えてから駆けつけたという現役公立高校教員の西村祐二さんは「学校の働き方改革が喫緊の課題と言われてから早5年以上経ちます。しかし、これがどれだけ本当に進んできたかと考えた時に、改めて給特法の根本問題に触れざるを得ないんじゃないか」と呼びかけた。



「教員は、お金が欲しくて言っているのではない。長時間労働が問題なので給料を上げようではなく、長時間労働こそ無くしてほしい。そのための法改正をしていただきたい」



●「私立校と公立校で差が広がっている」

1972年に施行された「給特法」により、公立学校の教員には時間外勤務手当と休日勤務手当が支払われないことになっている。その代わり、「教職調整額」として、月額給料の4%が一律に支給されている。時間外勤務を命じることができるのは、(1)生徒の実習、(2)学校行事、(3)職員会議、(4)災害など緊急事態からなる「超勤4項目」に限るとされ、労働基準法37条の時間外労働における割増賃金の規定が適用除外されている。



要望書では、教員に労働基準法を適用して他の地方公務員一般職と同じルールにすること、残業を労働時間と認めて使用者側に厳格な労働時間管理を義務づけること、教員定数の改善や専門スタッフを増やすことなどを求めている。



東京大大学院の金井利之教授は「給特法を一時しのぎの場として使ってきた日本社会自体の問題で、給特法を廃止してもこの精神がなくならない限り問題は繰り返される」と指摘した。



名古屋大の内田良教授は、私立校で土日におこなう部活動の引率は労働であり、勤務日とする動きがあると紹介。



「私立校と公立校で差が広がっている。公立校でも残業を労働時間として認め、そこに対価を支払うという厳しいプレッシャーの中で、労働時間を抑制していくことが必要」とし、給特法の改善が必要と話した。