11月、全国で初めて就職活動のWEBテスト代行による逮捕者が出ました。読売新聞の報道によると、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕された男性は、「学生から感謝されてやりがいを感じていた」と供述しているそうです。
このWEBテスト代行という行為は、今回のケースのように金銭を受け取って業者として行っていたことで逮捕に至り話題になりましたが、「頭の良い友人に頼んでやってもらう」というレベルの代行は、昔から普通に存在していました。
結局、業者に依頼した学生も、頭の良い友人に頼んだ学生も、選考に受かることや内定がゴールになっていたのだと思います。(文:キャリアアドバイザー 坂元 俊介)
WEBテストはそもそも「足切り」でしかない
この事件が話題になり、中には「代行業者を見つけたり、代わりにやって貰える友人を見つけるのもビジネススキル」と言ったWEBテストの代行を肯定する人もいましたが、仮にその後の選考もクリアして入社した場合、本人は幸せになるのでしょうか。
大抵は、仕事についていけず不幸せになると思われます。理由は、WEBテストは足切りでしかないからです。ほとんどのWEBテストが、性格診断と能力診断(国語・算数)に分かれます。代行を依頼するのは主に能力診断の方でしょう。
多くの企業では、WEBテストを「足切り」のために使っています。どういうことかと言うと、WEBテストはその会社が最終的に内定を出す学生の水準から、ある程度下のラインに合格基準を設定している、という事です。
つまり、この基準をクリアできない人が仮に入社できても、普段の業務の処理能力においてかなりしんどい思いをすることになります。
最悪なのは、性格診断まで代行を頼んでしまうケースです。性格診断も能力診断と同じく足切りの機能として使用されていますが、性格診断の足切りは、その会社に特性としてあっていない人、を落とすものです。
例えば、体力的・精神的に負荷がかかる企業がメンタルが弱い人を落としたり、コツコツした細かい作業をひたすら継続して行うことが求められる企業が、次々とアイデアを出し行動してしまう人を落とす、といった具合です。
性格診断で代行を頼みうっかり何かのミスで合格してしまうと、特性としてどう考えても合わない職場・仕事に身を置くことになり、最終的に精神的にしんどくなってしまったり、活躍できず辞めてしまうことになってしまいます。
「入社することがゴール」になっていないか
では、WEBテストに不安がある人はどうすればいいのでしょうか? 答えは当たり前ですが、しっかり対策をすることです。WEBテストの問題は一部の企業を除いて、ちゃんと対策をすれば決して難しい問題でありません。
対策用の問題集の解説は、非常にわかりやすく書かれているので、1冊問題集をしっかりやりきれば、足切りにひっかかる心配もほぼなくなるかと思います。
そもそも、なぜ自分で勉強せず、「代行」という手段に頼ってしまうのでしょうか?罪の意識のなさ、楽をしたい、など色々あると思いますが、根本は「入社することがゴール」になっていることだと思います。
何十年と続く仕事において、新卒時点での入社は本当にただの通過点です。入りたい会社があって新卒採用で落ちた場合、力をつけて中途採用でチャンレジすることも出来ます。
幸せに働くには、自分の特性や能力、価値観にあった仕事を選ぶことが一番です。自分にとって本当に合っている仕事は何か、を明らかにするためにも自己分析をしっかりと行い、そこにWEBテストがあればしっかりと対策をして受験することが、結局は幸せに繋がります。代行業者に頼るのではなく、真摯に就職活動に向き合って貰いたいと思います。