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なぜ日本が世界初? メルセデス・ベンツが電気自動車の専売拠点を開設!

2022年12月06日 13:12  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
メルセデス・ベンツが世界初となる電気自動車(EV)の専売拠点「メルセデスEQ横浜」をオープンした。EV全5車種を展示し試乗にも対応するほか、店舗にはEVの専門知識を身につけた「EQエキスパート」を配置するなど充実の体制だ。ただ、日本ではまだまだEVが売れていないはず。なぜ世界初の専売拠点が日本にできたのだろうか。


○メルセデスユーザーのEV購買意欲は?



メルセデスEQ横浜は「電気自動車のある生活」を体感できるよう工夫したEV専売拠点だ。店舗にはメルセデス・ベンツが日本で販売する全5車種のEVを展示。試乗車も用意しているが、短時間では自らのライフスタイルにEVが適しているか実感できない場合もあるため、レンタカーサービス「MBレント」も導入してEVライフを提案していく。


メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長によれば、日本の顧客はEVに対する情報感度が高く知識も豊富とのこと。日本でのEV普及については、充電インフラにはまだまだ伸びしろがあるものの、補助金などのサポート体制も整っており、EVの航続距離も伸びてきたことから「買う理由はそろってきた」との見方を示した。あとは「顧客の具体的な不安をぬぐっていくこと」が重要との考えだ。



具体的な不安とは、例えばどんなことなのか。メルセデスEQ横浜の井上雄道店長に聞いてみると、「例えば大きな不安は充電環境です。充電を毎日しなければならないのではないか、身近に充電環境が整っていなければEVに乗れないのではないか、そういった不安をお持ちのお客さまもいらっしゃいますが、現状のバッテリー容量を考えると、1日で電池を使い切ってしまうようなことは、ほぼありません。人によっては1週間、あるいは2週間は充電なしで走り切れたりもしますし、充電も短時間で済ませられます。そういった不安を払しょくするために、レンタカーもご用意しました。マンションにお住まいの方がEVをご購入いただいても困らないということを実体験していただきたいです」とのことだった。


それにしても、日本では自動車販売に占めるEVの比率がまだ数%と聞くが、そんな市場になぜ世界初の専売拠点を開設することとなったのか。上野社長はこう説明する。



「日本のEV市場はメルセデス・ベンツを含め、若干、普及が遅いとは感じていました。ここで攻勢をかけるため、私たちが先陣を切って専売拠点を開設したいと本社に伝えたところ、許可が下りました。メルセデス・ベンツは全車EV化をいち早く掲げたメーカーなので、内燃機関搭載車とのバランスで、EVのシェア拡大をもっと早めていきたいと考えています。積極的にやることが一番の近道です」



実際のところ、メルセデス・ベンツ日本の2022年のEV販売台数は、2021年に比べ2倍に伸びているとのこと。部品供給問題も影響しているが、今も「需要に対して供給が追い付いていない」のが現状だという。EVに関心を抱いているものの、最終的には内燃機関搭載車を選ぶ客も「非常に多い」そうだ。東京・六本木にある「メルセデス ミー 東京」では毎週末、「EQS」と「EQE」の試乗枠がいっぱいになるほどEVに関心が集まっているという。



EV専売拠点では顧客から生の声を吸い上げ、顧客がEVを買いあぐねている理由を把握し、不安や心配を取り除いていきたいとのこと。世界初ということでデザインを含めフォーマットが存在せず、店舗づくりは一から始める必要があり、EV専門人材の育成なども含め一般的な販売店を作るよりも投資はかさんだらしいが、「1人でも多くのお客様にふらっとでもいいので立ち寄ってもらい、EQ(メルセデスのEV)のことを理解していただければ」と上野社長は話していた。(藤田真吾)